表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

『第0話 PART1』


挿絵(By みてみん)



 アライグマとキツネ。


 二匹はいつも仲良し。


 森の中で、今日もどうやら待ち合わせをしていたみたい。



 キツネからご挨拶。


「おはようタヌ(きち)くん」


 アライグマは答えます。


「タヌキじゃなくてアライグマだ!」


 そんないつものやりとりで、アライグマとキツネは挨拶をします。


 二匹はいつも仲良くピクニックに出かけています。


 今日のピクニックはどこに行くのかな?



「よしキツネ! 今日は約束通りドングリ池に行くぞ!」


「オンボロ橋を渡った先だったね。少し遠いね」


「俺は方向音痴なんだからな。たのんだぜ!」


 そんな風にアライグマとキツネは話し合いをします。


 今日は、オンボロ橋を渡った先にあるドングリ池へ、二匹は向かうことに決めたようでした。





 ピクニックの途中で、

 二匹はお空を見上げてお話しします。


「おい、キツネ見てみろよ! キレイな虹が架かっているぜ!」


 そう、昨日は大雨だったけど、今日はキレイな青空。

 お空には、それはそれは見事な虹が浮かんでいるのでした。


 アライグマに言われて、キツネはロマンチックに返事をします。


「こんな立派な虹が架かるなんて、今日は特別な一日になるかもね」


 そんな話しをしながら、二匹は森を歩いておりました。





 二匹は途中で野菜広場を通ります。

 野菜広場には、リスくんとクマさんがおりました。


 リスくんは、クマさんの上に乗っていました。

 そして、クマさんの上から、二匹に話しかけてくるのでした。


「キツネ、アライグマ、どこ行くんだ?」


 キツネは答えます。


「オンボロ橋を渡って、ドングリ池に行く途中だよ」


「よし! オイラもついていこう!

 ほら、クマ! いけ、いけ〜!」


 リスくんはクマさんを、そう言ってゴボウで叩きます。


 キツネは言いました。


「やめなよリスくん。クマさんがかわいそうだよ」


「うるさい! うるさい!」


 でもリスくんは、叩くのをやめませんでした。





 四匹は途中で果物広場を通ります。

 果物広場には、ヘビくんがおりました。


 ヘビくんは果物の食べすぎで、おなかが大きくなっています。


 ちょっと苦しそう。


 そんなヘビくんが、四匹に話しかけてきます。


「みんな、どこにいくんだい?」


 キツネは答えます。


「オンボロ橋を渡って、ドングリ池に行く途中だよ」


「じゃあ、ボクもついていこう」


 そう言って、ヘビくんもいっしょに行くことになりました。


 ヘビくんは体が重そうでしたが、ノロノロとみんなについていくのでした。





 五匹は森を歩きます。

 そして、オンボロ橋に着きました。


 今日は昨日の大雨で、オンボロ橋の架かる川は、とっても激しく流れています。


 落ちたらとってもたいへんそう。



 クマさんは言いました。


「わ、わたしは大きくて重いから、わたしが乗ってはオンボロ橋が落ちてしまう」


 リスくんは言いました。


「うるさい! 怖がりのクマめ!

 いけ! いけ!」


 そう言ってリスくんは、クマさんをゴボウで叩くのです。


 キツネは言いました。


「リスくんやめなよ。クマさんがかわいそう。それにクマさんが乗ったら、本当に橋が落ちてしまうかも……」


「しょうがね〜な〜」


 そう言うと、リスくんはクマさんから降りて、自分の足で歩きだしました。





 クマさんを残して、四匹はオンボロ橋を渡ります。


 先頭はアライグマ。


「もうすぐドングリ池だ! いくぜ!」


 お次はキツネ。


「やっぱり怖いな……」


 お次はリスくん。


「よし、みんないけ! いけ!」


 最後はヘビくん。


「う〜ん、体がおも〜い」





 みんながオンボロ橋を渡っていると、音がきこえてきます。



 ぷちり、ぷちり。


 ぷちり、ぷちり。



 キツネは怖くて言いました。


「なんだかイヤな音がする。

 怖いな……ボクは泳げないんだ」


 それを聞いたアライグマは言います。


「大丈夫だ!

 落ちても俺が絶対助けてやる!」


 そう頼もしく、キツネを元気づけるのです。


「あぁ、ダメだ……怖い」


 でもキツネはそう言って、ついに立ち止まってしまいました。



 その時です!



 とても美しい歌が聞こえてきます。


「ヒン♪ カラカラ♪ ヒンカラリン♪」


 コマドリさんが歌いながら、やってきたのです。


 コマドリさんは、オンボロ橋のなわの上に乗って、それから、みんなに聞いてきます。


「あんたたち、どこ行くの?」


 アライグマは答えます。


「ドングリ池に行くところだ」


「キツネはどうしちゃったの?」


「怖くて、歩けなくなっちまった」


「そう、じゃあ、あたしの歌で勇気をあげる」


 そう言って、コマドリさんは歌います。



「ヒン♪ カラカラ♪ ヒンカラリン♪」


 コマドリさんの歌はとてもキレイ。

 それを聞いたキツネは勇気が出ました。


「ありがとう、コマドリさん」


 そうお礼を言って、キツネはまた、歩きだしました。





 何とその時です!


 リスくんが、ちょっとイタズラをしてやろうと、コマドリさんをゴボウで叩きました。


「えい!」


「ヒン♪ カラカラ♪ ……あいた!」


 当たり所が悪かったのか、コマドリさん。

 気を失って、オンボロ橋から落ちてしまいます。


「コマドリさん!」


 キツネは叫びます!


 そして、コマドリさんを助けようと、橋から落ちてしまいます。


「バカ! 泳げないくせに!」


 アライグマは叫びます!


 そして、キツネを助けようと、橋から落ちてしまいます。


「うわー!」


 リスくんは叫びます!


 みんなが同じ方向に落ちるものだから、オンボロ橋は傾きます。

 だから、リスくんも橋から落ちてしまいました。


「あれ~」


 体が重いヘビくん。

 ヘビくんも橋から落ちてしまいました。



 この日、みんなは、

 川に落ちてしまったのです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ