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88 ヨパラの気持ち

インフィは、世界の果て――

魔物が数多く生息する過酷な辺境の地に、小さな魔王城を築いていた。


その場所を拠点に、インフィは一人で黙々とレベル上げに励む日々を送っていた。


父親のように慕っていたヨパラの姿が見えないことは、常識の枠に収まらないインフィにとっても、やはり寂しいものだった。


フィディア、シャリーネ、レイヴァンたちには、「レベル」という概念がなかった。

彼らのような存在には、ある時点で成長の限界が訪れるように設計されている。

それは、人間や動物が進化や成長に限界を持つことと、どこか似た理に基づいている。


ただ一つ違うのは、彼らがその限界に達するまでには、果てしない時間が必要だという点だ。

そして三人とも、すでにその修練の限界に到達していた。


インフィたちが瞬間移動で城に戻ると、インフィはヨパラに一生懸命謝っていた。


「ヨパラ、ごめん。僕、何も考えてなかった。嬉しくて……ヨパラの魔力が大きくなっていたから、ドラゴンなら余裕で倒せると思っちゃって。でも、ヨパラのレベルじゃ、そんなに簡単には倒せなかったんだよね……」


──レベル35のヨパラが、レベル42のドラゴンと戦わされていたのだ。

少しでも攻撃が当たれば、即死するほどのレベル差だった。


一応、インフィはその点も考慮して、最高級のミスリル装備でヨパラの防御力を引き上げていた。

直撃さえ避けられれば、耐えられると判断していたのだ。


さらにインフィは、フィディアたちにも「もし何かあれば、すぐにヨパラを助けるように」と事前に指示を出していた。

──ただし、そのことをヨパラ本人に伝えるのを忘れていた。


インフィの言葉にかぶせるように、ヨパラが口を開いた。


「いや、インフィ。俺も驚いたよ。レベルが一気に上がってたんだ」


「魔力切れで、情けないところを見せちまったがな……お前が用意してくれた、あのミスリル製の全身防具。あれは頼りになったよ。おかげで、どうにか持ちこたえられた」


そして、少しだけ口元を緩め、笑うように言った。


「目の前にドラゴンが現れたときは──正直、死んだと思った」


「えっ、本当に? あのドラゴン、レベル42なのに……そんなに上がったの?」


インフィは驚きながら言い、続けて淡々と付け加えた。


「本当だ。ヨパラさんのレベルは、35から38に上がっている」


「普通はそこまで一気に上がらないはずだけど……たぶん、ドラゴンの影響かな……」


インフィはヨパラをしばらく見つめ、静かに言葉を継いだ。


「ヨパラさんの特性だよ。お父さんから引き継いだ、特別な能力なんだ」


「普通の人が得られる経験値より、たぶん2倍くらい多くもらえてると思う」


「僕にはその特性はないから……とても貴重な能力だよ」


「ヨパラさんは、お父さんとお母さんの良いところを両方受け継いでると思う」


少しの沈黙のあと、ヨパラが低い声で問いかけた。


「インフィ……お前、俺の父のことも分かるのか?」


インフィは小さく首を振った。


「ううん、ごめん。僕の知識は魔法関係だけ。百年前の世界のことなら、それなりに分かるけど……」


「今の世界のことなら、レイヴァンさんのほうがずっと詳しいと思う」


それを聞いたヨパラは、ほんの少しだけ残念そうに言った。


「……そっか。悪かったな。続けてくれ」


「ヨパラさんも、お父さんと同じように、すぐにレベルが上がると思うよ」


インフィは淡々と続けた。


「お父さんの膨大な魔力量と、お母さんの卓越した水魔法。その両方を受け継いでいるから、できないことは少ないはず。……ただし、回復魔法は使えないけどね」


「たぶん、レベル50に到達すれば、僕と同じように移転魔法も扱えるようになると思う」


それを聞いたヨパラは、どこか信じきれないような表情を浮かべた。


若いころ、冒険者として活動していたときですら、自分はレベル21の中級冒険者止まりだった。

魔法学園での訓練と、魔物との地道な戦いによって、なんとかレベル35まで上げてはいたが──

この歳になって、まだ伸びしろがあるとは思えなかった。


「自分には限界がある」──その思いが、長年の経験として染みついていた。


英雄と呼ばれるような高みに、自分が到達できるとは到底思えなかった。

これまで積み重ねてきた苦労と現実が、その可能性を否定していた。


「……まあ、頑張ってはみるがな。俺が英雄になれるとは、正直、思えねぇよ」


ヨパラがこぼすように言うと、インフィはあっさりと答えた。


「うん。二カ月で大丈夫だと思う。もう少しかかると予想してたけど……この調子なら、問題ない」


インフィはレイヴァンの方に視線を向ける。


「レイヴァン。ヨパラさんのお父さんのレベル、知ってる?」


レイヴァンは即座に答えた。


「はい。たしか、レベル55まで上がられたと記録にあります」


「でしょ。だから大丈夫なんだよ。ヨパラさんは──お父さんとお母さん、両方の良いところを受け継いでるから」


その言葉に、ヨパラは息を整え、気合を込め直すように立ち上がった。


「……俺は、強くなる!」


「父と母の無念……その悔しさを、必ず晴らす!」


「ドランザーク帝国を、ぶっ倒す!」


……


【補足1:ヨパラの気持ち】

レイヴァンがそっとヨパラの方に向き直り、丁重に尋ねた。


「ヨパラさんのお名前は、今後どのようにお呼びすればよろしいでしょうか?」


ヨパラは迷ったような顔をしながらも、しっかりとした口調で答えた。


「ミストファルは、俺の父ザルヴェリオスと、母リュセリナがつけた名前だ」


「俺も、この名前に変えようかと考えたことはある。けど……インフィの言う通り、ドランザーク帝国を倒せたら──」


「パルヨザードの民たちは、俺のことを王子として祭り上げるだろう」


「だが、俺に国を治める能力なんてあるとは思えねぇ」


「自由気ままに生きてきた人間が、王には戻れない。また国を滅ぼすことになるかもしれねぇからな」


「だから……母が新しくつけてくれた名前──ヨパラで呼んでくれ」


ヨパラの母リュセリナは学問を重んじ、息子にも学ばせていた。その影響は、彼の優しい心と深い思慮を育てることにつながっていたのかもしれない。


【補足2:レベルと称号の目安】

レベル20:中級冒険者。死なずに努力を重ねれば到達可能。

レベル30:上級冒険者。選ばれた者のみが到達できる。

レベル40:魔人討伐者。人の域を超えた存在とされる。

レベル50:英雄。世界に数人しかおらず、神のように崇められる。

レベル60:勇者。小国を滅ぼせる力を持つ(※ただし、勇者であれば国を滅ぼすことはないはず)。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

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