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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第68話 額

 

 『行かないで』

 何度も口まで出かけて、飲み込んだ。


 結局、俺は何も答えられなかった。


 桜藍は、ずっと俺の背中にくっついていた。

 背中に耳を押し当てて、答えを聞いてくることはなかった。



 ♦︎



 いつの間にか寝てしまったらしい。

 起きると、瞼がくっついていて、目が開かなかった。


 もう外が明るい。


 振り向くと桜藍がいた。

 気持ちよさそうに寝ている。


 そういえば、熟睡している桜藍の寝顔を見るのは、初めてかも知れない。


 しばらく寝顔を見ていると、桜藍が片目だけ開いた。


 「……いつまで見ているんですか?」


 「起きてたの?」


 「はい。でも、じーっと見られていて、起きるタイミングがなくなっちゃいました」


 「そっか。ごめん」


 「いえ……」


 桜藍と目が合った。


 「昨日のことなんだけど、少し考えさせてもらってもいいかな?」


 「うん」

 桜藍はイルカをたぐりよせて、抱きしめた。


 「あのさ。返答に期限とかあるのかな?」


 イルカが、ぎゅうって歪む。


 「月末までに決めて欲しいって。もし行くなら、早い方がいいって言われました」


 月末?

 思ったよりずっと早い。


 「大学うけるなら、受験もあるだろうしね。でも、ちょっと早い……かな」


 早すぎるよ。

 そう思うと、心臓の鼓動がどんどん大きくなって、最後は指先まで伝わった。



 「うん」



 毛布の中がいつもより暖かい。

 俺は桜藍の体温を手放したくなくて、毛布に潜り込んだ。

 


 また目が合った。

 桜藍が微笑む。


 「昨日の江ノ島、楽しかったね」

 

 「そうだな。2人で撮った写真、送ってよ」


 桜藍はスマホに手を伸ばした。

 すると、半袖の隙間から白い肌が見えた。


 「あのさ、桜藍。もしかして、下着、着てない?」


 すると、桜藍はイルカの陰に顔を隠した。


 「内緒です」


 なんだか気まずい。

 余計なことを言ったかな。


 でも、もし着てないのが、わざとだったとしたら。桜藍に恥をかかせてしまったのだろうか。


 「ごめん」


 「なんで謝るの?」


 桜藍が首を傾げた。

 銀色の髪が動く。


 「いや、なんとなく」


 俺はイルカの尻尾を掴んだ。

 尻尾はふわふわしていて、温かかった。


 桜藍のこと、ちゃんと考えないと。


 「あのさ、桜藍。俺、ちゃんと考えて答えを出すから。その時には、桜藍がどうしたいかも教えて欲しい」


 桜藍は頷いた。


 「わたし、朝ごはんの準備してきますね」


 「今日くらい、さぼっていいのに。昼くらいにデリバリー頼んでもいいし」


 「いえ。ご飯を作るのは、わたしの役目だし。それに、作りたいんです」


 桜藍はそう言うと、毛布から抜け出した。

 チラリと俺のことを見る。


 「春馬さんは、もう少しゆっくりしててくださいね」


 「サンキュー」


 「あっ、春馬さん。お仕事は?」


 俺は時計を指差した。

 9:45。


 「もう大遅刻だし、今日はサボり」


 「そっか。ごめんなさい。あっ、会社に連絡は? しづらかったら、わたしが電話しようか?」


 「って、桜藍って俺のママだったの?」


 「妹です……ブラコンの」

 桜藍はぺろっと舌を出して、部屋のドアをしめた。


 俺はイルカを抱きしめた。


 (どうしよう)


 「ううぅ……」

 今頃になって感情が溢れ出る。


 顔を擦り付けると、イルカが冷たくなった。

 イルカのお腹が涙で濡れて変色している。


 俺はイルカのタグを見た。


 「ポリエステル100%? もっとちゃんと吸い取ってよ」


 俺は腕を額に置いた。




 

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