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18 おさなごころ

太陽の日差しが大地に照り注ぎ、子供たちの汗が増すにつれ、汗の粒が光を受けて地面へと落ちていく。ウルラン高原に、短い夏が訪れていた。


「くそ、やるな。こんどこそ勝つぞ。お前じゃ無理だ。次は僕の番だ……」


「カン、カン、バチ、イタイ、カン、バチ、バチ、イタイ……」


子供たちが集落近くの広場で剣の鍛錬、いや、チャンバラごっこに興じていた。


一応、ダルドとその息子タムが先生役を務めているが、まだ遊びの延長といったところだ。


その中で、インフィの動きはひときわ目を引いていた。型にとらわれない独特の剣技で、次々と相手の子供たちを打ち負かしていく。


そう、インフィはその後も青兎を狩り続けてレベル5に到達し、ようやく年相応の力を発揮できるようになっていた。


「インフィ、やるな。よし、俺が相手だ」


タムがインフィに打ち合いを挑む。


インフィは右手に30cmほどの棒、左手に20cmほどの短い棒を握り、二刀流の構えを取っていた。


対するタムは、長い棒を両手で構える騎士スタイル。


棒は柔らかく、先端には綿が巻かれていて危険は少ないが、当たればかなり痛い。


インフィの剣技は受け止めるのではなく、流す剣。相手の先手を取り、力を流し、バランスを崩させて懐に入り込む。普通の子供なら、棒が振り回されている間合いに入ることすら恐怖だ。剣に慣れた大人でも容易ではない。だからこそ、普通は距離を取って打ち合う。それが「チャンバラごっこ」だ。


さらにインフィの剣は、二つの棒がまるで別々に意思を持っているかのように動き、相手の予測を狂わせる。


タムの剣は、力強く、正確で、速い。インフィの予測不能な動きに何とか食らいつき、力で押し切ろうとしている。


インフィの剣は美しくも荒々しく、才能に満ちていた。だが、力と剣速が絶対的に足りず、徐々に押され始める。


「よし、もらった!」


タムの剣を捌き切れず、インフィがバランスを崩す。その隙を狙ってタムが払うように打ち込んだ。決まったかに見えたが、その一撃を右手の棒で受け止め、その反動を利用して体を回転させ、姿勢を立て直すと、流れるように左手の短い棒をタムの喉元へ差し出した。


「う、参った……あれから立ち直るか。お前の動き、何なんだ……」


「ほう、やるな、インフィ。少し調子に乗ってるようだな……よし、俺とやるか」


なんと、ダルドが構えを取った。周囲の子供たちも目を丸くして驚く。


片腕に怪我があるとはいえ、元王都のエリート騎士。かつてはレベル30を超えており、今もレベル20はある。そんな相手が、レベル5の少年と戦うとは誰も予想していなかった。


ダルドは、インフィの不思議な剣技を見て、忘れていた熱を思い出し、なぜか戦いたくなってしまったのだ。


「ほう……これを捌くか。なるほど、おもしろい。では、これはどうだ……」


ダルドはインフィの動きを確かめるように、彼の速度に合わせて様々な攻撃を繰り出していく。


「すごいな……これは騎士の動きではない。冒険者? いや、それとも……剣神……まさか……」


ダルドがぶつぶつと呟く。その隙を見逃さず、インフィの剣が迫る。


「まったく、大したものだ……よし、これで終わりだ」


その瞬間、ダルドの姿が視界から消え、インフィの頭上で棒が止まっていた。


あまりの速さに、インフィは立ち尽くすしかなかった。


これが、レベル差。この世界の「力」の絶対的な差だ。


「調子に乗るなよ。お前より強いやつなんて、いくらでもいる。ハッハッハ」


インフィは完敗だった。だが、ダルドの笑いはどこか乾いていた。


少年の頭上で棒を止めたとき、ダルドはインフィのエメラルド色の瞳の奥に殺気を感じた。それはまるで、自分が真っ二つに切り裂かれるような錯覚だった。


一方、インフィも、頭上で棒が止まった刹那、恐ろしい感情に襲われていた。


<それは、憎悪……殺せ、抹殺しろ、跡形も残すな……人を根絶やしにしろ>


どろどろと、心の奥から湧き上がってくる。


少年はその場に座り込み、崩れるようにへたり込んだ。


周りの子供たちが駆け寄り、「インフィ、すごいな!」と褒めたたえる。


ダルドは「今日はここまでだ」と言い残し、立ち去っていった。子供たちも名残惜しそうにゲルへ戻っていった。


……


少年たちは短い夏を満喫していた。


野を駆け、山を越え、川で泳ぎ、海で遊び(海は無いが)。インフィは同年代の子供たちと毎日遊び、競い、学び、そして魔物を狩り続け、充実した日々を過ごしていた。


あの後、再びダルドと剣を交えても、あの感情が湧くことはなく、ダルドもいつものように接してくれた。


男の子たちだけで集まると、「誰が好きだ」「あいつとあの子は付き合ってるらしい」「口付けしたって本当か?」「胸に触れたら俺はもう死んでもいい」などと、幼い恋や異性への関心で話が盛り上がるのだが──インフィだけは、なぜかその輪に入ろうとしなかった。興味が湧かないのだ。


タムの妹、カイナ(十一歳)は整った顔立ちで頭も良く、学級委員長のような雰囲気を持っていた。彼女に好意を寄せる男の子は多く、インフィが一緒に暮らしていることを羨ましがる者もいた。しかし、インフィ自身には、その気持ちがまったく理解できなかった。


実はカイナは、不思議な少年インフィに密かに好意を抱いていた。母性にも似た感情で、気弱で頼りないインフィが虐められていないかと世話を焼いていた。


だがインフィは、彼女に対して特別な感情を持つことがなく、淡々と接する。その冷たさが、かえってカイナの心を惹きつけていた。


他にも、神秘的な雰囲気をまとうインフィには隠れファンがいた。ウルラーを倒してからは、公然と好意を示す子も現れ、そう、インフィにはちょっとした“モテ期”が訪れていたのだった。


だが、インフィの心の奥に渦巻いていたのは、残念ながら――


<レベルを上げろ>


(甘く切ない恋心)──このモテ期を見過ごしてしまうとは、なんとも惜しい話だが……それもまた、人生というものだろう。


『この穏やかな日々は、いつまで続くのだろうか』


『少年の剣の才は、いったいどこから来ているのか』


『なぜ、人を根絶やしにしたいと感じたのか』


少年の謎は、深まるばかりだった。


強い日差しが和らぎ、夕暮れ雲が赤く染まるころ、子供たちの想いに寄り添うように、あたたかく爽やかな風が吹いていた。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

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