黒くて太くて美味しいアレ(ソフィ視点)
ローガンが無駄にトランプで戦っている頃、
ソフィは豪華絢爛な部屋の中にいた。
用意された長椅子に座っていると、目の前に背の高い男が歩いてきた。
「さぁ愛しいお嬢さん、これを見て。」
「まぁ、なんて立派な…かたくて、太くて、真っ黒。」
「これがこれから君の腹の中に入っていくんだ。想像できる?」
「うふふ、とても興奮するわ。」
「まずは口で咥えるんだ。最初はゆっくり、優しく、頬張ってごらん。」
「ちょっと緊張するわね、やってみる。」
あーんと口を開いて、それを口の中に入
ドォーン!!!
「意味深なふ菓子の食い方ぁ!!」
扉を蹴破って侵入しながら叫んでるのは相棒のローガンだ。
「お、ローガンも一緒に食べる?」
「食べない!」
慎重だなぁと嘆息する。
どうせローガンだって多少の毒物なら無効化できるだろうに。
「私の私室に勝手に入って来た君は何者かな?」
「私のツレだよ。ローガンはどうにも過保護でね。」
「過保護なのは否定できない。と言うわけで今日はもう帰ろうか。」
ローガンがさっさと踵を返そうとした所で、
「それは看過できないな。彼女に美味しいお菓子を食べさせる約束だったし、ここまで侵入してきた君を見逃す事もできない。」
そう言ってきたのはさっき私に声を掛けてきた背の高い男。
妙にきらびやかな宝石を身につけていたり、するところからして金持ちではあるんだろう。
この男と知り合ったのはついさっき、私の口を塞いだ痴漢をノした後に声を掛けてきたんだった。
さっき私が出した景品の魔石について交渉したい、と。
そんなことを思い出しながらふ菓子を食べ始める。
「ソフィ、知らない人から食べ物をもらったりしちゃ駄目でしょう。」
「食べたことない食べ物はどうしても興味が湧く。でも、これは妙に雑味があっておいしくないな。」
そんな時、背の高い男が小さく笑い始めた。
「ああ、こちらから促すまでもなく食べてしまったね。それならもう取り繕う必要もないだろう。私はこのカジノを仕切ってる者だ。」
「ほらなソフィ、こーゆーことがあるから、以後気をつけるように。」
「そのふ菓子には強力な痺れ薬が塗ってある。仮面で顔は見えないがこの子は高く売れそうだ。そしてさっきのスロットマシンでの爆稼ぎもなかったことに出来る。君のような小柄な少年が、動けない彼女を庇って脱出など出来る訳がない。さぁ、諦めて一緒に捕まりたまえ。」
背の高い男は勝ち誇ったように手を大きく広げ、高らかに笑った。
「…だってさローガン。絶望的だね。」
不味いふ菓子を食べ進めながらローガンに声を掛ける。
「全くだ。明日以降どうやって稼げば良いんだ、畜生。」
「あ、それなら心配ないかも。大当たりっぽいの出したし。」
戦利品の入った革袋を鳴らす。
「ビギナーズラックかな?ソフィついてるね。」
「えへへ、それほどでも」
「待て待て待て待て!!なんでお前はそれを食べ続けているんだ!?一口で大人も指一本動かなくなる代物だぞ!?」
「まぁソフィだからな。」
ローガンが肩をすくめている。
私は最後の一欠片を口にして、ゆっくり咀嚼した。
ああ、味わって食べてもやっぱり不味い。
私は男を指差すと、ゆっくり息を吸い込んだ。




