第二話 異世界初の友達 前編
ギルドに大勢の冒険者が集まっている、何かあったみたいだ。
「どうしたんですか?」
1人の冒険者に話を伺ってみた。その人は僕らに振り返るとある一点を指差した。
「ほら、あれだよ」
視線の先には1人の少年と、少年の目の前にゴブリンの死体が何十匹も重なっているのが見えた。
「え! 何あれ?」
僕は思わず大声で叫んでしまった。しかしこの混乱の中で驚かない人はいないので、変な目で見られることはなかった。
「あの人は?」
「そいつのことは分かんねぇが、突然ギルドに来て買い取って欲しいと言い出したらしい、あのゴブリンをどこからかともなく出しながら」
「……ぉ! あれってもしや転生者とかそういう系のやつじゃね?!」
「うおー楽しくなってきたー!」
何やら条夜が1人で興奮している。僕はまだいまいち状況が掴めてないのに……
「――だからこちらでは買い取れません。品質が良すぎます!」
ギルド職員が困った様子で頭を悩ましている。
「うーん、これを買い取ってもらわないと今、一文無しだからな」
そう言いながら謎の少年はため息をついていた。
「なあ、君!」
すると突然、条夜が出てった。
「何? もしかして買い取ってくれるの?」
謎の少年は目を輝かして条夜を見ている。
「いやそうじゃなくて、君と友達になりたいからさ」
「.......えっ! 本当に? 今まで友達いなかったんだよなー」
……え?あの人と条夜、噛み合ってないよね?なんであの人も突っ込まないんだ?
「後、俺達が生活に必要なくらいの金銭は上げるからそれで.......」
とかいろいろあって、その少年と仲良くなった、名前はクエルフ・サイバーというらしい。いや格好よすぎない?
「クエルフってさ転生者.......だよね?」
条夜が直球で質問を投げかけた。
「え?.......どうして分かったの?」
「やっぱり! 俺こう言うの好きだからさ」
条夜……クエルフが理解できてないよ。後僕も
「???」
「ちなみに転生前はどんな名前だったの?」
「この名前になる前は.......エルゼト・フォン・クエトリート」
『(このとき、まだ誰も知らなかった。クエルフ……いや、エルゼトの恐ろしさを……かつてエルゼトは神話の時代、『英雄』と呼ばれていた。……と、この話は今する話では無いな。すまないが、また今度話すとしよう。この物語が終焉に向かうとき、君等、彼等は本当の意味を知ることになるだろう――)』
「え、3つ名! ということは、クエトリートってもしかして王国の名前とか?」
.......完全に波に乗り遅れた。
「よく分かったね、前世は貴族で次男だったんだよ」
「おー!良かったらさ一緒にパーティー組まない?」
「もちろんいいよ」
僕はなぜか1人だけ別の空間に居るのでは無いか?と思うぐらい一切こちらに話が向けられないまま、ただボッーとしていた。
「魔法とかも教えてもらって良い?」
「魔法使えないの?」
「いや撃ち方が分かんないだけ」
「なるほど。じゃぁ明日ギルドに集合ってことで良いかな?」
「おけぃ」
「……え! あ、うん」
僕は最後の最後まで話が理解出来なかったよ……ただ明日ギルドに集合すると言うことくらいしか分からなかったんだけど……
そして僕らは雑用の依頼を受け、終えた後に宿に戻り寝た。