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33 最下位、九十六班は勝てるのか!

最初の方の章を書き直しました。

遠くに見える山々は白銀に染まり、朝日に照らされた訓練場の霜が輝いていた。むさくるしい男たちの汗と吐息が白い霧となって揺らめき、寒さを包むように漂っている。


一月前の、カイラとの合体ロボ戦法から時間が過ぎ、仲間全員との特訓はすでに終わっていた。インフィは魔物討伐でレベル八に到達していた。


現在の九十六班の布陣は、サイコロの目を四十五度傾けたような形──中央にインフィを置き、前に大盾のカイラ、後ろに大盾のゼル、右に丸盾のサギ、左に丸盾のダリル。


インフィは剣も盾も持たず、ただ中央に立っていた。


 「アカ……タテヌ……チタ……カアカ……」


その動きは奇妙で、理解し難い。インフィが敵の動きに合わせて短く呟くと、班員たちは即座に反応し、陣形を変える。


時にカイラやゼルの懐に潜り込み、合体ロボのように一体化する。時に背後からサギやダリルの背中に手を添え、指を素早く動かして連携を構築していく。


余談だが、ダリルは最初、インフィを抱きしめることが許されたと喜んでいたが、背後から操作されることに不満を漏らし、ぶつぶつと不平を言っていた。


インフィの短音と動きは、四人を自在に操り、敵を翻弄する。仲間を囮に使い、奇を突き、時には自らの身を投げ出すようにして相手を倒す──その動きは、ふらふらと踊っているようにすら見えた。


「おい、九十六班! インフィが踊ってるぞ、ワハハ! あれ、何か……強くないか? 何連勝だ、これ」


誰かが叫び、外野のざわめきが広がった。


そう、インフィたちの快進撃は止まらなかった。


特訓で洗練された動きが実戦で磨かれ、合体ロボとならずとも個々の戦闘力が飛躍的に向上していた。そして、合体すればその力はさらに跳ね上がる。


九十六班に、もはや隙はなかった。


「ほう……何か面白い戦い方だな。九十六班か。だが……なぜ小僧は剣を持っておらん?」


その場に、あの巨漢の司令官が姿を現した。訓練場に現れるのは珍しいことだった。


「はい、剣が重すぎて、振ることができないためかと……サー」


教官が即座に答える。


「レベル十一で剣が振れん? そんなことが……」


「支給された魔物討伐用の剣は、砥石で削って半分にしたと聞いております。サー」


「砥石で削って半分……いや、構わん。面白い。次は一班と戦わせてみろ」


──かくして、一班と九十六班の戦いが始まった。


そして、九十六班は三人を残して勝利した。まるで大番狂わせ。訓練場中がどよめいた。


「くそっ、反則だ! あんな戦い方が通用していいのかよ!」


一班の隊員が悔しげに審判に詰め寄る。


「弱い犬は吠えるなっての。うるせぇよ」サギが冷たく笑う。


「班長と村一番のおらがいるだぞ! 負けるわけないだぞ!」カイラが胸を張った。


「ふふ、インフィが本気で武器を使えたら、誰も勝てないんだから……ねぇ、インフィ♡」


「……もうやめろ、お前たち」ゼルがやれやれと手を上げて制した。


皆、インフィの実力に気づき始めていた。か弱く、小さく、あどけない外見に反して、その中にある尋常ならざる力に。


そういえば、こんなこともある──


食事中、蠅が飛び交う中、インフィの周囲だけは妙に静かだった。よく見ると、足元には数匹の蠅の死骸が落ちている。箸で、無意識に蠅を摘まんで落としていたのだ。


あの剣豪の目にも止まらぬ速さではなく、目に止まるような箸の動きだが、吸い込まれるように箸に捕まえている。インフィは、動きの予想の訓練のために無意識に行っていた。


──そのようなことを見てきたことが、仲間の誇りとなりつつあった。


「教官、アサシン用の短剣があったな。小僧に持たせてみろ。一班班長、戦ってみろ!」


司令官の声に応じ、教官が短剣を何本か持ってくると、インフィは迷わず中剣と短剣の二本を手に取る。


その表情は、今までに見せたことのないほどの喜びに満ちていた。


──やっと、戦える。


もはや、まともな剣技も知らない新兵が勝てる相手ではなかった。


二つの剣が、異なる軌道、異なる速度で向かってくる。何とか盾で防いでも、もう少年はそこにはいない。死角に立ち、剣を揺らしてくる。盾で跳ね飛ばそうとしても、その盾に手を添え、足を添え、盾の力で反転し、死角に入られる。相手を呑みこむ水のように動き、相手の意表を突く老練さ。


インフィは、一つ一つの動きを確かめるように動き、相手を翻弄している。程なくして、相手のわき腹に短剣が刺さり、稲光が起こる。


インフィのレベルは8。相手は11。3レベル差もあるが、新兵ではインフィの動きはまったく予想できない。


司令官は数人の相手を指名して次々と戦わせたが、結果はすべて同じだった。


そして、今、司令官が強い眼光でインフィを睨みつけている。


インフィは、嬉しさのあまり「またやってしまった」と、研究所送りかと考え、顔面蒼白になりながら直立不動で立っている。


「貴様……いい動きだな。教官、今後こいつには好きな武具を与えろ」


インフィは、研究所送りではなく、自由な武器選択の許可を与えられたのだった。


他班の者たちは、ただ呆然と立ち尽くす──あの格下扱いだった小さな子供が、自分たちの班長を翻弄し、倒したのだから。


九十六班の仲間たちは、インフィを取り囲み、頭を撫で、抱きしめ、喜びを爆発させた。


ダリルは、どさくさに紛れてキスを試みたが、インフィは見事にスルーしていた。


赤黒く焦げた色の山々から、木枯らしが悲しそうに吹く風に乗り、男の汗の匂いだけが充満した壊れそうな兵舎から、九十六班たちのインフィをいじり倒す笑い声が続いていた。

短編、これを広めてください(日本の将来のため)。要旨だけです。読まれてない方は読んでください。これを広めるために書いている小説です。

ChatGPT plusの使い方は、短編にまとめたのでそちらで確認してください。無料版でも応用できると思います。



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