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寝取られて壊れた俺、義妹が可愛すぎるから養うことにした ♦︎♦︎♦︎義妹に癒されながらブラック不動産で働くことになった  作者: 白井 緒望


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第51話 階段

 ガチャリ。

 ドアを開けた。


 「ケホケホ」

 桜藍と亜梨沙がむせる。

 俺は2人にマスクを渡した。


 パチッ。

 電気をつけて窓を開ける。


 室内を見渡すと、随分と工事が進んでいた。傷だらけのドアには、ダイノックシートが張られ、新品のようになっている。


 壁紙まだだが完成に近い。


 亜梨沙はキョロキョロした。

 「えっ、なにこの床。綺麗。ウチと全然違うんですけど〜」


 「いやそれ。お前の家が汚すぎるだけだろ」


 ぞわっ。

 背筋に悪寒。桜藍がこっちを見ている。


 桜藍はキッチンにいくと前のめりになった。

 小さいながら、カウンターキッチンだ。


 「わぁ。立派なキッチン。こういうのアイランド……っていうんですっけ?」


 「ペニンシュラね。1500mmしかないから課長に猛反対されたんだけど。俺の意見が通った」


 「そうなんですか。わたし、素敵だと思いますよ。売れるといいですね」

 桜藍は微笑んだ。


 亜梨沙もキッチンにきて、両手を伸ばした

 「うちより全然広いのにワンルームとか、マジでウケるんですけど〜」 

 

 「うけねーよ!」

 

 この物件は、課長と俺の共同担当になっている。売れないと本気でまずい。


 10分程で見学も終わり部屋を出た。

 

 すると、亜梨沙に横腹をつつかれた。


 「春馬っち。桜藍っちに、アタシのこと紹介してよ」


 2人が仲良くなると、不幸な事件が起きる気がする。すごく気が進まない。


 「しなくても別にいいんじゃ……」

 そこまで言うと、亜梨沙の手が視界に入った。


 カットソーの首元をギュッと握っている。

 心細そうで、胸が締め付けられた。


 「桜藍。この子は、……、なんとか亜梨沙さん」


 ——俺、亜梨沙の名字を知らないや。


 いてっ。

 ふくらはぎを蹴られた。


 「アタシ、新垣亜梨沙。亜梨沙でいいよ。隣に住んでる美女だから、よろー。桜藍っちのことは春馬っちから聞いてるよ」


 「あぅ。わたしは、山路桜藍です。よろしくです」

 桜藍はスカートで手を拭うと、前に出した。


 「握手? うけるー。よろしくねっ」

 亜梨沙は握り返した。

 

 その様子をみていて、気分が良くなった。

 俺は、自分の小ささが恥ずかしい。

 


 「ねぇ。桜藍っち。今度、2人の家に遊びに行っていい?」

 亜梨沙の申し出に、桜藍は頷く。

 なぜか頬を赤らめている。


 2人とも人見知りではないらしい。

 すぐに仲良くなりそうだ。


 情報交換は、ほどほどでお願いしたい。


 亜梨沙が家に戻って、2人きりになった。

 桜藍の視線。


 「どうしたの?」


 「亜梨沙さんと仲いいんですね」


 「まぁ、隣の住人だし」


 「ふーん。ちゃんと紹介してくれたのは良かったですけど」


 小さな自分に2度目の後悔。


 「うん」


 桜藍は俺の袖をギュッとつかんだ。


 「亜梨沙さんのこと『お前』って呼ぶのは、ちょっとだけ、ほんとはいっぱいイヤです」


 「ごめん」


 「でも、連れてきてくれてありがとうございます。なんか、パパとママと内見したのを思い出しました」


 「え?」


 「パパの給料が減っちゃって、ママが『お家を売って賃貸に引っ越そうか』って言い出して」


 「でも、引っ越さなかったんだ?」


 「パパが、春馬さんが帰る家がなくなるから、って言って。それでやめたんです」


 ……知らなかった。


 「ありがとう。桜藍が居なかったら、俺、そのことを知らないままだったよ」


 「良かったです」


 「なんか、家族っていいな。今更だけど」


 「わたしもそう思います」

 桜藍は微笑んだ。



 

 ♦︎


 エレベーターホール前。


 匂いが残ってる気がして、2人で消臭剤をかけ合った。


 ジジジ。

 蝉がひっくり返っている。


 「暑いね。桜藍、水のむ?」


 「ありがとうございます」

 桜藍はペットボトルの水を飲むと、蝉を表向きに直した。



 ガチャガチャ。

 俺はエレベーターのボタンを何度か押した。


 「あれ? トラブルかな。エレベーターが全然来ないんだけど」


 桜藍も階数表示を見上げた。


 「春馬さん。階段でおりましょう」


 「え? ここ6階だよ?」


 「歩かないと、足腰弱くなりますよ?」


 カツンカツン。

 桜藍に引かれて階段を降りる。

 

 踊り場で折り返したところで、声が聞こえた。

 男性の叫び声。


 「婆さんっ。婆さんがぁぉ!」

 


 


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