エピローグ
母上が亡くなった、母を知る人は言うだろう、この家の中心は母だったと。
父が亡くなって10年以上経った、唯一母が泣いたのは父が亡くなった時だけだった。
60程で亡くなる人が多い中、御歳83歳、大往生と言えるだろう。
「ウィル、そろそろ・・・」
「ああ・・・」
母を看取ったのは妻マリアだった
「庭園でお茶をしていたの、お義母様も調子が良さそうで・・・」
「ふふふ・・・」
「お義母様、どうしたのですか?」
「あ、ごめんなさい、突然気持ち悪かったわね」
「いいえ、それで?」
「ふふ、やっと追いついたと思って」
「追いついた?何に・・・」
キャーッ!
叫び声が聞こえる、見ると孫のクリスが侍女のスカートを捲りあげていた
「コラッ!クリス!」
このイタズラ好きは誰に似たのか、叱り声を上げると
「やべっ、お祖母様と曽祖母様だっ!」
そそくさと逃げて行く、もう、ホントにあの子は・・・
「それで、お義母様、何に・・・、あら、お義母様?お眠りになられたの?
お義母様・・・?」
穏やかな顔で眠っているようにしか見えなかったそうだ。
「しかし、「追いついた」と?」
「ええ・・・、結局聞けずじまいで・・・」
「ふむ?」
「それにしても、お義父様と同じ年齢で亡くなられるなんて・・・」
!
「年齢、年齢か!」
「え?」
「父上が亡くなって17年だ」
「あら、もうそんなになりますか?」
「ああ、そして父上と母上の年齢差が17だ」
「まあまあ、じゃあ「追いついた」とは」
「ああ、母上が父上の年齢に「追いついた」だ、フッ、くくくっ!」
「なあに突然笑い出して?」
「コレが笑わずにいられるかよ、母上父上の事好き過ぎるだろっ!」
「当時も随分仲のいいご夫婦と思っていたけど、」
「仲の良い、なんてもんじゃない!万年新婚夫婦かってくらい、ずっとずっと寄り添っていたよ」
お陰で弟妹達は10人を越える、下の弟妹達とは歳も10以上離れてるしな
「まあ、そんなに?」
「ああ、そして父上が亡くなって少し経った時、俺とミカ、ミリーにだけ零した事がある、年齢が開き過ぎて色々言われたわ、勿論そんな事関係無い程幸せだったけどね、って」
「そう・・・」
「その事は父上にも言えなかったと気にするからって、でも俺達3人は知ってたんだ」
「知っていた?」
「ああ、父上も言っていたんだ、「俺がもう少し遅く生まれていればリリーに苦労させる事も無かった、だが言ったらリリーが気にするから言えない」って」
「あら、ふふっ、お互いに想いあっていたのね」
「ああ、本当に間に隙間の無い夫婦だったんだ・・・」
ずっと想いあって来た、聞けば5歳で父上に惚れた、だの、可愛い人なの、だの・・・
父も父で、俺の半身、だの、愛しき妻、だの・・・
延々と惚気けている2人で、
「会えたかしら・・・」
「会えたさ、2人が離れるなんて、この17年が奇跡的なものだったんだよ」
さて、式は子の最期の務めだ、しっかりしないとな。
終わったらミカとミリーに、いや弟妹達全員に教えてやらないと
父上と母上は、死んでもイチャついて居るぞ、って。
fin




