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両親のなれそめ

母・タルネもまた、相当の剣の腕を持っている。なにせ、国王のお妃様の警備を勤めていたほどの腕前だ。


二人が出会った当時、親父もまた、王宮で王を守る近衛兵の任務に就いていた。近衛兵になるにはちょっとやそっとの腕ではなることはできない。また、王の傍近くに仕えるために、家柄、性格など、ありとあらゆることを調べられる。そこで働けるということは、その者にとっても家にとっても名誉なことなのだ。


母は一言でいえば、気の強い女性だ。ただ、それだけでなく、ときにこぼれるような愛嬌を見せる。そのため、王宮内ではまあ、モテたらしい。貴族から求婚されたこともあったと言う。そんな母がどうして、童顔短躯の親父と夫婦になったのか。それは親父の剣筋を見て、一目で惚れたというのだからすごいものだ。


ただし、王宮の、しかも後宮での男女の恋愛はご法度だ。二人はそれをわかっていながら惹かれあい、いつしか時を一緒に過ごすようになった。ただ、やはり人の眼はごまかせない。程なくして母の上官にそのことがバレた。


「貴様、後宮の掟を知らぬわけではあるまい! 一体相手は誰だ!」


母は同じ女性である上官からかなり目をかけてもらっていたらしい。そんな人を裏切る行為であった。斬られる覚悟で彼女は父の名を報告した。


「何? ジサ? 近衛兵のジサか? ……そうか、ジサならいい」


それで済んでしまったのだと言う。程なくして母は俺を身ごもったのだそうだ。ただ、先にも言った通り、親父は流派を継ぐことはできなかったために、王の許を辞して、ユアザライ村に移ってきた。それに合わせて母もお妃の許を辞して父と共に村にやって来た。俺としては、別にそのまま王宮にとどまってもいいんじゃないかと思うのだが……。


そうした環境をすべて捨てて、母はこの村やって来て、村道場の若奥様になった。二年後には妹のメイルも生まれ、今の生活に落ち着いていくのだから、まあ、選択としては間違いではなかったと言えるだろう。


子供の頃は、親父に剣も習ったが、細かいことはおふくろに習った。優しい父とは逆に、母の稽古は厳しかった。忘れられないエピソードがある。七歳の頃、剣の稽古をつけてもらっていたら、庭に大きな鳥が止まった。極彩色の羽が実にきれいだった。


「わぁ、庭にきれいな鳥がとまってらぁ!」


そう言って喜びの声を上げた俺に、母の怒声が響いた。


「お稽古中になんですっ!」


そう言って背中をぶたれた。そのときに母が持っていたのは、刃びいているとはいえ、鉄の剣だった。お陰で背中は晴れ上がり、その痣は今でも俺の背中に残っている。今でもその話をすることはあるが、決まって母は


「よしておくれよ。まるで私が悪魔みたいじゃないか」


と言って困った顔をする。これがまた、愛嬌があるのだ。俺は、そんな母も大好きだった。

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