あたしの気持ちなの
あたしの初恋は、突然訪れた
十数人もの能力者を一瞬で蹴散らし、何事もなかったかのように去っていった
強くてカッコよくて…
自分の故郷もなにもかも全部捨てて…
この人と同じ道を歩みたいと思った
そしてこの組織で働くことになった
彼には恋人がいて、いつも恋人の話しを聞かされたわ
それが辛くてね…
だけどあたしだって負けじと好き好きアピールをしていたの
でも彼には見向きもされなかった…
それは恋ではなくて、ただの憧れだ
そう言う人もいたけど、違う…
あたしは本当に柊先輩が好きだった
柊先輩が組織から抜けたとき、心にポッカリ穴が空いたような気分だったわ…
それを埋めるように…たまたま近くにいたアキラくんといつも一緒にいるようになったの
アキラくんとは同い年だし、なんか話しやすかったからね
でも今だから正直に言うわ
別にアキラくんを好きだったわけじゃないの
ただ、柊先輩がいなくなった寂しさを…
アキラくんで埋めてただけ
だから…
あたしが初めて女になった日…
アキラくんに服を脱がされたあの時
あたしは目を閉じて、柊先輩を想っていた
もちろん、そのあとは本当にアキラくんのことを好きになったわ
美琴も授かり、結婚もして
まぁ長くは続かなかったけどね
美琴はあたしを強くさせたわ
この子を守らなきゃって
男なんていらない
あたしと美琴と二人で暮らしていくんだって
でも美琴がまだ小さいとき、寂しさから健一くんと一線を越えてしまって…
健一くんにプロポーズされたの
悩んだけど、美琴のためにも父親は必要なのかなって…
あたしは健一くんと2年付き合ってから再婚したわ
健一くんは優しくて、あったかい人で
無くてはならない存在ね
え?でも無くても生きていけるだろって?
フフフ、確かにそうね
でも幸せな結婚生活だったわ
"だったわ"なんて過去形にしてるけど、今も幸せだと感じてるわ
でもね…
美琴が高校生になったときにあたしの中で変化があったの…
今まで男なんて興味なさそうにしていた美琴が突然、ある同学年の子のことばかり話すようになったの
その子は汚い紫色のオーラをした子らしくてね
あたしも入学式のときに出席して、何人かの能力者がいるのは知ってたけど
美琴はその人のことばかり気にしてたわ
事あるごとに
「ママ!あの人がね、あたしのクラスまで来てた」
とか
「あの汚いオーラの人がね、テストの点数が悪すぎて、お小遣い減らされるって友達と話してるのを聞いたの」
とか、嬉しそうに話してたの
あぁ…。美琴も恋をしたんだなって
どこかに懐かしさを感じてたの
そんなある日、美琴が突然
「ママ!あの汚い紫オーラの人の名前わかった!」
って言ってきて…
「へぇ、なんて名前?」
「友達と話してるの聞こえてたんだけどね、晴翔って言ってた。あと柊っても呼ばれてたから、"柊晴翔"って名前」
その"柊"という名字が出た瞬間
あたしの心臓が"ドクン"と激しく動いたのがわかった




