1 僕の名は
「ふにゃぁー。」
あくびをして伸びをする。
今日はいい天気だから、つい寝ちゃってた。
屋根の上から家の塀をつたって、家の中に入る。
「こはくー?どこー?」
ドアの小さな隙間から家の中に入ると、お母さんの声が聞こえてきた。
僕の今のお母さんだ。
僕の名前はこはく。三毛猫。最近一歳になったけど、まだ子猫といえる…よね?
僕はまだ子供でいたいよ?
そして、今、僕のことを呼んでいたのは、ママ。
前は僕と同じ三毛猫のお母さんだったんだけど、今はお母さんが教えてくれた『人間』というのが今の僕の'’ママ'’なんだ。
「こはく!どこに行ってたの?」
「にゃぁん?(別に?)」
「もぅ。こはくが言葉を喋れたらいいのだけれどねぇ。」
喋ってるよ‼
ママに僕の言葉は通じない。もちろん、ママだけじゃなく、ほかの人間も同じ。
通じないから、撫でて、とか、外に出たい、とか言っても、うんともすんとも言ってくれないんだ。
でも、通じないからこそ、家を脱走したときに適当に何か言っておけばいいから、それは良いところ。
ママは今も困ったように首をかしげている。
その時、玄関のドアが開いた。
「ママー!こはくー!ただいまー!」
「にゃ!(おかえり!)」
入ってきたのは、ママの子供で僕の飼い主のゆな。
人間の学校で言う、ショウガクゴネンセイというものらしい。
ゆなは帰ってくるとすぐに僕を抱きしめた。
「こはくー‼ただいまー‼」
ぐ、ぐるぢぃ’’
10秒程して、やっとゆなは僕のことを離してくれた。
ふぅ、助かった。
そして、ゆなは、階段をダダダッと上っていく。僕もゆなについていく。
ゆなは自分の部屋に入るとランドセルという革の鞄を棚に置いた。
僕はゆなの部屋にある僕専用のベットに寝転がる。
ゆなも自分のベットに腰を掛けて僕に向かって言った。
「こはくー。今日は智香ちゃんがくるよ」
智香一人だけ?
そう聞きたいけれど言葉が通じないから聞くことができない。
僕は人間があまり得意ではない。ゆなやママは特別枠だけど…。
智香というのはゆなの幼いころからの親友だ。
僕は一年しかみていないからあまり智香のことは知らないけれど…。
一年見てきていい子だということはわかる。
なので、智香もまた他の人間よりは平気だ。
問題はゆなのほかの友達だ。
僕は昔、ゆなの友達が五人ほど遊びにきて、撫でまわされたという苦い思い出がある。
智香一人だといいなぁ。
僕は心から(おおげさだな)そう願っていた。
初めまして!作者のらま主です。
「猫と猫とまた猫と」第一話、たのしんでいただけたでしょうか?
不定期で更新していきます。




