表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

第10話 疲労くらい知ってるよ!

 面倒くさそうにされても私もよくわからないのでどうしたら良いのやら。うぇっ、すっごい大きなため息吐かれた!!


「おい、神…なんつーめんどくさいもんを寄越してくれたんだ…」


 しっかりと言葉にされた。私は面倒臭い生き物らしいですはい。そうは言ってもガックリとした様子で天を仰ぐマイくんにどうしたら良いかわからない。


「えっと…普通に見捨てたら、いいんじゃないの?」


 あ、またため息だ。そんなに面倒臭いなら捨て置いてくれていいよぉ…幼児の可愛い顔が歪むのこれ以上見たく無いよぉ…


「いいか、お前は神様の召喚者、あるいは神の所有物である可能性が捨て切れない。そして神の所有物を拾った俺には僅かでも神が憑いていることになる。その神に関わるものを自ら捨ててみろ。」


 えーと、神がつく…めちゃくちゃ運が良さそうな雰囲気あるんだけど、そう言う事なの?それを捨てるってことは…


「一つの神に敵対した時点で俺の人生終わりってことだ。神に見放された人間が都合よく生きていけるわけないだろ。」


 あー、なるほど。ようやくわかってきた。私は神様の物扱いでマイくんは神様のものを拾ってしまってそれを捨てたら怒られると…

え…ごめん…勝手に付いて来た私が悪いですね。てかマイくんの話、理解できてる自信がないけどこれであってるよね?


「あ゛ーーーーーっ、もう!どうしようもなくなったじゃねぇか!!いいか⁈この先お前が神と関係ないと分かった時点で捨て置くからな⁈それがわかるまでの関係だ!!一応一緒に居てやるが下手な手助けは望むなよ!!」


 おぉ…絶望から今度はめっちゃ怒ってる。申し訳ない。ごめんなさい。…いや私これ巻き込まれてるだけでは?

 うんまあでも今の時点で関わらないといいつつなんやかんや助けてくれてるし、鍋とか岩塩とかくれたし、寝床はちゃんとあるからいらないとか言って服も返してくれたし。

 今だってほら、喋りつつ私が集めていたまだ無事なツル草でカゴ編んでる。

 うわー、早いな。全く触らずにするすると空中でツル草がカゴに変わっていく。え、何それずるい。


 まあいいか。話も終わったみたいだしご飯も食べ終えてるし、私はその隣で熊の毛皮を整えよっと。細い枝を束ねて櫛みたいに毛をといてるだけだけど。

 あとで平たい岩に張り付けて叩いて乾かしてみようかな。なめし方とか知らないけどこんな感じでいいと思う。虫さえわいてなければそれっぽくできるものだ。

 水洗いは何回もしたからあとは乾かすだけなんだけど…なんかまだ獣くさいんだよね。

 マイくんに相談してみよう。もう話しかけてもいけるかな。怒って無いみたいだ、よしいける!

 お、魔法だ。くりーんあっぷ?とか言ってた。うわ、凄い、毛が艶々になった。寝心地良さそう。

 魔法のおかげなのかフワフワになったその毛を私はまた丹念にとく。毛皮が破れないように櫛もどきが壊れないように丁寧に丁寧に。

 頑張った甲斐あってか心なしか毛が更に艶々してるようにみえる。もう少しすればマイくんに渡せるかな。

 私は肌が硬いから地面でも十分柔らかい。岩まで行くとちょっと硬いけどまだいける。

 前に普通の人は地面は硬いって聞いて驚いた。それに冷たいって。確かに私の肌よりも地面は冷たいけどそれがどうかしたのかなって思う。冷たいと寝られないのかな?冷たいだけで寒いわけでもないしなんの問題もない。

 やっぱり私は周りからすれば化け物なんだろうな。ほんの少し胸が痛んだ。こんなんで普通の人間って言えるわけないよね。異世界に来ても私が化け物なことは変わらなかったみたいだし結局どこに行ってもダメなのかもね。

 私は夜に誰かと寝ることができない。そりゃそうでしょ?意識がない間何をしてしまうかわかったものじゃないから。

 朝起きた時抱き潰した相手が目の前にいるかもしれないんだよ?そんなの耐えられない。

私はこれから先、誰かの温もりを知ることはないんだろうな。


「おい、キノコ取りにいくんだろ。」


 自分よりほんの少し上から声をかけられて慌てて見上げる。といっても座った私と立ったマイ君で目線にそれほど差があるわけじゃない。

 時間が経ったからか呆れたり怒ったりは完全に治ったみたいで良かった。それでもちょっと偉そうにしてる姿はやっぱ可愛いなぁ…あれ?そんなに長い時間経ったっけ?

 目の前に立つマイくんは両手で抱えるほど大きなカゴを完成させていた。数分しか経ってない気がするのにこんなサイズの素敵なカゴを作り上げるなんて…。これがマイくんの能力なのか、魔法のおかげなのかよくわかんないけどとりあえず凄いなあと関心した。


 なんやかんや言って結局マイくんは一緒にきのこを採りに行ってくれるらしい。当たり前のようにさっさとと行くぞって洞窟から出ていった。

 マイくんって凄い良い子だな…あ、これが噂に聞くツンデレか。洞窟前で律儀に待っていてくれているマイくんを追いかけて私も外に出る。



「これはダメ。これは良い。これも大丈夫。あー、それは死ぬやつ。それは火をしっかり通せばいける。火の通りが甘いと三日三晩苦しんだ挙句に死ぬ。」


 探せば意外とあるもので少し森の中を進んだだけで沢山のキノコが集まった。ついでに食べられる野草も集めているのでカゴの中はみるみる埋まっていく。

 毎回毎回新しいものを採る度に匂いを嗅いでおこう。見た目と匂いで少しでも覚えておきたいし、キノコ鍋の度にマイくんの手を煩わせるわけにはいかないからね。

 私が鼻を動かす様を見たマイ君がボソッと「犬かよ」って呟いたのを聞き逃す私じゃない。犬よりも鼻効くよ?


 偉そうに前を歩くマイくんを見ているとため息が出そうになる。めちゃくちゃ可愛い。私この先何をされたとしても相手が幼児ってだけで許せると思う。

 そんな感じでずっとマイくんを見ていると不思議なことに気がついた。ときおりマイくんが変な草を摘んでは手の中にあったはずのその草がどこかに消える。

 そういえば最初もナイフが何もないところから出て来たし大きいお鍋くれた時も空中から落ちて来た。これも魔法の一つかな?


「アイテムボックスのことか?」


マイ君に尋ねると普通に答えを教えてくれた。


「異空間に物をしまえるスキルだ。酒樽4個も入れられれば大きい方だな。持ってる人は重宝されてたが最近は安価な〈魔法道具(マジックアイテム)〉もかなり出回ってるしそんなに珍しいもんでもないぞ。アイテムボックス内でも時は過ぎるから長期保存には不向きだし、生きているものは入れられない。…お前にマジックバック作ってやればよかったのか。」


 ふーん、色々あるんだな〜。酒樽4個?がどれくらいかいまいち分からないけどそれだけの量でもめっちゃ便利そう。手、塞がらなくて済むわけだし。


「マイくんのはどれくらい入るの?」


「なんだよいきなり…普通くらいだ…」


 あ、絶対嘘だ。意外と表情がコロコロ変わるからかわかりやすいなこの子。

ジーーっと目を見つめてみる。


「…酒樽…10個、くら…」


 マイくんが顔を逸らしてもまだ私は見つめる。ずーっとずーっと見つめる。


「…無限だ…」


 耐えられなかったのかポツリと吐き捨てた。

え?無限?


「俺のアイテムボックスは上限なし…時間経過なしだ…」


 うわぁお、凄い。多分めちゃくちゃ凄いよね。いまいちわかってないけど。

 ここ5日くらい一緒に居て思ったけどマイくんってなんか凄いよね。なんて言って良いかわかんないけど無敵な感じ?こういうのをチート、って言うんだっけ。マイくんはチートっぽい。私はこの世界の他の人間に会ったことないから普通の人と比べられないんだけどね!


「なんかまた変なこと考えてるだろ。」


 おっと、じっとりとした目で見られた。別に変なことではないよ!多分!秘密にしろと念押しされたのでちゃんと約束する。大丈夫!喋る相手居ないから!

 そんな私を見て半ばあきれた顔したまま、また採取に戻っていった。なんか緊張したな。でもジーッと目を見つめるのは今後も使えそうだね、よし。


 さて、私もキノコ探しを再開しようかな。この世界に生えてる植物、どれもカラフルなんだよね。赤と緑のマーブル模様のキノコとか実際に光ってる蛍光ピンクのお花とか、今朝の木も動いてたわけだし。

 うわ、今目の前通ったトンボ真っ黄色だったよね。大きさ50センチくらいあったし目は真っ青で牙生えてたけど。


 ん?ふと変な感じがして草木の中にしゃがみこむ。何かある気がしたから足元の草木を掻き分けてみると埋もれるようにして葉も茎も花の部分も全部真っ黒の花があった。

 指でつまめるくらい小さな花なんだけど、なんか禍々しい。真っ黒すぎて折り紙みたいな作り物に見えるけど突いた感じちゃんと植物みたい。

 あれ、別の大きい葉に隠れるように生えてたから分かりにくいけど、よく見るとこの黒い花の周りの草、枯れてない?

 この花何かに使えるのかな。てか触っても良いのかな。摘もうか悩んでいるとその花をヒョイッと掴んだマイくんが手の中の花を消したのでアイテムボックスに入れたみたい。


「鑑定スキル持ってないんだから変なもんあまり触るな。触っただけでやばい毒草とかだったらどうするんだよ。」


え、ごめん。これ毒草だったの?

 でもこの世界だとどうかわかんないけど私マムシとフグの毒は効かなかったからある程度はいける気がしてる。まあマムシは私を噛んで歯が折れてたけど。


「この花も、ダメ?」


 そういえば忘れていたけどずっと左手に持っていた花を差し出す。透明でキラキラしたクリスタルみたいな花ですごく綺麗だったから摘んでしまった。割れそうで怖いから優し〜〜く持ってる。石みたいなのに甘い良い香りがするんだよね。

 昔ゆり先生とお菓子を作った時に嗅いだ匂いに似てる。思い出したあれだ、バニラビーンズみたいな甘い匂い。そしてなにより持っている手がじんわり暖かくて変な感じ。不思議だよね。


「…これ一つで半年は飯に困らねえくらいには珍しい花だな…」


 ん?なんかよくわかんないけど凄いのかな。この世界の通貨とか物価とかまだぜーんぜん知らないんだよね。森から出てないから仕方ないけど。

 まあ別にどうでもいいか。とりあえずマイくんに渡しておこうっと。


「これ売ってもいいのか?」


 マイくんがアイテムボックスにしまいつつ聞いてきた。売れるの?確かに見た目は綺麗な花だけど。

 今のところ自給自足してるからお金とか考えてなかったけど、お世話になってるし売れるなら好きなだけ売ってほしい。食べられるもの以外私はあんまり興味ないからね。


 なんやかんやで1時間くらいかな、カゴいっぱいに植物をゲットした。キノコは半分くらい乾かして半分は今日の鍋にして、草達もそうしよう。

 やばいな〜お鍋が楽しみすぎて幸せだ〜。るんるんで家に向かう。もはや洞窟=家という思考に自然となってしまっている。

 この世界に来てまだ一週間も経ってないけど私はこんな生活が自分に合っているので毎日幸せだ。まあマイくん居てこそだけどね。

 足取り軽く、私は家に帰っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ