(46)魔特班屋敷専属メイド
さっきの人影といい、謎の紙といい、非日常と言うのは日常の中に突然現れる。
いつだって。
──今も、昔もだ。
暫くリビングで待機していると、呼び鈴が鳴った。
その主は、何も言わずとも分かる。
「メイドさんだ‼」
「ねぇ、何で急にテンション高いの? ねぇ?」
怒鳴る母親に呼ばれたか如く早足で一階に降り、エントランスへ。
戸を開けると、一人の美人が立っていた。
「こんにちは。えっと……」
「……はっ!」
「⁈」
「こんにちは。私、本日よりこちらのお屋敷にて専属でお仕事させて頂きます。メイドのエリナと申しま──」
──刹那。
階段の方から乱雑な足音が聞こえたかと思うと、
亜光速でエリナさんに迫る影が一つ。
「エリナちゃああああああああああああああああああああん‼」
……お姉ちゃん?
「エリナちゃん久しぶりね‼」
「お、落ち着いてください、お姉ちゃん先輩」
先輩……?
「お姉ちゃん」に突っ込むことを忘れた俺は
エリナさんに密着しているお姉ちゃんに、初歩的な質問をする。
「あの、お知り合いなんですか?」
「そうなの。エリナちゃんはね、私の騎士校の後輩ちゃんなのよ」
その言葉を聞き、王にリストを見せられた時に見せた
お姉ちゃんの表情の変化を思い出した。
「お姉ちゃん、調べ物は?」
「あっ、そうだった」
忘れてたんかい。
アイシャが言い出さなかったらいつ思い出したんだろう。
「エリナちゃん、私は今から王城に調べ物をしに行くから。部屋の案内とか、その他諸々はこの二人に任せてあるわ。よろろしくね〜」
「かしこまりました」
「それからユウ」
「はい?」
「気をつけてね?」
……?
「何に、ですか?」
「じゃ、行ってきま〜す」
「ちょっ……‼」
バタンとドアが閉まった。
「行ってしまわれたましたね……」
「ええ……」
とりあえず、言われた通り屋敷内を案内しよう。
「改めまして、エリナと申します」
「ユウです」
「アイシャです。ユウの妻です」
「こら」
「ユウさんに奥様。以後よろしくお願い致します」
……エリナさんが真に受けちゃった。
まずは荷物を置きに、エリナさんに用意した部屋へ。
「ここです」
「ありがとうございます」
「ちなみに隣はお姉ちゃんの部屋、その向かいが俺たちの部屋で、その隣がリーフさんの部屋です」
「俺たちの……? 奥様はユウさんと同居されているのですね、うらや……失敬。微笑ましいですね」
……?
「ところで、リーフさんは今おいでですか?」
「いえ、散歩からまだ帰ってないみたいです」
「そうですか。先にご挨拶を済ませようと思ったのですが……」
「まぁすぐに帰りますよ。多分」




