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プロローグ 村が消えた

シェンは揺れる馬車の中、窓の外をじっと眺め続けていた。すでに日が暮れ、外は暗闇が広がっている。だが、彼の眼には、在りし日の村での穏やかな日々が思い出されていた。


確かに、確かにそこに家があった。両親がいた。村人たちがいた。外では子供たちの声が響いていたのだ……。


彼にはどうしても信じられなかった。村が消えたという事実を。しかし、つい先ほど見た景色は、村が丸ごと消えていた。家も、牛小屋も、井戸でさえも。まるでそこには初めから人が住んでいなかったかのような光景が広がっていた。


一体どうやって村を跡形もなく消したのか。なぜ、村は消されなければならなかったのか。ショックと怒りで、彼の体は震えていた。


「……村を、故郷を取り戻そう。取り戻すのだ」


誰に言うともなく呟く。具体的な方法などはない。ただ、彼は心の中でそう決意した。


「お父さん、お母さん……」


思わず両親の顔を思い出した。そうして、馬車の中で一人、声を殺して泣いた。しかし、彼は知らなかった。消えた村には、ある重大な秘密が隠されていたことを……。

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