番外編 史、梨花、美衣の幼馴染3人組の音声チャット
ーピ。という音と共に音声通話に招待され、美衣は珍しいと思いながらも招待を受けた。
『ちょっと相談に乗ってほしいんだ』
「珍しいですわね、梨花様まで呼ぶなんて重大なご相談でしょうか?」
『まあ、史様にとって重大と言えば彩愛様の事でしょうけど、何かありました?喧嘩でも致しました?』
『違う。単刀直入にいうけど、彩愛にどこまで手を出していいと思う?』
「『は?』」
『考えても見てくれ、思春期真っただ中の健全な男子高校生がものすごく愛してる子を前に手を出せないんだ。正直しんどい』
(知らんがな)
『キスとかちょっとしたふれあいはセーフっぽいけど、流石にそれ以上手を出したらまずいと思うんだ』
『はあ、まあ…8歳の女児に今の時代手を出したらただのロリコンというか変態というか…』
「梨花様、騙されてはいけませんわ。史様はそれはもう人目を憚らずいちゃついてますのよ。彩愛様のキスマークを乃衣の尋ねられて私がどれほど返答に困ったことか」
『あらまあ。性教育にはまだ少し早いですものねえ』
「ええ。せめて二次性徴を迎えてからと思っておりますが、ヘタレが…失礼。史様がそういった事情を考慮せず彩愛様にベタベタというかいちゃいちゃというか」
『だって俺、健全な男子高校生だし』
『それが言い訳になると思ったら大間違いですわよ』
「まったくですわ」
『まあ、言い訳になるならないはどうでもいいんだけど』
(よくないわ!この開き直りヘタレがっ)
『正直彩愛が可愛すぎて辛い』
「『ああ、そうですか』」
『目の前で着替えるんだぞ?いくら8歳でも自覚なさすぎるだろう』
「使用人の前で着替える癖がついているでしょうし、史様は家族感覚なので意識されてないのではなくて?」
『ありそうですわね』
『うそだろ?俺婚約者なんだけど』
「そうは言いましても…」
『物心ついた時にはお兄様状態でしたし、その意識が抜けないのでしょうね』
『えー。あんなにスキンシップしてるのに?』
『イチャイチャしているというのはどの程度ですの?』
「ところかまわず抱きしめて手首やら首筋やら人に見えるところにキスマークを残す程度ですわ」
『我慢してる』
「『煩い黙れヘタレが』」
『酷くない!?』
『あら、私としたことが言葉が荒くなってしまいましたわ』
「私もつい、うふふ」
『まあいいけど、今更だし。それでどこまで手を出してもいいと思う?』
『まあ、本格的に手を出したら神々に何かしらされるでしょうね』
『ということは…寸止めまではOK?』
(んなわけねーだろうが)
『馬鹿ですか?一回もげてみますか?』
『一回でももげたら戻らない気がするんだけど』
「ああ、そのほうが彩愛様が史様に穢されなくていいかもしれませんわね」
『美衣様ひどい。まあ寸止めは冗談としてさ、彩愛のことを考えてスルのも怒られそうだし、他のを使ってシテも怒られそうなんだよな』
『セクハラで訴えて差し上げましょうか?』
『いや、本気で困ってる』
「だからって私たちにそんな男性の欲望を相談されても困りますが?」
『だってミカルに相談しても紳士なら耐えて見せろとか言ってくるんだ』
「あ、ではその意見に賛成いたします」
『同じく』
『ひどい。健全な以下略にたいしてひどすぎる』
「知りませんわよ。いずれかの神にでもご相談したほうがいいのでは?あえて言うのなら水の神か花の神あたりに」
『え、手を出すなって言われるにきまってるけど』
『真摯に訴えてみればよろしいのではなくて?』
『梨花様も彩愛に対する神々の過保護っぷりは知ってるよね?』
『知ってますわよ?どこかの誰かさんが逃げ出した3年間見守っておりましたもの』
「ああ、自分の気持ちに蓋をして海外に逃げたどこかのヘタレがいましたわよね」
『ええ、本当に。男子のほうがそう言った成長が遅いとは聞きますが、無意識に逃げるなど武士の風上にも置けませんわ』
『女子がそういう成長早いなら彩愛も俺をもっと意識してくれてもよくない?』
「『煩い黙れヘタレ』」
(人によりますわ)
「あら、思わず心の声のほうを言ってしまいましたわ」
『私もです。うふふ』
『っていうかさ、いつも思うけど美衣様も梨花様も結構口悪くない?特に考えてることとかさ』
「史様にお送りしてた小説や映画の検分をしていたらいつの間にか口調が荒くなってしまいましたわね」
『そうですわね。使い分けてますので問題ございませんけど』
『俺に対して口悪いよね?っていうか辛辣だよね?』
「え?正直に言ってるだけでしてよ」
『そうですわね。ヘタレの相談に乗って差し上げてるだけ十分に優しくしておりますわよね』
『うーわー。二人に憧れてる男子生徒に聞かせたい言葉だよな…。特に美衣様の婚約者にとか』
「は?明日会った時に本気で股間蹴るぞ?」
『すみませんでした』
『本当にヘタレですわよね。まあ、健全(笑)な史様が性に対して悩みを抱えてる姿をそのまま彩愛様に相談なさってはいかが?』
『相談してもいいけど、意味わかってもらえそうにない』
「彩愛様がそのまま神々に相談なされば、彩愛様には甘い神々ですから少しは譲歩していただけるのではなくて?まあ、彩愛様にご相談なさったらなさったでロリコン変態と言いふらしますけれど」
『いや、それはいもういいんだけど』
『だめですわ美衣様。史様は開き直ったヘタレですもの、効果が薄いのではなくて?』
「それもそうですわね。まあ、彩愛様の性教育を始める前に乃衣と美琴様への性教育が先でしょうね。相談を受けて答えられるように教育いたしませんと」
『勇人様は?』
「神道の勉学のついでにご両親に性教育をされているらしいですわ。まあ彩愛様のお傍にいる以上、自重させる意味も込めて早めに教えてるのかもしれませんわ」
『自重…。どこぞのヘタレに言って聞かせたいものですわね』
「そうですわね」
『聞こえてるんだけど?』
「わざとですわ」
『うんまあ、うん…』
『まあ、先ほども言ったように彩愛様に直接ご相談なさいませ。意味は分かってくれなくても神々になんとかしてくれるよう頼んでくださるかもしれませんわ』
「とはいえ、過保護な水の神や花の神に相談なさっても却下されるでしょうから、……ああ、思い当たるは神がおりませんわね。諦めなさいませ」
『あー、二人のヤサシサが身に染みる』
「とにかくいくら幼馴染とはいえ、殿方のせい事情を赤裸々に私たちに相談なさらないでください」
『あと時差というものも少しは考慮してくださいませね』
『すみませんでした。それじゃ梨花様今日はありがと。美衣様もありがと、明日学園でね』
「はい。では失礼いたします」
ピコっと音を立てて会話からログアウトして机に突っ伏す。
(あー、本気で明日会ったら殴ってやろうかな)