表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/162

第64話 お披露目とテストプレイ?

あの日から僕は毎日頭を悩ませつつも、必要なタスクをこなし。

多くの婚約申し込みに辟易しながらも着実に準備を進めていた。


学園の敷地内で行う一大事業。

一番の責任者である陛下に会談を申し込み、ようやく今日許可が下りていた。


既に5日が経過した水曜日。


放課後僕はティアを伴って王宮を尋ねていた。



※※※※※



「よく来たなライトよ。おお、女神さまもご機嫌麗しゅう」

「お忙しいところお時間を頂きありがとうございます。早速お話しても?」


細かい話が必要とのことで、僕たちは今陛下の執務室で話し合いを始めるところだ。

なぜか一緒に居るロキラス殿下と宰相。


さらには部屋の隅に数人の近衛の皆さんも待機していた。


「うむ。お主の希望通りに学園の一区画、お主の名義に変更しておいた。宰相、書類を」

「はっ。…こちらでございます…ご確認を」


えっと。

うん。

問題ないね。


さすが陛下。

仕事が早い。


「ありがとうございます。工事自体は必要ありません。施設自体はすでに錬成してありますので。…夜中にでもこっそり設置します。…後、一度テストプレイをしたいのですが…近衛兵の皆さん、6名ほど都合つけること、可能でしょうか?」


「む?テストプレイ、とな。…のおライトよ」

「はい?」

「…ワシでも良いのか?」


陛下の突然のとんでも発言。

執務室に動揺が走る。


「っ!?なっ?!」

「い、いけません。御身に何かがあったら…」


ふわっ?

陛下自ら?

確かに事前に企画書と言うか内容の詳細は渡してはあるけど…

僕は思わず目を泳がせ、助けを求めるようにロキラス殿下に視線を向けた。


なぜかあきれ顔の殿下。

おもむろに口を開いた。


「…ライト。…そのダンジョン、死ぬことは絶対に無いのだな?」

「え、ええ。メチャクチャ疲れますが…それに回復薬も準備してありますので…問題はないかと…」


そして大きくため息をつく殿下。


「陛下」

「うむ」

「一度だけです。そのあとは認めません。良いですか?」


「むう、い、一度だけじゃと?…むむむ…ふう。…仕方あるまい。…分かった」


えっと。

なぜか決まってしまった陛下の参戦。


僕は思わず遠い目をしてしまっていたんだ。

何故かティアが“仕様書”を見て固まっていたけど?


なんだろ。



※※※※※



何はともあれ完成したダンジョン。

今日はお披露目兼『テストプレイ』の日だ。


「それじゃみんな力を抜いてね。ダンジョンの中で首とか飛ばされたとしても…絶対に現実では死なないから安心して?まあ、ちょっとは“痛い”けどね?…コホン…そしたらこのドリンクを飲み干してください」


陛下の許可のもと、僕は今学園の敷地内に100坪ほどの特区を保有していた。


そして錬成し設置したプレイルーム。

そこには100台ほどのリクライニングできる椅子が完備されていた。


因みに今飲ませたのは精神感応薬。

情報の抽出に必要なんだよね。


もちろん害は無いよ?

何気に美味しいはずだしね。


「…ラ、ライト?わ、私もテストプレイ?…受ける必要があるのだろうか?」


何故か困惑しているロキラス殿下。

その隣には目を輝かせている陛下までが本当に居るのだけれど…


執務とか大丈夫なんですかね?!

宰相の目の下のクマ…


絶対今日の日のせいですよねっ?!


「えっと。特に必要はないのですが…陛下のお目付け役?…まあ、取り敢えず楽しんでみてください」


「ふふ、若き日の滾りを思い出してしまうわ…ライトよ、早くするのだ。楽しみ過ぎてワシは昨日ほとんど寝られんかったのだからな!」


なぜか目を爛々とさせる陛下。

そしてゴツゴツした装備品。

どうやら若き日、陛下は本気で王籍を抜け冒険がしたかったそうなのだが…


まあ。


絶対に死ぬことの無いダンジョン。

テストプレイだけど安全対策は問題ないので。


うん。


「ライト、ボクたちも良いの?いきなりクリアしちゃうけど?!」

「うんうん。うちらあれからさらに力増してるんだよ?サクサク行っちゃうんだから♡」


あー、うん。


確かにルイとルザーラナは強いけど…

でもね。


まあいっか。


「えっと近衛兵の皆さんも心の準備は良いですか?」


「は、はい」

「だ、大丈夫です」


今回テストプレイに参加するのは陛下とロキラス殿下、近衛兵4名。

そしてルイとルザーラナの合計8名だ。


当然だけど陛下たちは6人での参加上限人数パーティー。

ルイとルザーラナは2人パーティー、その時点で実は“超高難度設定”だ。


「はい。それでは目を閉じてください。…一回視界が暗転しますが…すぐに設定にとびます。説明をよく聞いて、楽しんでください」


僕はそう言い、中央にあるコンソールに魔力を注入する。

全員のスキャンが始まり、いよいよゲーム、もとい“擬似ダンジョン”のスタートだ。


「あっ、そうだ。…一応説明をっと…よし。これでOK。…空間魔法とセイの魔力をつなげてっと…モニターもばっちり」


僕は注意事項をコンソールに入力、それぞれのステータスを確認してみた。


「どれどれ…ふうん。陛下意外とレベル高いんだね…74?…げっ。衛兵より強いじゃんか」


さすがにルイとルザーラナは別格だ。

だから彼女たち2人は凶悪なフロアへと案内されていた。


「どれどれ、見学させていただきましょうか?」


僕は椅子に座り、その様子を眺めていたんだ。

もちろんポテチとコーラは欠かせないよね?



※※※※※



「ほっほーう。なんと。…若返るのか?このダンジョンは?!」

「陛下、落ち着いてください。…実際には死なずとも、ダンジョン内では痛みも死もあるのです。…ちなみに…なんですかその装備は?」


始まりの間、いわゆる1階層。


このフロアには宿泊できる『馬小屋』

呪いなどのバッドステータスを直す『カンカン寺院』

そして仲間たちとの交流や転職ができる『絆酒場』


さらには悪名高い超ボッタクリで有名な『ボッタクル商店』が軒を連ねていた。


6人全員で現れた国王たち。


そこにはやたらと派手な装飾の30歳くらいの陛下とロキラス殿下、そして近衛兵4人が色とりどりの装備を身にまとい、佇んでいた。


「はあ。凄いな…まるで本物ですね…痛っ?!…普通に痛いですよ?殿下」

「うむ。凄まじいものだ…装備までそのままとは。…ライトが違う国に居なくて良かったよ…む?!」


なぜか浮足立っていたものの、とりあえず話をしながらも階段を降りる6人。

しかしいきなりの来訪者、いわゆるモンスターとのエンカウントで一気に気持ちを引き締めた。


「ブルグギャアアアアアーーー」

「ぐぬっ?!こ、こ奴等…コボルトか?」


4体でいきなり現れたモンスター。

その姿は犬のような顔をした2足歩行のモンスター、まさに“コボルト”だった。


「リ、リアルですね…まるで本物だ…くうっ?!」


感想を述べる近衛兵に1体のコボルトがいきなりこん棒で襲い掛かってきた。


『ピコン…近衛兵2は1ポイントのダメージを受けた…』


――近衛兵2て…

ちゃんと名前入力しなかったな?


「く、くそっ…舐めるなあああああ―――!!?」


すらりと抜き放つロングソード。

その一閃が目の前のコボルト2体を切り裂く。


他の2体もロキラス殿下と興奮気味な陛下により倒され、彼らの記念すべき初めての戦闘は終わりを告げた。


全員に流れる電子音。


『チャラララッタッター…戦闘に勝利した…それぞれ経験値3を獲得。2ゴールドを手に入れた…宝箱だ。…開けますか?…』


そしておもむろに現れる、木製の宝箱。

それを見た6人が思わず固まってしまう。


「…宝箱…ですね」

「うむ。…ライト、言っておったよな…すべからく宝箱には『罠』があると」

「おい、ギザーダ。お前ジョブ盗賊にしたんだよな?」

「え、ええ」



※※※※※



この擬似ダンジョン。


実は職業を選ぶところから始まる。

そしてパーティーの仲間同士の会話も可能だ。


実は、いくら強くても一人でのクリアはほぼ不可能な設定だったりする。


さらには所持できるアイテムの数。

その制限により6人パーティー、つまり最大人数での攻略が一番効率が良いのだ。


持てるアイテムは装備品を含め最大10個。

すでに陛下など、装備品で6個使ってしまっている。

あと4個しかアイテムを持つことができない状況だ。


もちろん実際の世界での職業も選択可能だが。

おのずとバランスをとったパーティー編成が必要になる。


実は出現する宝箱は必ず罠が仕掛けてある。


そのため解除できる職業『盗賊』

少し成功率は下がるが『ニンジャ』が必須だった。


もっともニンジャは超上級ジョブだし、幾つもの制限がある。

たどり着くには『変態的な長時間プレイ』が必要になることだろう。


まさに僕の前世、“蘇我頼人”の遊んだあのゲーム。

それが基本なのだ。


つまりは悪辣で鬼畜仕様。

そして一番大切なことだが。


このダンジョンは繰り返さないと絶対にクリアが出来ない仕様だ。

くくく。


ああ、儲かる気しかしないっ!



※※※※※



もちろん浅い階層の宝箱の中身には、ほとんどが『クズ』しか出ない。

極小確率でお宝も出ることもあるが…


当然無視することも選択可能だ。


「…確か浅い階層の罠には軽いダメージをもたらすもの…死ぬことはない…そう言っておったよな?」


「…確かそうですね…おい、ギザーダ…いけそうか?」

「ちょ、ちょっと見てみますね…っ!?ふわっ、情報が?!…分かる、分かるぞ!」


つぶやき手をかざす近衛兵のギザーダ。

やがてカチャリと音がし、宝箱が開かれた。


『ピコン…『木の棒?』×1、12ゴールドを獲得しました』


「………は?」

「『木の棒?』?…12ゴールド?…12ゴールドって…いくらなんだ?」



※※※※※



ニヤニヤして観戦している僕。

突然脳内で、セイが問いかけてきた。


『マスター…鬼畜と断じます。すべてが未鑑定状態…誤って装備したり使用する可能性、否定できません』


「うん?ハハハ。やだなあ。そのための職業じゃん。『ビショップ』入れればいいだけだよ?」

『…承知しました』


実は出てくるアイテム、ほとんどが『剣?』と言う表示。

つまりは未鑑定状態。


『鑑定』のできる唯一のジョブであるビショップ。

実はこのジョブを入れていないと、早々に詰む。


だって…


『…マスター。商店の価格設定、――変更を進言いたします』

「ん?なんで?」

『…鑑定の金額、そのものと同額の設定…しかも買取は半額…倫理的に逸脱していると警告いたします』


「……でもさ。……ゲームもそうだったよ?」


『…………さようですか』

「…うん」


(あれ?…呆れられてる?……いやいやそんな…)


『もう一点。…この世界に存在している鑑定のスキル持ち、“アクティブ”にしたらいかがでしょうか』

「う―――ん」


セイの常識ある発言…でも…

(もしかして…ボクの設定…厳しすぎる?…いやいやそんな…)


因みに。


当たり前だけど実際に鑑定できる人でも今の僕の設定だと。

このダンジョンではそのスキル、使用不可にしているんだよね。


だってさ。

楽しんでもらいたいだよ!

そもそもそれってずるじゃんね。


(うんうん。これは僕の真直ぐな素直な気持ちだよ?…えっと…)


『………………………』


なぜか無言の圧を感じるんですけど?


何はともあれ。

始まったテストプレイ。

右往左往する陛下たちとルイ達。


僕はどうしてもニヤニヤする事、止めることが出来なかったんだ。


もちろんセイの言う事、少しは気にかけたよ?

ほんとだからな!


『再考――進言いたします』


僕の脳内に、セイの言葉が響き渡っていた。


「面白かった」

「続きが気になる」

 と思ってくださったら。


下にある☆☆☆☆☆から作品への応援、お願いいたします!


面白いと思っていただけたら星5個、つまらないと思うなら星1つ、正直な感想で大丈夫です!


ブックマークもいただけると、本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ