『第0話 PART2』
この日。
とても、悲しいことが起こりました。
五匹の動物たちが、大雨のあとの、激しく流れる川に、落ちてしまったのです。
コマドリさんは、羽根に油がぬってあるから、水に入っても大丈夫。
飛べるはずです。
「あぁ、羽根に水が……」
どうしたのでしょう?
コマドリさん、羽根が水にぬれて飛べません。
コマドリさんは、川に沈んでいきました。
ヘビくんは、泳ぐのがとっても得意。
泳げるはずです。
「う〜、体がおも~い……」
どうしたのでしょう?
ヘビくん、体が重くて泳げません。
ヘビくんは、川に沈んでいきました。
リスくんには、激しく流れる川でも助けてくれる、強い強いクマさんの友達がいます。
「クマ〜! 助けて〜!」
リスくん、ゴボウをブンブン振って、クマさんに助けを求めます。
「うぅ、ゴボウ怖い……」
どうしたのでしょう?
リスくんをクマさんは助けてくれません。
リスくんは、川に沈んでいきました。
キツネは、泳ぐことができません。
きっと、川に沈んでしまうでしょう。
「がはっ、はぁ、ぐるしぃ」
やっぱり、溺れてしまっています。
「ぐるし……、はあ、え?」
どうしたのでしょう?
キツネの体が軽くなり、お顔が水の上に出て、息ができるようになりました。
キツネは、川に沈みません。
スイスイと岸に泳いでいきます。
アライグマは、泳ぐのが得意です。
アライグマは、自分だけなら助かることができるでしょう。
でも、友達のキツネは泳げません。
だから、キツネを背中に乗せて、自分のお顔は水の中。必死に、岸まで泳ぎます。
だいぶ、岸まで泳いだところ。
アライグマは、お顔を水から出して、最後の力で叫びます。
「クマー! キツネを頼んだ!」
その声に、怖がりなクマさん。
勇気を出して、川に飛び込みます!
そして、キツネをつかんで、助けたのでした。
アライグマはそれを見て、嬉しそうな顔をします。
でも、そこで力尽きてしまったみたい。
アライグマは、川に沈んでいきました。
この日。
四匹の動物たちが、川に流されて、死んでしまったのです。
キツネは、悲しくて泣きました。
「そんな……みんな……」
目の前で起こった恐ろしい出来事に、怖がりのクマさんも、泣きました。
「うぅ……、うぅ……」
二匹は流れていく川を、しばらく見つめていたのでした。
しばらくがすぎて……
お空が夕焼けになった頃。
キツネが立ち上がって言いました。
「そうだ! ドングリ池でお願いしたら、みんなが帰ってくるかもしれない」
そう言って、キツネは歩き出します。
ドングリ池にお願いごとをしたら、そのお願いは叶うといわれています。
もともと、みんなは、そこに行こうとしていたのです。
ぷちり、ぷちり。
ぷちり、ぷちり。
イヤな音がするオンボロ橋。
とっても怖かったけれど、キツネはがんばって渡りました。
夕日が落ちて、夜の森。
暗い、暗い、夜の森。
ほとんど何も見えない夜の森。
とっても怖かったけれど、キツネはがんばって歩きました。
キツネは、まだ水にぬれた体で歩きます。
ドングリ池にお願いをするために、
みんなが帰ってくるように、
がんばって、がんばって、歩きます。
そして、ついにキツネは、ドングリ池にたどり着いたのです!
「やっと、やっと着いた!
ドングリを投げてお願いをしよう!」
そう、キツネが言うようにドングリ池。
ドングリを投げ入れて、お願いごとをしたら、そのお願いが叶うといわれていました。
だからキツネは、お池にドングリを投げ入れたのです。
ポチャン!
すると、お池がパーっと光ります。
それは月明かりのようで、それよりも、ずっと強く輝いていました。
それを見て、キツネはとっても嬉しそう。
「やった! 噂は本当だったんだ!」
キツネは嬉しそうに、でも、泣きながら、大きな声でお願いごとを叫びました!
「お願い! 今日あった悲しい出来事を、無かった事にしてください!」
すると、お池がパーっと、さらに強く光ります。
そして、お池はスーっと、その光を消して、暗くなるのでした。
ドングリ池の光が消えて、夜の森は、また、暗くなってしまいます。
暗い、夜の森の中。
キツネは疲れて、眠ってしまいました。
次の朝。
キツネが朝起きると、なぜか、自分のお家で眠っていたのでした。
「クマさんが運んでくれたのかな?」
キツネは、そう考えました。
「そうだ! みんなは帰ってきたかな!?」
キツネはそう思って、お外に飛び出していきます。
キツネがお外に出かけると、
友達のアライグマも、
リスくんも、
クマさんも、
ヘビくんも、
コマドリさんも、
みんな、ちゃんといてくれました。
「良かった! ドングリ池が、ボクのお願いごとを叶えてくれたんだ!」
キツネは、とっても喜びます。
良かったですね!
この朝、お空を見上げると、
そこには珍しい、
逆さまの虹が架かっているのでした。




