第59話 ダンジョン攻略2
最深部で小休憩を済ませた僕たち5人。
いよいよ目的地である最奥の部屋へと足を進めていった。
「グギャアアアアアアアア―――――!!!」
「っ!?…うるさいな」
ドゴオッ!!
「ブルグギャアアアア―――?!!!」
どうもこのダンジョンの創造主はセンスが悪いらしい。
ゴテゴテとした異形の魔物が僕のビンタで吹き飛んでいく。
そして衝撃で体を壊し、光となり壁に吸収されていく魔物。
僕はため息交じりにつぶやいた。
「はあ。…もうちょっとこう『カッコいい』とか『生理的嫌悪感』とか。…デザインが甘いよね?」
「ハハハ、ハ。…で、でも今の魔物…相当強いよね?…ビンタって…」
冷や汗を流しつつも驚愕の言葉を零す姉さま。
取り敢えず僕たちはここに来るまでの間、幾つかのお宝はゲットしていた。
その中の一つ『羅針盤』
どうやらこのダンジョンの中枢、その正解にたどり着けるお宝のようだ。
いくらご都合主義とはいえ。
その時点で僕はある推論を立てていた。
(このダンジョン、人工物だ)
実はこのダンジョンの魔物。
まるで召喚されたような物。
意志を感じないのだ。
画一的なデザイン、中途半端な強さ。
何より殺意がほとんど感じられない。
(…伝説の教師…Sランクとはいえ彼のレベルは90前後…普通に考えて生きているはずなんてない。でも…)
ウェレッタ先生の話が本当なら。
彼は既に3か月ほどこの中にいることになる。
しかも気配を探るに彼は“軟禁”されている。
(しまったな。一度陛下に話聞いておけばよかった…たぶんだけど彼イスルダム。捕まっているというよりは…引き止められている?)
感じられる微弱な波動。
弱っていると僕は思っていたけど。
近づいた今それは勘違いだと僕は気づいていた。
(…うんざりしている気配…やっぱり…)
疑惑は確信に変わっていく。
僕は最後の部屋の扉、そこを守る高レベルの魔物をサクッと倒し。
ドアを開けるよう腕に力を入れた。
※※※※※
最奥の部屋。
そこはまさにダンジョンコアが光を放ち、幼女とおっさんが何やら慌てふためいている状況だった。
さらには細かい振動を起こしまさに決壊寸前。
僕は思わず残念なものを見る目で二人を見つめてしまっていた。
「むう、イスルダム、お前へたくそなのじゃ。このままでは崩壊すると言っておろうが!!」
「喚くなっ!気が散る!!…お前ダンジョンマスターなんだろ?どうして何もできねえんだよ?!」
「う、うるさいわ!仕方なかろう。ワシは封印状態じゃ。あのクソッたれな異星の神によってな…お、おい、それを早く!!」
「だー、だから騒ぐなっ!!指先に集中せにゃならんのだ。集中させろ!」
あー。
うん。
なんか察したわ。
僕はおもむろに二人に声をかけた。
「あの…」
「ひうっ?!」
「うぬっ?!」
びくりと肩をはねさせる二人。
そしてギギギとまるで機械のようにこちらに視線を向けた。
「な、な、なんじゃ?!お、お主ら…はっ?!ま、まさかワシを殺しに来たのか?!」
そう言い突然魔力を纏い、武術の型のような物を取る幼女。
もう一人のおっさん、きっとイスルダムなのだろう。
彼はなぜか死んだような瞳で茫然とこちらに視線を向けているけど?
「えっと。僕たちはそこのおっさ…コホン。…イスルダムさんの救出と、このダンジョンの調査に来たものです。…君がダンジョンマスター?」
見た目7~8歳くらいの幼女。
…このオーラ…神に近い?
…いや違う…彼女は…
「…本当か?…ワシを殺すのが目的ではない…そうなのじゃな?」
「う、うん。…ていうかどういう状況?…えっと、崩壊始まってるよ?」
「っ!?ひいいっ、イ、イスルダム、な、なんとかするのじゃああああ!!!」
再起動し慌てふためく二人。
僕はため息をつき魔力を練る。
(この様式…やっぱりアドバンス型…しかも魔力が足りない状況での拡張…破綻寸前だね)
突然光を増すダンジョンコア。
僕の膨大な魔力が包み込み、コアの意志とつながる。
もちろん魔力にはいたわる気持ちをのせたよ?
そうじゃないと瞬間で消滅しちゃうからね。
『…ジジ…ジ…マスター…認証……ジジ…現在のマスターとの接続…断絶…新たな支配者様…ワタクシに名を…ジジ…ジ…』
「うん?…あれ?………ふわっ?!ぼ、僕がマスター?!………えっと…」
突然安定するダンジョン。
先ほどから震えていた振動は鳴りを潜め、うっすらと美しい青色の光に包まれ始めた。
「…ライト様?」
「う、うん」
なぜかあきれ顔のティア。
どうやら僕。
ダンジョンコアに気に入られたみたい。
その様子に驚愕の声が響き渡る。
そして発せられた幼女の言葉。
僕はそれを聞き大きくため息をついてしまう。
(やっぱり。…あのクソじじい…全く)
全ては仕組まれていた事。
何より彼女、創世神の被害者だった。
つまり。
僕やルイと同じ転生者。
…マジであのクソじじい。
いつか絶対にぶっ飛ばしてやる!!
僕はさらに決意を固めていた。
※※※※※
「ふう。美味しいのじゃ…世界にはこんなおいしいものがあるのじゃな?」
取り敢えずダンジョンコアの問題は除去した僕。
喫緊の問題はないので、今僕たち5人とイスルダム、そして元ダンジョンマスターであった幼女『ミユキモリ』と7人でお茶をしているところだ。
そんな中イスルダムは突然跪き、僕に対し感謝の言葉を発した。
「ライト様。ありがとうございます。…あなた様はまさに救世主…陛下の言っていたことは誠であった…心より感謝を」
「あー、えっと。…と、取り敢えず座ってくれる?話色々と聞きたいんだけど」
「はっ。仰せのままに」
※※※※※
ダンジョンマスターであるミユキモリ。
彼女は4000年前くらいにここへと転生させられていた。
日本での本名は森美幸さん。
24歳のOL。
彼女もまた不慮の事故で命を落としたようだった。
ていうか名前…
そのままとか?
クソジジイのセンスを疑ってしまう。
「ええー?!ライトもルイも元日本人なのじゃな?!…うう、ワシだけではなかったのじゃな…ちなみに…『ハ〇ター〇ンター』はもう完結したのか?」
しかもどうやら僕たちと時間軸はほぼ同じらしい。
…何か理由あるのかな?
まあ今そこを考える時ではない。
「うん。あー、あれはまだかな。――むしろ僕も知りたいくらいだよ」
「むう、そうなのじゃな?ワシはそれが心残りでの。まあ良いわ。…して、ライトよ。そのままの呼び名でよいのかの?…ワシはすでに4000年ほどここにおるが…お主の方がワシよりも遥か格上…不敬に当たりそうで怖いのじゃが…」
「うん?問題ないよ…それよりも4000年か…長かったね」
「そんなことないぞ?何しろ心行くまで眠ることも出来たしの。確かに暇じゃが…以前の暮らしを思えば天国じゃよ…それに…」
なぜか薄っすらと顔を赤らめ僕を見つめるミユキモリ。
同時に何故かルイとティアが凄まじい威圧を放ちながら彼女を見ているけど…
嫉妬?
ハハハ。
やだなあ。
僕には幼女をどうこうする気持ちなんてないよ?
「…ライトまだ9歳じゃん…数年すればどうなることやら…彼女めっちゃ美形だし?」
うぐっ?!
なぜか心を読み口にするキャルン姉さま。
よくわからないけど僕の額から流れ落ちる冷や汗。
……えっ?
フラグ…なんですかっ?!!
いやいや。
ないないない。
何より彼女はヒューマンではない。
ダンジョンマスターという斜め上の存在だ。
何より彼女はここを離れることはできないはず。
うんうん。
問題ないよ?
「…うむ。ワシの束縛、解放されたようじゃな。晴れて自由の身という訳じゃ」
はいっ?!
ど、ど、どういう…
「ふむ?お主がマスターじゃろうが。ワシはお役御免じゃ。…伝手もない事じゃ。ライトよ、ワシも養ってたもう?……ん?まあ。…これでよいかの」
そう宣言し光に包まれるミユキモリ。
そこには。
15歳くらいの超絶美女が佇んでいた。
すっきりしたスタイルの控えめな胸…はっきり言って僕のドストライクだ。
色白で切れ長の目。
左下の泣きボクロが異常に色っぽい。
「ふむ。こんなもんかの。…どうじゃ?ワシも捨てたもんじゃなかろう?」
そう言い僕の腕に抱き着く。
うあ、や、やばい。
久し振りに見る黒髪の美少女。
異世界になれた僕には刺激が強い。
突然突き刺さる絶対零度の視線4つ。
僕の危機感知が激しく仕事をする。
そして一瞬で元の姿の戻る彼女。
大きくため息をつき、ボクの瞳を見つめる。
「なんじゃ…ライト…お主美形じゃな……決めた」
「な、な、なにを?」
「うん?ワシを好きにせい。さっきのあれはおそらく数年後のワシの姿じゃ。いい女じゃろ?まあ、胸はあまり大きくはないがの。何しろ元日本人じゃ。ちょうどよかろう?」
まさかの宣言。
また一人、ボクの婚約者候補が増えた瞬間だった。
女難の相。
あのクソじじいの呪いに違いない!!
僕は一人心の中で血の涙を流していたんだ。
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