顎、金的、仏骨、鳩尾
こちらのミスで最新話は一つ前の66部分になります。
申し訳ありません。
「見事だ…しかし、貴様と私の実力差はそこまで無いと見た。魔王軍には私が逆立ちしても傷一つつけられない猛者が無数にいる。貴様がどれだけの階位か知らぬが、精々束の間の勝利に酔うが良い。」
バァルの全身が淡く光り、爆発した。
「…すまんな、時間があればもっと見せ場を作ってやれたんだが。」
ルミナスブラックは爆発を見届けると、音もなく姿を消した。
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酒場
「うぉぉぉっ!」
「危ねっ!?」
ロニーがギリギリでパンチを躱す。
追撃をしようとした少年の頭に酒場の椅子が叩きつけられる。
特にダメージを負った風には感じないが、少年は椅子を投げた俺の方に向き直った。
「こっちだ!」
「こんの野郎!!」
頭を叩くと簡単に釣れる、あまりに単純で心配になるほどに。
まぁ頭に攻撃されるってのは自尊心が傷付くもんだ。
そんな感じで3人で順番に頭を叩き、何とか時間は稼げている。
しかしダメージは与えられた様子は無い。
当然の話だが、誰も武器を使ってないしな。
「ガストンさんロニーさん、このままじゃラチがあきません。何か強力なのを一発ぶちかませませんかね?」
小僧が無茶な事を提案してきやがった。
「そんな事言ったってなぁ、あんなにスピードとパワーがあっちゃどうにもならねぇよ!」
「俺もだ。避けるだけで精一杯なんだぞ!?」
隙があれば出来なくはないんだろうが、基本のスピードが違い過ぎる。
現状3人で引き付け合うのが精一杯って所だ。
だから誰か帰って来るのを待っているんだが、不思議と誰も来ない。
「全く、それなら僕が彼の動きを止めますから、二人で何とかやって下さい!長年付き合ってんだから合体技の一つや二つあるでしょ?」
合体技って何だ?
まぁ二人で協力して攻撃は出来るが。
それにしてもこの小僧、さっきから違和感無く俺達と連携できてるが…訓練無しでできるもんか?
「足さえ封じてくれれば強烈なのをお見舞い出来るとは思うが…お前じゃ無理だろ。」
「全く、元Cランクが聞いて呆れます。あんなのオークに毛が生えた程度のモンでしょうに、シャキッとして下さい!」
コイツ…
「良いだろう。それじゃあ足止めは坊主、お前に任せる。ロニー、良いな。」
「全く、病み上がりのオッサンにはオークだって強敵だってのに…。」
ロニーも言ってる事は弱気だが、目はやる気に満ちている。
因みに、作戦会議中もお互いにフォローしあいながら攻撃を加えている。
少年は興奮からか何も耳に入っていないようで、叫び声を上げながら突進を繰り返している。
「よし、いつでも良いぞ。」
「じゃあ、行きますよ、十数秒しか保たないですから、一気に決めて下さいよ。“アクアショット”」
坊主が水弾を顔に当てて、少年の気を引く。
「このガキ!」
「年齢はそんなに変わらないよ。“アイスシールド”」
坊主は氷の盾で真正面からパンチを受け止めた。
盾にはヒビが入ったものの砕けず、少年の足が止まった。
「今だ!」
俺とロニーで左右から少年に向かって肉薄する、しかし…
「ほいっ!」
少年の蹴りで氷の盾が吹っ飛び、壁に当たって砕け散った。
そのままこちらへ体を向き直らせ、口の端を上げてニヤッと嗤った。
───聞こえてたよ。
そう言われた気がした。
判断を誤った、しかしもう遅い。
既にこっちも逃げられない場所まで接近してしまっている。
このまま玉砕するしかないのか…
視界に映る少年の口に、子供サイズの手が突っ込まれた。
「“アクアショット”」
驚きで少年の目が開かれると同時に、大量の水が少年の口の中に噴射された。
腹に入り切らない水が目や鼻から飛び出し、あまりの事に棒立ちになっている。
「おらぁ!」
まずは顎にフックを一発、脳を揺らしてやる。
続いてロニーが後ろから股関を蹴り上げる。
衝撃で頭が後ろに仰け反った所で、左手の親指を喉に押し込む。
「ロニー!」「おうっ!」
ロニーが跳躍、俺の空いた手に乗った所で更に押し上げてやる。
そして俺はそのまま喉に添えている指を更に押し込んで仰向けに押し倒す。
「引退中年だってよぉ、ここぞの時にゃ」「やるんだぜ!」
喉を押したまま体を固定した所で、天井を蹴って勢いをつけたロニーの踵が鳩尾に突き刺さった。




