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ユアザライ村

ブライアル王国デルビッツ領の山あいにあるユアザライ村。そこは剣士の里として名をはせていた。村には剣聖、ジサ・ミイツ・ダンドが道場を構え、そこで多くの優れた剣士を育成していた。その村道場では、剣聖ジサの息子・シェンが、今日も弟子たちに稽古をつけていた……。


◆ ◆ ◆


「せんせーありがとうございました!」


「若先生、ありがとうございました」


「若先生、失礼します!」


今日も道場ではそんな声が響き渡りながら、ドヤドヤとたくさんの足音が聞こえてくる。ちょうど今、稽古が終わったところなのだ。


俺はシェン・ミイツ・ダンド。十七歳の男だ。今は父である剣聖ジサの道場で師範代を勤めている。


道場には約五十人の弟子が通ってくる。男もいれば女もいるし、子供もいれば大人もいる。身分も農民から貴族まで様々だ。俺はその彼ら彼女らに基本の型を教えているのだ。


元々、そうしたことは親父のジサがやっていたのだが、俺が十五歳になったときに、師範代として剣の基本は俺が教えるようになった。ちなみに、この世界では十五歳で成人となる。つまり俺は、成人と共に村道場の若旦那になったというわけだ。


ここではまず、俺が基本の型を教え、ある程度剣が振るえるようになると、親父が仕上げを行うという流れだ。親父は教え方がうまく、これまで何人もの優れた剣士を育ててきた。剣聖と呼ばれる所以がそれだ。


この世界、剣か魔法が扱えれば何とかなる。農民でも町人でも女性でも、剣の腕がよければ軍人として高い地位に就くことができるし、上手くすれば貴族や王族の剣術指南役になることもできる。それが無理でも傭兵として活躍することもできるので、まあ、食いっぱぐれがないと言える。そのため、道場に通ってくる者はみな真剣だ。特に貴族の次男三男は、成人すると家を追い出されることも多いため、自分で働き口を見つけねばならない。彼らにとっても死活問題なので、面構えが違う。そんなやる気に満ちた者たちを教えることができるこの仕事に俺は誇りを持っている。


ゆくゆくは親父の後を継いでこの道場を受け継ぐのだと信じて疑わなかったし、この仕事を一生していきたいと、そのときは思っていた……。

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