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B組の猛攻。女って怖え~菊地心の叫び~

「おい、早瀬いる?」


 翌日の昼休み。B組のクラスメイトは、ほぼ全員がE組に出向いていた。学食に向かっていた俺は全く知らなかったが。


「なに?」


 廊下を塞ぐほどの大人数でE組を訪れたB組の生徒の数に圧倒されながら、早瀬は顔を顰める。


 先頭を切って顔を出しているのは菊地。その菊地の目は怒りで燃えていた。その周りを埋める他のクラスメイトもみな似たような顔をして早瀬を睨みつける。女子に至っては腕組みをし、ゴミでも見るような眼差しだ。


「てめえが隠し撮り写真で如月を脅したゲス野郎かよ」

「なっ……」


 菊地のデカイ声は教室の端々まで響き渡る。E組の生徒はみんな驚いて早瀬を振り返った。


「や、やめてよ。そんなことしてないよ!」

「嘘つけ。昨日俺ら全部聞いてたんだけど」

「……!」

「消してって如月が頼んでも断ってたわよね。ひとが嫌がることする奴ってマジで最低」

「男を脅さないと彼氏も作れないわけ? マジで笑える」


 表面上は控えめで可愛らしい女子を演じていただけに、クラスメイトのショックは大きい。


 クラスメイトからもB組の連中からも突き刺さる視線を浴びて早瀬は唇を噛みしめる。学食に移動しようとしていた生徒が何ごとかと足を止め、野次馬が集まり出す。


 こんな風に晒すことはしたくなっかったが、それでも菊地は黙っていることができなかった。


 昨日の放課後、菊地と数名の女子は如月の恋の行方を心配してコッソリと後を追い、ドアの影に潜んで耳をそば立てた。いつの間に来たのか、気づいた時には浅見先生まで輪に入って双眼鏡を片手にのぞき見に参加していたけど。


 なにしてるんですか? そう訊ねようとしたら双眼鏡を構えたまま真剣な顔で「しっ!」と言われてしまったので、咎めるつもりがないならいいかとそのまま一緒に見ることにした。


 そのあと聞こえた二人の会話はショックなものだった。早瀬が如月に向けたスマホの画面まではよく見えなかったが、リレーのとき如月の素顔を見ていた菊地は悟る。


 きっとあそこに映っているのは如月の素顔だって。


 如月がしているのは伊達メガネだ。グランドに投げ捨てられたメガネを拾った時、菊地はそのことを知った。本当はカッコイイ奴なのに、絶対にメガネを外そうとしない如月を見ていて思ったことがある。


 もしかしたら如月は素顔を隠したいんじゃないのかって。でも隠す意味は分からない。


 屋上に駆り立てたのもそのせいだ。一般的には女子からの告白なんて、誰しもが喜ぶイベントに他ならない。


 二人三脚の時もリレーの時も。如月から多大な恩を受けた菊地は本当に春が来ればいいと願っていたから。


 それは女子も同じ。男子は誰ひとりとしてTシャツの制作に手を貸さなかったのに、部活の時間まで使って手伝ってくれた如月。


 どんなに活躍しても絶対にひけらかさないし、率先してみんなの力になろうとする。そんな如月は女子の間でも好印象だった。


 見かけはイマイチだが、イイ奴。そんな位置どりだったのである。


 そのため奥手そうな如月に告白イベントが飛び込んできたと知った時は正直、興味半分、喜び半分といったところだった。


 でも本当に彼女ができたら心から喜んであげようと思っていたのに。



  嫌がる如月を脅してた。



 はらわたが煮え繰り返った菊地は、途中で飛び出して早瀬の横っ面を殴り飛ばしてやろうと思ったのだが。


 それより先に動いたのは浅見先生で。手にしていた双眼鏡をクラスメイトに押しつけてドアから飛びだしていってしまった。


 タイミングを逃した上に如月に見つかってしまい慌てて退散してきたものの、不燃症のまま終わった怒りは収まらない。 


 それは一緒に見ていた女子も同じだったらしい。クラスに戻るなり怒り心頭でことのあらましをみんなに話して聞かせた。


 その中には悔しさのあまり涙を浮かべている奴もいたし、ムカつくという言葉を飽きるほど繰り返す奴。帰って来ない如月を心配する奴もいた。


 小さく隙間を空けて覗いていたから、早瀬が取り出したスマホの画面に何が映っていたかなんてきっと誰も見えてない。双眼鏡で見ていた浅見先生は別かもしれないけど。


 だけど如月がハッキリと断っていたのはみんな聞いていたし「彼氏になってくれたら消す」という早瀬の言葉も耳にした。それだけ情報があれば十分だ。


 菊地はひとりで早瀬に文句を言いに行こうと思っていたのだが、そこに女子が便乗した。


 大人数で押しかけるのは流石に……と躊躇したのも確か。だけど誰も譲らなかった。みんな早瀬にひとこと言ってやらないと気が済まないといってきかない。


 如月の言葉を遮って出向かせたのは自分だ。その責任と期待感を煽ってしまった後悔に、菊地は心を決める。じゃあ、みんなで行こうと。そしていまに至るわけなのだが。


「二度と如月にあんなことしないで」

「今度したらタダじゃおかない」


 腕組みをして睨みをきかす女子は次々を言葉を重ねる。それは未だに怒りが収まらない菊地に口を挟む隙さえ与えない。菊地が言いたかったことはもう全部女子に言われてしまった。


 そして菊地は思う。もう十分やっただろと。クラスメイトの前で暴露されて早瀬のメンタルはズタボロなはすだ。これ以上なにをするんだよ。女って怖え。


 心ばかりの同情を早瀬に向ける菊地は、それでも口の止まらない女子にドン引きしながら相槌を打ち、平静を装うことに専念するのだった。



いつもご覧頂きありがとうございます。

菊地の反撃・・・・・・と思いきや、女子が強かった。

菊地やクラスメイトの思いに寄り添って頂ければ幸いです。

そして菊地と同じく女子って怖えって思った方はぽちっと評価をお願いします☆

次回はハッピーエンドに向けて大きく展開が動き出します。

ぜひお楽しみに。

続きを楽しみにして下さる方はブクマをお願いします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] はーい! 女子って怖いですよなwww [気になる点] 「不燃症」という言葉があるのか分かりませんが「不燃焼」もしくは「不完全燃焼」とかなのかなと思いました。
[気になる点] うーーん。イマイチ。 この行動は、如月を思ってのことかもしれないが、そもそも、菊池が如月が断ろうとしていたところを無理矢理行かせたことが原因では、、、 これで、その告白した人を攻めに行…
2021/09/08 17:38 退会済み
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