決死の一撃(レン視点)
「レイさんは引き続き奴の防具を狙って下さい。」
「了解。」
胴体だけとは言え、エリゴルに光魔法が効くようになった。
このまま一気に畳み掛ける!
「“ホーリーバースト!!”」
アランと斬り結ぶエリゴルの後ろに回り込み、攻撃魔法を発動する。
「ゴボッ!!」
至近距離で高威力を出す光属性魔法なので、かなり利いてる。
「このまま畳み掛ける!」
「おぅ!」
「“ホーリーエンチャント”」
アランと僕の武器に光属性を付加した。
「ハッ!」「ッラァ!」
前後からすれ違いざまに撫で切りにされたエリゴルは、声も無くその場に崩れ落ちた。
「ふぅ…流石に手強かったね。」
「そうだな…」
「流石は勇者様といった所かしら。」
「いや、全然駄目だった。不測の事態に対応できてない。」
さっきも、エリゴルは死ぬまであのパターンでしか攻撃してこないと思っていた。
でも普通に考えたら、同じ戦い方でジリ貧だったら戦法見直すよね。
中々ゲーム感覚が抜けないな。
「そうだな、レンはもうちょっと警戒心や対応力を磨いた方が良いだろうな。」
次の瞬間、息絶えたと思ったエリゴルが突如起き上がって突進してきた。
「死なば諸共!魔王流槍術奥義“百連五月雨突き”!!」
「こんな時もあるからな。」
アランが僕とエリゴルとの間にするりと割り込んだ。
エリゴルの槍がとんでもないスピードで、且つ連続で繰り出される。
アランは焦った様子もなく、涼しい顔で全て受け切った。
「“ホーリースラッシュ”」
アランの剣の周りが白い光でコーティングされたように光る。
袈裟斬りに振り下ろされた剣は、抵抗なくエリゴルの胴体を斜めに両断した。
「中々のスピードだったが、イオリの『ぱりい千本のっく』には及ばなかったな。」
「見事だ…貴様の様な武人にやられたなら後悔はない。」
アランとエリゴルが何か喋っていたようだけど、小さい声だったので何て言ってたかは聞こえなかった。
直後、エリゴルの傷口が黒い霧のようになりながら空間に溶けていき、最後には鎧と槍だけが残された。
「という訳だ、油断大敵だぜ。」
「う、うん、ありがとうアラン。レイさん。」
アランがエリゴルと最後の応酬をしている間、レイさんのイビルプラントが僕の目の前に陣取って守ってくれていた。
全く情けないな。助けられてばっかりだ。
「まぁしょうがねぇだろ。この世界に来る前は命の取り合いなんてしてなかったんだろ?」
「そうなんだけどね、こんなんで魔王討伐なんてできるのかな?」
「それは大丈夫さ、戦いの最中で成長していくはずだ。」
それにしても、レイさんを仲間にしようと思ってここまで来たけどフラグの立てようが無いぞ?
本来の流れなら
・教会でレイさんと会う
・深夜に暗殺者として襲いかかって来る。
・殺さずに勝利するとその場から逃走する。
・クーデター阻止イベントでエリゴルを倒した後、ギルドか教会で会うと仲間として加入。
となるはずなんだけど、全然達成できて無いよ。
「勇者様、貴方達の旅について行っても良い?」
「え?あれ?どこでフラグが?じゃない、レイさんが一緒なら相当心強いのですけど、良いのですか?」
「ええ、もうここで私を縛るものは何もありませんし、旅をして見つけたいものがあるんです。」
ラッキー、何故か分からないけど仲間にできたぞ。
そう、彼女の目的は分かっている。
彼女が探してるのは自分に掛かった呪いを解くアイテム、又は解呪師だ。
呪いのタイプがちょっとエロい系統のやつなので出来るだけ長く堪能していt、さっさと解呪してあげなければ…
僕達は報告の為にギルドへと戻って行った。
ギルドはなんだか静かな感じで、最初に入った時とは違った雰囲気になっていた。
受付にも誰もいない。
「あのー、誰かいませんかー!?」
受付から返事は無い。
「お、良いところに来たな!こっちに来てくれ!」
なんだか脇の方から声がしてきた。
声のした方に行ってみると、救護室と書いてある部屋に辿り着いた。
「な、なんだこりゃ?」
「おう、俺達も全然状況が分からんのだが、助けないわけにもいかないだろ?」
細い糸みたいなものでぐるぐる巻にされた人がおよそ20人、救護室の片隅に積み上げられている。
皆意識は無いようで、それを二人のおじさんが介抱していた。
皆で協力して縛られた人達を助けた時には日が暮れかけていた。
レイさんの顔が終始厳しい顔だったのが気になったけど、何かあったのかな?
何にせよ、ギルドへの報告は明日以降になりそうだ。
次回からローガンに戻します。




