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『こばなし その5』

 

 オンボロ橋はおんぼろです。


 今にも(こわ)れそうです。


 でも、壊れずに、

 みんなに、川を渡らせてくれます。


 そう、立派(りっぱ)な橋なのです。


 だから、オンボロ橋は、いつも考えます。


「誰か通らないかなぁ」


 オンボロ橋は誰かが通るのを楽しみに、

 いつも、みんなを待っておりました。


 



 ヘビくんがやってきました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」


 でも、ヘビくんは泳げるので、オンボロ橋を使わず泳いで、川を渡って行きました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」





 次の日、アライグマがやってきました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」


 アライグマは泳げるので、オンボロ橋を使わず泳いで、川を渡って行きました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」





 次の日、コマドリさんがやってきました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」


 コマドリさんは飛べるので、オンボロ橋を使わず飛んで、川を渡って行きました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」





 次の日、リスくんとクマさんがやってきました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・きた!」


 クマさんは体が大きいので、オンボロ橋を使わず歩いて、川を渡って行きました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」



 リスくんは、クマさんの背中に乗ってオンボロ橋を使わずに、川を渡って行きました。


 オンボロ橋は思います。


「・・・・・・」





 次の日、キツネがやってきました。


 オンボロ橋は思います。


「きたきたきたきたー!」



 キツネはオンボロ橋に近づいて来ます。


 オンボロ橋は思います。


「こいこいこいこーい!」



 でも、

 オンボロ橋に近づいたキツネは、渡らずに立ち止まりました。


 オンボロ橋は思います。


「え?」



 そして、オンボロ橋が、思ってもみなかったことが、起こったのです!



 なんと!


 キツネがカチカチと石を叩いて、火をつけ始めました!


 オンボロ橋は思います。


「え!?」



 キツネは言いました。


「こんなオンボロの橋、誰かが渡っていて壊れたらたいへんだ。燃やしてしまおう」


 オンボロ橋は思います。


「えー!?」



 キツネは言いました。


「それにボクはなんとなく、この橋が大きらいなんだ」


 オンボロ橋は思います。


「えーー!!」



 


 キツネに火をつけられ、

 メラメラと燃えるオンボロ橋。


 その日、オンボロ橋は燃えてしまって、川に落ちていきました。


 めでたし、めでたし。



「えーーーー!!」









 次の朝。


 キツネが朝起きてお空を見上げると、そこには逆さまの虹が架かっておりました。


 キツネはその虹を見て、

「ちっ」っと 舌打(したう)ちしたのでした。


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