表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/133

心じゃよ

──────────────────────


次の日


約束のカフェに行くと、昨日のお兄さんがもうすでに席についていた。


「すいません、お待たせしてしまいましたか?」

「いえ、私も今着いた所です。」


…随分早くから来てたみたいだな、店員さんの視線で何となく分かる。

一応お茶くらいは注文しておかないとな。


「えーと、紅茶2つ。」「と、ケーキ全種類。」


おい。

ソフィの方を向くと、そのまま俺の視線を追うように首をそっぽに向けた。

こんにゃろ。


「まぁ良いか、静かに食べれ。」「おk。」

「ははは、豪快なお嬢さんですね。」

「諸事情あって、食には貪欲なんですよ。すいませんがスルーでお願いします。とりあえず、本題からお話しましょう。」


そういって懐から手のひらサイズの小箱を取り出してお兄さんの前に置き、蓋を開ける。


「これは、腕輪ですか?」

「そうです、いわゆるマジックアイテムという奴ですね。」

「これはどういった効果なのです?」

「これは、防御力の高い衣装を召喚、更に瞬間で装備してくれるマジックアイテムです。」

「防御力の程度は?」

「まぁ、オーガの爪くらいは弾いてくれるかと思います。そして更に各種魔法への耐性、顔など地肌が見えている場所への攻撃を、防具が肩代わりしてくれる機能もあります。」

「そんな機能が…しかしそんなアイテム、聞いたことが…」

「私の家は商人をやっているので、こういった珍しいものが手にはいるのです。」

「親御さんはこの商談を承知なのですか?」

「うちは教育方針がそうなんです。」


言いながら大きく手を広げる。

さも、この商談もどこかで観察されていると相手が思ってくれるように。


「さて、そんな機能がありながら、普段は腕輪の状態でいつでも身につけておくことができます。これだけの品、いくらなら買えると思います?」

「…正直、手持ちはこんなもんです。」

「なるほど、それならまぁお売りしても良いでしょう。しかし、本当に効果があるのかお見せしましょう。」 


席を立とうとしたところで、ちょうどケーキと紅茶が運ばれてきた。

にっこりフォークを手に取ったソフィを尻目に、二人で外へ出る。


「使用法ですが、まず腕輪を身に着けないと発動しません。ご注意下さい。」


言いながら自分に腕輪をはめ、「変身。」


体全体が淡い光に包まれ、光が収まると自分の格好が白いローブに変わっていた。


「変身解除。」

元の格好に戻る。


「このように、瞬間的に装着と解除ができます。防具の見た目はその使用者に合わせたものになります。そして、」


腰から短剣を引き出すと、おもむろに腕を切り裂いた。

血が吹き出し、地面を赤く濡らす。


「え!?ちょ、ちょっと何やってるんですか!?」


お兄さんが慌て出した。


「大丈夫ですよ。“アクアヒール”」


腕の傷を治す。


「と言う訳で、ちゃんと切れ味のある短剣です。」

「いや、切れ味をわざわざ疑ったりしませんよ?」

「そんな事でどうするんですか!詐欺にあってしまいますよ?こちらは良い物を紹介するのですから、よくよく見ていて下さい!」

「え、ええ。」


ちょっと引き気味なお兄さんの前でもう一度変身し、ローブやローブの掛かっていない部分を切ったり突いたりして、傷がつかないことを確認する。


「どうでしょう?このアイテムの性能の程は。」

「ええ、とても素晴らしいと思います。」


目にナイフを突き立てながら確認するが、お兄さんは両手で顔を覆って全く見てくれない。

変身を解除する。


「それではこちらの腕輪、お買い上げ頂けますか?」

「こんな国宝級のマジックアイテムを、どうしてこんな端金で?」

「それはあなたを見て、あなたやあなたのご主人様なら正しい使い方をしてくれると確信したからです。あなたは僕の見た目で私を判断しませんでした。この世にはあなたのような人が必要なんです。」


この人が善人であるかどうか、そこら辺はソフィが既に偵察済みである。


「こういったマジックアイテムは持つものによっては多くの人を幸福にも不幸にもしてしまう。あなたがこのアイテムの価値を理解しているのなら、それを使って是非、周りの人を幸せにしてあげてほしいのです。それこそが、お金では代えられない価値を生んでいくのです。」

「…分かりました。絶対に貴方を後悔させないように頑張ります!」

「それでは、僕はこれで。」

「ちょっと待って下さい!最後に名前を教えて頂けますか?」

「僕は名無しの観光客ですよ。それでは。」


カッコつけながら振り返ると、ソフィが背中で腕を組んで佇んでいる。


「もう、良いの?」

「ああ…行こう、彼には彼を必要としている人がいる」


そして、俺達には俺達の戦場があるのだ



ソフィはそれを聞いてにっこり笑った。

その口の端は赤い汚れに染っている。


「そうね。行きましょう。次のご馳走に!」


いや、まずはカフェの支払い行かないと。

っていうかソフィの奴何か追加で食ってやがるな、少なくともトマト系の何かは食ってる。


支払いが終わったら俺も何かショッピングしよう。





まさかこの後、今の収入が吹っ飛ぶ事になるとは…ソフィ、恐るべし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ