10話
まあ悪くないと思ったら評価してあげてください。みなさんは見ることはないと思いますがガッツポーズしてます。
称号の解析が終わり、家族3人でまた冷たい飲み物を飲んでいる。
俺としては次に控える最大の爆弾『ダンジョンコア』の報告をしたいのだが両親ともに「心も身体も保たないからちょっと休憩させてくれ」と言うので従っている。
少しでも気力と体力を回復させようとしているのか父親は3杯目をおかわりした。
「そろそろ、いいかな?飲みながらでも話は出来るし、親父もあとちょっとしたらお店開かないと駄目な時間だよね」
父親は俺に図星をつかれて、観念したのか肩を落としながら向き合う。母親は献立を考えているようでこちらを見ようともしない。いや、チラ見はしているな。
準備は整ったと思い、アイテムボックスから『ダンジョンコア』を取り出し、テーブルに置く。
最初、両親は大きな魔石かな程度の態度だったがダンジョンコアがゆっくりと浮き上がるのを見ると存在が真っ白になっていた。
「・・・やっぱり、持ってたのね」
呟いたのは母親だ。解析で俺のステータスを見て、征服者の称号があった時にうすうす気付いていたらしい。
一定の高さ、ちょうど座っている俺達の目線くらいの高さでダンジョンコアは昇るのをやめ、今度はゆっくりと回転を始めた。
この家の飾りとしては余りにも不釣り合いで似合わないがダンジョンコア単体で見れば、とても不思議で魅力的な輝きを放っていた。
「それで颯夜はこれをどうしようと思ってるの?」
「正直、どうしたらいいのか分からない…」
今日、起きてからずっと考えていた。
このダンジョンコアを使い、俺もダンジョンマスターとしてダンジョンに君臨するとか。
でもそれは現実的ではない。
学校のダンジョン学で学んだがダンジョンを創るには適した場所がある。
それは魔力が溜まりやすい場所。例えば、歴史的建造物だったり、壮大で人々の思いが集まる場所、大自然に囲まれた秘境など。
そう、ここの地域だったら名古屋城、東京だったらスカイツリーや明治神宮に皇居、大阪なら大阪城やUSJ跡地など各地にある要は観光名所と呼ばれるところだ。
だがそういった場所にはすでにダンジョンがあり、最難関だとか難攻不落、最凶最悪なんて呼ばれて名を馳せている。
ここに割って入るのは並大抵のことではないし、俺如きではすぐにトップ探索者に狩られて、ダンジョンコアを奪われるだろう。
「たしかダンジョンコアの相場は最低でも2000億くらいだったか…」
ゴクッ
思わず、生唾を飲んでしまった。親父よ、なんて強力な呪文を唱えやがる…。
「あなた、ダンジョンコアはどこで売れるのかしら?」
見事、呪文に掛けられた母親は即決だった。あれ?この流れは決まってしまうのか…?そう思うと俺の内なる思春期が暴れ出す。
「…売らない」
「えっ、でもさっきは迷ってるって…」
よく分からないが反抗心が芽生え、テーブルの上のダンジョンコアを掴むとアイテムボックスにしまい、自室へと駆け上がって行く。
両親はそんな俺の後ろ姿を見つつも何も言わなかった。
「はぁ〜」
自室のベッドの上に座り、深い溜息をつく。
売りたくないと衝動的に部屋へと引きこもってしまったが自分がどうしてこんなことをしたのかわからない。
「はぁ〜」
コンコン!
「颯夜、お父さんは仕事に戻ったからお母さんとお話ししましょ」
最後に見た母親の表情、まだ呪文が解けたとは思えない。
「今は嫌だ」
ひと言掛けると物置きを発動し、中に引きこもる。ここなら誰にも邪魔されないからだ。
物置きの中に座り、目を瞑り考える。自分はどうしたいのか…。
折角、ダンジョンコアを手に入れて世界最強種と言われるダンジョンマスターに手が掛かるとこに自分はいる。なのに現実を考えれば、暗い未来しか思い浮かばない。
人一倍強さに憧れる年頃なのに手を掛けた瞬間に自分の人生が終わる気がして、理性が諦めろと言う。
なんとかする方法はないのか思案が続く。
どれくらい考えていただろうか。結論は出ず、何気なくアイテムボックスからダンジョンコアを出す。
真っ暗な物置きの中、ダンジョンコアが淡く輝き灯りの代わりになる。
『ダンジョンコアを使用し、物置きレベルを上げますか?』yes/no
「ふ〜ん」
人生で1番冷めた声が出た。それよりも今大事なのは目の前のダンジョンコアをどうするか。
「ダンジョンコアって魔石の代わりになるんだな」
酷く冷たい声が出てしまった。この時、俺は自暴自棄になりかけていたのかもしれない。
意志とは別に指がyesを選択する。
『ダンジョンコアの使用を確認。レベルが上がります』
『物置きスキルのレベルが4に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが5に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが6に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが7に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが8に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが9に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが10に上がりました。』
『物置きスキルのレベルが最大になりました。余剰エネルギーがある為、限界突破を確認。秘密の部屋に進化します。』
『特別技能、限界突破を修得しました。』
「はあ!?」
人生で1番素っ頓狂な声が出た。
『ユニークスキル進化の為、一度物置きスキルは解除されます。』
その声と同時に物置きの扉が開き、外に押し出され尻もちを着いたまま変化を始めた扉を見つめる。
「ねぇ、颯夜。やっぱりお母さんは売った方が良いと思うのよ」
部屋の外では母親がまだ1人で喋っていたが俺が押し出された物音で異変を感じたのか部屋へと入ってくる。
「ねぇ、変な音がしたけど大丈夫?」
母親が部屋の扉を開けて、フリーズする。
なぜなら物置きの引き戸が母親の目の前で白いおしゃれな扉に変化したのだ。
そして、扉と枠の隙間から虹色の光が溢れ漏れていた。
「あああ、あんた、まさか…」
母親はそれだけ言うと幽霊のようにフラフラと一階に降りて行った。
『物置きから秘密の部屋に進化しました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが2に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが3に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが4に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが5に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが6に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが7に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが8に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが9に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが10に上がりました。』
『秘密の部屋スキルのレベルが最大になりました。余剰エネルギーがある為、限界突破を使用。秘密基地に進化します。』
白いおしゃれな扉から頑丈なそれでいて近未来的なデザインのドアになる。
『秘密の部屋から秘密基地に進化しました。』
『秘密基地スキルのレベルが2に上がりました。』
『秘密基地スキルのレベルが3に上がりました。』
『秘密基地スキルのレベルが4に上がりました。』
『秘密基地スキルのレベルが5に上がりました。』
この時の俺は間抜けな顔をしていたに違いない。
ユニークスキルの進化とレベルアップが終わったしばらく後も俺はその場を動けずにいた。
【技能】
鑑定Lv:1
気配察知Lv:1
気配遮断Lv:5
罠術Lv:1
恐怖耐性Lv:3
【固有技能】
アイテムボックスLv:2
【特別技能】
限界突破 new!
【特異技能】
秘密基地Lv:5 new!




