第2章:檻と獣の覚醒
第7区画の下水道の暗闇は凍てつく死装束のようだったが、カエルにとって、もはやそこは罠ではなかった。そこは『実験室』へと変わった。
彼は錆びたパイプにもたれかかり、荒い息を上下させていた。心拍数が落ちるにつれ、彼の心は信じられない事象を論理的に解釈しようと猛烈に回転し始めた。
オウル・マンから彼を救ったのは奇跡ではない。肉だ。兎のDNAだ。
『俺は、俺が喰らったものに成ったんだ』
そう考えると、冷たい悪寒が毛皮に浮かんだ汗を凍らせた。
彼は自分の足を見つめた。それは今、元の短く太いげっ歯類の形に戻っている。
絶望的で倒錯した意志の力を振り絞り、彼は再びあの異形を呼び起こすよう肉体に命じた。
骨が乾燥した、吐き気を催すような音を立ててきしむ。筋繊維が引き裂かれ、再び結びつき、皮膚の下で膨張して張り詰める。
千本の真っ赤に焼けたナイフを骨髄に打ち込まれたような焼けるような苦痛が、脊椎を駆け上がった。
カエルは血が出るほど歯を食いしばり、新鮮な鉄の味が口に広がったが、うめき声一つ漏らすまいと耐え抜いた。
制御だ。
苦痛は力の代償であり、今のカエルはその代償を払う意思があった。毎度、確実に。
彼は変異をフェードアウトさせ、元の形態に戻るという逆の拷問に耐えた。
呼吸は乱れており、唇に勝利の笑みはない。その啓示に喜びはなく、ただ冷酷で恐ろしい明晰さがあるだけだった。
今や彼は、この腐りゆく生態系の本当のルールを理解した。世界は厳格な肉のヒエラルキーだ。上昇するには、自分より上にいる者を喰らわなければならない。
アナベルの顔が脳裏に閃いた。泥の海における純粋さの錨。
その普通の生活という幻想は、彼の唯一の燃料となり、道徳的な躊躇いの痕跡をすべて焼き尽くす執念の炎となった。彼女に第2階層の空を与えるためには、カエルは「獲物」であることをやめなければならない。
彼は視線を上へ向けた。オウル・マンが消えていったパイプの方へ。
兎が彼に速度を与えたのなら、この区画の空の支配者から何を抽出できるだろうか?
翼だ。
「お前の翼をもらうぞ」彼は暗闇に向かって囁いた。
彼はもう逃げてはいない。獲物は今、狩人を狩るために反転したのだ。
カエルは石の迷宮へと滑り込み、黒い煙のように影の中を進んだ。兎の看守の名残は、擦れ汚れた血痕と、オウル・マンが激怒のあまりまき散らした乱れた羽毛の跡だけだった。
近くの独房から聞こえる死のうめき声が彼の気を引いた。
やせ細り、打ち砕かれた山羊の獣人が、錆びた鉄格子に顔を押し付けている。
「あいつが……喰ったんだ……」恐怖で見開かれた目でカエルの破れた服を見つめながら、ゴート・マンはどもりながら言った。「フクロウが……ウサギの死骸を貪り食った。でも、それは彼を狂わせただけだった。あいつは悲鳴を上げ、自分の羽をむしり取って……メンテナンス・トンネルの奥へと向かっていった」男は震える手を鉄格子の隙間から伸ばした。「頼む……俺を解放してくれ、そしたら俺は……」
カエルは歩みを緩めることすら無かった。氷のような無関心で彼を通り過ぎ、囚人をその運命のままに放置する。
その瞬間の彼にとって、人間性は手に入れる余裕のない贅沢品だった。彼の感覚はすでに、腐敗した血の匂いとフラストレーションの匂いにロックオンされている。
トンネルはどんどん狭くなり、やがて巨大で隠された排水室へと開けた。
そこに、最も暗い隅に、オウル・マンがいた。
それは怪物じみていながらも、哀れな光景だった。カエルの二倍の大きさがある巨大な猛禽類のハイブリッドは、自滅的な狂乱状態に陥っていた。兎の血が唾液と混ざり、くちばしから滴り落ちている。
「なぜ同化しない!?」彼はパイプに頭を叩きつけながら絶叫した。「なぜDNAが結びつかないんだ!?」
傷つき、混乱した獣であっても致命的であることをカエルは知っていた。彼は喉の渇きを癒す冷たい金属の破片、ナイフを抜いた。
無音で接近したが、刃を振り上げる前にオウル・マンの巨大な目がパッと見開かれた。瞳孔は拡大し、野生化している。
鼓膜を破るような金切り声とともに、猛禽類は反転し、カエルを真っ二つに切り裂くための絶望的な薙ぎ払いを、剃刀のように鋭い翼で繰り出した。
カエルは考える必要すらなかった。
思考よりも先に、新しい生物学が反応した。
彼の兎の足がコイルのように縮み、超人的な力で爆発した。
カエルは刃の軌道から消え失せ、運動エネルギーを伴った跳躍で空中に身を躍らせる。湿った石の壁を蹴って跳ね返り、そびえ立つハイブリッドの真後ろに正確に着地した。
ナイフが振り下ろされる。流れるような、完璧な弧。
刃は羽毛に覆われた首を捉え、深々と沈み込んだ。
オウル・マンは濡れたような死のうめき声を漏らし、巨大な翼を崩して膝から地面に落ちた。急速に命が抜け落ちていく。
最期の数秒間、オウル・マンの頭がピクッと動いた。その怪物的な目はカエルと交差し、もはや怒りではなく、絶望的で苦悶に満ちた好奇心に満ちていた。
くちばしが開き、呪いのように言葉がこぼれ落ちる。
「なぜ……なぜお前は吸収できて……俺にはできなかった?」
カエルは刃を強く引き抜き、死体を床に倒した。
その答えは彼にも分からなかったが、自分が何をすべきかは分かっていた。残っていた僅かな嫌悪感を隅に押しやり、彼は戦利品を要求するために跪いた。
祝宴は残酷極まるものだったが、その後の反動はさらに悪夢だった。
カエルは排水室の湿った床に崩れ落ち、絶叫した。
足の時とは次元が違う。この変異は、彼の解剖学的構造に対する絶対的かつ全身的な陵辱だった。
肩甲骨がひび割れて砕け散り、狂気のパズルのピースのように肉の下で骨の破片が再編成されていくのを感じた。背中の皮膚は引き裂かれるまで限界まで引き伸ばされ、中空の骨格構造が無理やり突き出してくると同時に、熱い血を石の床にまき散らした。
自身の血にまみれた新しい手足から、黒く硬い羽毛が芽生える。カエルは苦痛で視界を黒く染めながら、地面でのたうち回った。
痛みがようやく鈍い拍動へと収まった時、カエルは無理やり膝をついて立ち上がった。
全身が震えている。首を回し、背中に折りたたまれた巨大な翼を見た。
ためらいがちに思考を巡らせ、翼を開くよう命じる。
重い衣擦れの音と共に翼が広がり、狭い部屋の幅の大部分を覆った。一度だけ羽ばたいてみる。強力な突風が埃と血まみれの羽毛を巻き上げた。
それは異質で厄介な感覚でありながらも、本能的には完璧だった。
彼は『キメラ』になったのだ。
パチ、パチ、パチ。
トンネルの入り口の影から、ゆっくりとしたリズミカルな拍手の音が響き渡った。
カエルは即座に反応した。パニックが彼を支配する。
意識的な、苦痛を伴う努力によって、彼は肉体に退行を強制した。変異を引き上げる。
巨大な翼が内側に折りたたまれ、中空の骨が崩れて再び肉の下に沈み込み、痛みは残るものの、背中が再び平らになるまで吸収された。
彼は完全にひ弱なネズミの姿に戻り、筋肉を緊張させて侵入者の方へ振り向いた。
薄暗い光の中に、一つの影が足を踏み入れた。
痩せた男で、かつての威信ある制服――第二階層の警備隊の制服のボロボロの残骸を着ていた。
しかし、色あせた生地の下にある彼の生物学的特徴は明白だった。尖った耳、鋭く知的な目、そして床を擦るようなふさふさの尾。
狐の獣人だ。
「私の右腕と左腕をどうやって倒したのかは知らないが」フォックス・マンは言った。その声は滑らかで教養があり、この錆と腐敗の地獄穴には完全に不釣り合いな響きだった。「賞賛を贈らねばなるまいな。ネズミがウサギを倒す……それは運の良さだと言えるかもしれない。だが、フクロウを倒すとは? それは奇跡だ」
第7区画のボス、ヴェインは、ゆっくりと慎重に一歩前へ出ると、ベルトから磨き上げられた鋼鉄の警棒を引き抜いた。
武器は点滅するネオンライトの微かな反射を捉えている。
「君に何ができるのか、見せてもらおうか」
「俺はただ話がしたいだけだ」カエルは後ずさりしながらシューッと息を吐いた。
ネズミの姿のままでいることは、単なる警戒心からではない、戦術的な選択だった。彼には第二階層への到達方法に関する情報が必要であり、正気を失う危険を冒してまで再び死闘を繰り広げたくはなかった。
しかし、フォックス・マンは彼に交渉の猶予を与えなかった。
「話だと?」ボスはげっ歯類の期待外れで栄養失調の体格を値踏みするように見渡し、くすくすと笑った。「ひどく、がっかりだ」
その動きは知覚の限界を超えていた。
一秒前まで10フィート離れていたボスが、次の瞬間にはオレンジとグレーの残像と化していた。
カエルには兎の速度を呼び起こす時間すらなかった。フォックス・マンは流れるような、恐ろしいほどの優雅さで動き、教科書通りのフットワークでカエルの絶望的なガードを躱すと、警棒の先端でネズミの首にある神経叢を正確に突き刺した。
カエルの視界が真っ白な閃光の中で爆発する。
足は即座に崩れ落ち、冷たい石の上に顔から激突した。完全に麻痺している。
自分の呼吸を感じ、狂ったように早鐘を打つ心臓の鼓動を感じることはできるが、筋肉の一つたりとも動かすことができない。
フォックス・マンは彼の上にそびえ立ち、退屈と哀れみの入り混じった目で見下ろした。
「頂点捕食者を期待していたのだがな」ヴェインはため息をつき、ボロボロの制服の襟を丁寧に直した。「私は、ひどく失望しているよ」




