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第142話 全マシマシ!三郎ラーメンの逆襲!!

ざわめく休憩施設の特設会場。


咆哮をあげるジョコビッチ。

涙目の執事ウェスター。

そして倒れ伏す多くの護衛たち――


まさにカオスが広がっていた。


「ふん。私に挑もうなど1000年早い。出直すのだな…げえーっぷ」



山と積まれたカラの大皿が、ここでの異常事態を物語っていた。



※※※※※



数分前――


戦勝の宴と言う、ライト渾身の料理が振舞われている休憩施設。

何故か勃発した大食い対決に、そのボルテージは最高潮に達していた。


すでに多くの料理を平らげていた馬喰い族の王『美食の女帝ジョコビッチ』

その気持ちの良いまでの食べっぷりに、多くの護衛たちがいつの間にか勝負を挑んでいたのだ。


「すげえ。あんたすげえよ…ぐうあ…」


そう言い残し、気を失うリザードマン族の護衛で来ていたバナッシュ。

彼は15人前ほどの豚肉を甘辛で調理したものを食べた時点で腹を抱え後ろにひっくり返っていた。


既に挑戦し、倒れた男性は数十人。

対するジョコビッチはいまだ底の見えない食欲をまさに全開にし、獰猛な瞳をぎらつかせていた。


「おいっ!もっとだ。もっと料理を!!」

「は、はいいい―――た、直ちに!」


(助けて…もう、料理が…ら、ライトさまああ―――!!!)



※※※※※



正直。

ライトは今回の為に、異常なほど大量の料理を準備していた。


もちろん本会場もだが、いわゆる休憩施設。

ここにいるモノたちは粗暴なものが多いのは承知していた。


犯罪人ではないものの、それに近い精神性。


(とことん満足してもらいましょうか?美味しいは正義。くくく。黙らせるにはそれが一番だよね!)


しかしその思惑。

たった一人の女性にほぼ食い尽くされる事態になっていた。


「…マジ?」


SOSを受け休憩施設の厨房に転移してきたライトの第一声。

すでにほぼすべての寸胴が底をついていた。


「ラ、ライト様!!うう、お助けを…」

「あー、うん。…ねえ、これって予備も終わりってこと?」

「は、はい」


まさに想定外。

まあ。


“無駄”にされたわけではなく、とことん楽しんでもらえた結果なのだろうけど。

まだ開宴間もない時間。


これはホストとして対応すべき問題だった。


(…ふう。しょうがない。…とっておきを出すか)


あきれ顔が一瞬で、怖気を誘う表情になるライト。

彼の“料理魂”に火が付いた。


(…馬喰い族…美食の女帝、ね。……ククク。ならばっ!!)


インベントリから取り出す幾つかの寸胴。

そして厨房全てを包み込む暴力的な香り。


「なっ?!…ラ、ライト様?」

「ふっふーん。任せてよ。…女帝の食欲、完全に抑え込む!!」


この世界に無い料理。

ライトが蘇我頼人の頃、心奪われた最終兵器――


凄まじい、まさにすり鉢。

そこに山と盛られた料理がついにこの世界でその産声を上げていた。



※※※※※



一方本会場。


美しく着飾った女神ティアリーナの周りには、多くの各国の重鎮たちが目に涙を浮かべ歓喜に震えていた。


「おお、まさに美の結晶…このディレスディード。あなた様に永遠の忠誠を」

「まあ。光栄ですわ」


その中の一人、北方の女神教を国教とするサウレイリヤの教皇ディレスディードは跪き、ティアリーナの指先に誓いのキスを落としていた。


和やかな会場。

そして振舞われるまさに美食の極致であるライト監修の料理の数々。


格式高いオーケストラの演奏は、一人の横暴な男の一言で凍り付く。


「なんだこの料理は!!髪の毛が入っておる。…この国はこんなものを喰わせるのかっ!!」


いやらしく顔を歪め暴言を吐くゲニッシュリードの国王代行ガジス・ビシュテ。

突然料理を薙ぎ払い、まるで鬼の首を取ったかのようにふんぞり返る。


その手に、彼の頭髪と同じ髪の毛を握りしめながら。


(愚かな…見え見えの工作に下らないプライド…ライト様の渾身の料理を…)


ティアリーナの瞳が温度を無くしていく。

そして吹き上がる絶対零度の魔力。


周囲の者たちは、背中にびっしりと冷たいものを感じていた。



※※※※※



「はい、お待ち。…お残し厳禁だよ?」


既に大量の料理を喰いつくし、ピッチャーでビールを流し込んでいたジョコビッチの前にいまだ見たことの無い料理がドーンと置かれた。


香る暴力的な香り。

ジョコビッチの口から大量のよだれが零れ落ちる。


「むう?!な、何だこの料理は…はっ?!…お前は…いや、あなたは…」


そして同時に感じる圧倒的な魔力圧に、抗えぬ心の底から湧き上がる本能を強制する恐怖。

ジョコビッチは瞬間で正解にたどり着く。


「うん。初めましてだね。…僕はライト。ライト・ソガ。ガルデスだ。…楽しんでもらえたかな?僕考案の料理」


ライトの言葉。

それにジョコビッチの目が見開かれる。


「なんと?!…まさか此度の料理…ライト殿の考案なのか?」

「まあね。…どうやらまだ食べ足りないようだからさ。僕渾身の料理、ご馳走するよ」


ライトの思う究極最終料理――


それは日本を席巻した――三郎ラーメン。

麺2000グラム、ヤサイマシマシ、油ニンニク大洪水。


総重量4キロを超えるまさに“破壊神”。

そして。


禁断のライトの魔力。

それをも込められていた。


その異様な光景に、会場は水を打ったように静まり返る。


「…時間制限は無いけどさ?早く食べてね?…のびちゃうから」

「う、うむ…い、いただこう」


恐る恐る“箸”と言う、馴染みのない物を手に取り――

上にあるアブラの絡まった野菜を口に運ぶ。


刹那。


ジョコビッチの瞳から涙があふれ出した。


「っ!?」


そして勢いを増す箸を持つ手。


ありえない感動と衝撃――



ジョコビッチはまさに天国にいた。


(なんという味?!…これは…これこそが我が求めていたモノ…おお、神よっ!!)


だが。


(凄いね彼女。うわあ、メチャクチャ早い?…ククク。でもね?)


ニヤリと顔を歪めるライト。

既に策は万端。


夢中で三郎ラーメンを貪るジョコビッチを見て悪い顔をする。

この料理にはいくつか秘策が込められていた。


(僕特製の“膨らし粉”…胃袋が限界突破する味だよ。お腹、無事でいてね?)


さらにはおそらく中毒に近い症状をもたらす、ほぼ致死量のニンニクをはじめとするスパイスの数々。


それはやがて始まる地獄への入口。



ライトはにやりとその様子を眺めていたんだ。



当然だけど。

同じ料理、僕は普通サイズで100食ほど出しておいたよ?


他の護衛の皆さんも地獄…コホン。天国にご招待だ。


「せっかくだし、皆でシェアしないとね?」


――その一言が、百人規模の悲鳴を生むとは誰も予想していなかった。



護衛たちの居る休憩施設。


ニンニクの暴力的な香りと、濃い味付けのされたアブラに。

空気までもが塗り替えられていた。



ライトの悪ふざけ、まさに真骨頂。


それは報告された本会場をも巻き込む――



食によるまさにテロ。


それはまもなく開宴となっていたんだ。


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