モブ、幸せとこれからと。
次に目を覚ましたのはお日様が天高く位置した時でした。
「ん・・・」
体力全て使い切るとこんな風になるのですね
辛うじて動かせるのが指と口、目、後は動かす気力もなくベッドに五体投地です・・・
「リリー、大丈夫か」
「こ(れが大丈夫に見えます?)、ヴィー・・・」
声も掠れて言葉になりません、喉いたい・・・
「すまない」
「みず・・・」
「あ、ああ」
ヴィルヘルム様は私を助け起こし、背中にクッションを沢山積んで寄りかからせます。
水は流石に普通にコップに注ぎ、手渡して来ますが手がプルプルしていてそのままヴィルヘルム様も手を添えたまま飲みます
「ん、ん、・・・」
こんなに美味しい水は初めてです、全部飲み干して
「っはあ、ヴィー、何かいう事は?」
ヴィルヘルム様をじっと見つめます
「ん、リリー、良かった・・・」
カアーと顔が熱くなるのが分かります
「違っ、うの!いえ、良かったのは良いけど、私、いや、って言ったのに、ヴィーは止めてくれなかった!何回もダメって言ったのに!」
カッとなりクッションを投げつけようとするも重くて持ち上がりません、クッションってこんなに重かったっけ・・・
自分の腕が重いのか・・・
大きくバランスを崩して突っ伏しそうになるも、
「危ない」
ヴィルヘルム様が抱き留めてくれます、恥ずかしさと怒りが収まらないので、そのまま胸を叩きますが力が入らないので何ともスッキリしません。
「リリーも応えてくれたじゃないか・・・」
「な、、っ、」
あまりの言い草にはくはくと口だけが動き、言葉を失います
「違うのっ、最初の方のいやはいいのいやなの!
最後の方のいやはもう無理のいやなの!」
もう、もうっ、なんて事を言うのよ!
「う、いや、すまない・・・」
ポカポカ胸を叩きますが腕も上がらなくなってきて、ヴィルヘルム様にも大して効かないので諦めます
「はあ、はあ、もうっ、」
「リリーすまない・・・」
キッと睨むと少し離れて謝るヴィルヘルム様
「んっ!」
私は両手を広げてヴィルヘルム様に精一杯伸ばします
「?」
困惑するヴィルヘルム様に向かって
「私、今日は動けません!罰としてヴィーがお世話して下さいね」
と言うと、ぱあっと輝く様に笑って
「あ、ああ任せろ!」
と喜ぶヴィルヘルム様、可愛い・・・
「取り敢えずお風呂に入ってサッパリしたいです・・・」
「分かった、一緒に入ろうか」
「・・・、うん」
ふわりと抱き上げられたので首に手を回すと先程へこんでいた姿とは打って変わって上機嫌になっています
「ヴィー、先に言っておきます、今、不埒な真似をしたら本気で怒りますからね、お風呂一緒に入るだけですよ・・・」
「分かっているとも」
その後、リリアンを抱き上げて浴室から出て来たヴィルヘルムは恐ろしい程に上機嫌で、リリアンは真っ赤な顔で怒っていたという。
遅めの朝食を摂り、ゆっくりサロンでお茶を飲みます
身体が辛いのでヴィルヘルム様に寄りかかりながら
「ヴィー、お話があります、これは我儘です・・・」
「リリー?」
真剣な顔で言う私にヴィルヘルム様も居住まいを正して下さります
「ヴィルヘルム様、長生き、して下さい・・・、私お婆ちゃんになっても幸せで居たいです、、きっと貴方が居ないと私は幸せになれません・・・、1日でも良いですから、長生きして下さい」
ヴィルヘルム様がどんなに長生きしても、きっと私の方が長生きです、17も歳下ですから、でも・・・
「リリー、俺からの我儘も聞いてくれ」
「?」
「子供を沢山つくろう、俺は多分君より先に逝く、だからリリー、君が寂しくないように、いつまでも笑顔で居られるように沢山・・・」
私にはきっと負担を掛けるだろう、だから俺の我儘だ、と。
「はい、・・・はい、沢山、私、沢山子供を産みます、でも今朝みたいな事を何回も繰り返されたら怒りますよ?」
「ああ、出来るだけ善処しよう、だがリリーは魅力的だから自信はない」
そう言いながら私を膝の上に乗せてお腹を優しく撫でて来る。
「もう、・・・えっち」
「ははっ、すまないな、もしかしたらもうデキているかも知れないぞ」
初夜で当たるなんて、まさか、ですよ。
「そんな簡単にはデキたりしませんよ?」
「そうだな、父上達も兄上達も苦労したからな、だけど根拠は無いがリリーとなら大丈夫な気がするよ」
「根拠が無くとも、希望ある未来、ですか」
うん、そういうのはとても好きです。
「ああ、良くも悪くも遠い未来に悩んでいても仕方ないだろう、リリー、今を共に・・・」
「はい、どうぞ宜しくお願い致しますね、旦那様?」
こうして私は私の人生を生きて行きます
前世は気付けば死んだ人生
モブだけど、自分の人生は自分が主役よ
今世はどうか愛しい人と生きていけるよう
最期のその時まで笑える人生を
2度目のチャンスをくれた神様なら、それくらい叶えてくれますよね?
<了>
1度区切ります、話は続きます。




