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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第六章 森林に眠る宝 -Legacy in the Forest Cave-
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第89話 GWの目標

 ダンジョンに入る前に、改めて今回の目的を整理しておこう。ヒカルと約束したランク4ポーション。どうやって手に入れればいいか、俺なりに考えてみた結果がある。

 俺が発見した法則。それは、ポーションがドロップした直後に治癒魔法をかけると、その治癒魔法レベル分だけポーションがランクアップするというものだ。実際、スライムからドロップしたランク1ポーションに、俺の治癒魔法レベル2を使ったところ、ランク3ポーションに変化した。

 ということは、ランク4ポーションを作るには二つの方法がある。一つは俺の治癒魔法のレベルを3に上げること。もう一つは、ランク2ポーションをドロップして、それに治癒魔法をかけることだ。

 治癒魔法をレベル3に上げるには、どれだけ治癒魔法を使えばよいか分からない。レベルアップの条件が不明確だ。それなら確実性を取って、ランク2ポーションから作る方が現実的だろう。

 そこで俺はメイリスに尋ねた。


「メイリス、ランク2ポーションをドロップする魔物を教えて」


 スマートウォッチにインストールされているメイリスが回答する。


『ランク2ポーション・ドロップ情報を検索します。11階層に出現するポイズンスライムが、およそ1%の確率でランク2ポーションをドロップします。また、第一階層主のヒュージスライムもランク2ポーションをドロップすることがあります』


 11階層か。俺はまだレベル4で、11階層まで行く実力はない。だとすると答えは一つだ。

 俺は第一階層の階層主の部屋へと向かった。

 スマートウォッチにあらかじめダウンロードしていたこの迷宮の地図を確認しながら進む。奥多摩ダンジョンの構造は他の都内ダンジョンと基本的には同じだが、通路が少し狭い感じがした。それだけでずいぶん雰囲気が違うものだ。それでも迷うことなく、階層主の部屋へとたどり着いた。

 新宿ダンジョンでは行列ができていた階層主の部屋だが、このダンジョンには誰もいない。待つ必要がないどころか、人目を気にする必要もない。やはりこのダンジョンを選んで正解だった。

 俺は部屋の扉を開けて中に入った。

 部屋の中央に、巨大なスライムが現れる。ヒュージスライム。以前学園で戦ったことがあるので、その特徴はよく知っている。

 俺は木刀を構え、ヒュージスライムの体内に透けて見える核を観察する。核の位置を見極めて、一気に突きを入れた。ヒュージスライムの体内に腕ごと突っ込みながら、的確に核を貫く。

 ヒュージスライムは崩れ去り、床に黒い石――マジックジェムを残した。


「そう簡単にドロップしないか」


 俺はそれを拾いながら呟くと、一度部屋を出る。扉を閉めて数秒待ち、再び開く。部屋に入ると、新しくヒュージスライムが登場した。

 ランク2ポーションがドロップするまで周回して頑張ろう。

 俺は二体目のヒュージスライムに向かっていった。

        *

 それからは同じ作業の繰り返しだった。部屋に入る、ヒュージスライムを一撃で倒す、ドロップアイテムを確認する、部屋を出る、再び入る。俺は延々とその作業を繰り返した。。

 10回、20回、30回……。

 しかし、数十回繰り返したところで、俺は異変に気づいた。だんだん一撃で倒せなくなってきているのだ。

 核を狙っているつもりなのに、微妙にずれてしまう。そのため二撃、三撃と攻撃回数が増えてしまっていた。

 理由は明らかだった。疲れて集中力がなくなり、的確にコアを攻撃できなくなってきたからだ。

 50回目を過ぎた頃、俺は汗を拭いながら考えた。

 集中して戦闘するのには、思っていたよりもずっと体力を使うようだ。同じ動作の繰り返しとはいえ、毎回確実に核を狙うには相当な集中力が必要になる。

 もっと効率よくするにはどうしたらいいだろう?

 武器を変える?槍ならリーチが長いので、ヒュージスライムを倒しやすいかもしれない。しかし結局のところ、疲れてきたら同じことだろう。集中力が続かなければ、どんな武器を使っても的確に核を狙うことはできない。

 だとすると答えは一つしかない。レベルアップだ。

 基礎的な体力と集中力を向上させなければ、こういう作業は続かない。まずは探索する階層を変えて、レベルアップを図ろう。

 俺はヒュージスライムとの戦いを一旦諦めることにした。急がば回れ、だ。

 俺はそう考えると、今度は入ってきた扉を戻るのではなく、第二階層へと続く階段を降りて行った。

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