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第1章:飢餓の淵

ただ存在するだけで光を奪われたすべての人へ。

自らの鎖を断ち切るために常に戦い続け、決して世界にその人間性を奪われないことを願って。

地下第三階層は、無慈悲な世界だった。


鉄筋コンクリートと腐食したケーブルに覆われたこのはらわたのような場所では、最後の一筋の太陽光が忘れ去られるよりもずっと昔に、道徳などというものは死に絶えていた。


ここの生態系は、枯渇した旧人類の備蓄品がもたらす冷酷な論理によって支配されている。

食う物を持っている者は「獲物」であり、飢えている者は「狩人」だ。

市場もなければ、通貨もない。価値があるのは、希少な幼虫の棲み処と、鉛に汚染されていない水。


そして当然ながら――『肉』だ。


カエルは、他の生き方など最初から知らなかったかのような、生来のしなやかさで暗闇の中を滑るように進んでいた。

自然界が絶対に許容しないはずの遺伝子によって研ぎ澄まされた彼の五感は、極限まで張り詰めたバイオリンの弦のように共鳴している。


換気扇の電気的なノイズ。遠くのパイプから滴る水音。背後のわずかな空気の揺らぎ。

ピクピクと動く耳と、ネズミ特有の嗅覚が、あらゆる異変をほんの数分の一秒で処理していく。


突然、空気が粘り気を帯びた。

冷たく、まとわりつくような匂いが重くのしかかる。振り向く必要はなかった。

絹を切り裂くメスのような鋭い擦過音が、静寂のトンネルで唯一の警告となった。


蛇の獣人(パイソン・マン)だ。


爬虫類の筋肉と絶望の塊であるその怪物は、第8区画の境界を何週間も苦しめていた飢饉によって完全に狂っていた。

頭上から飛びかかってきた怪物の顎は外れ、カエルの頭蓋骨を砕くための骨の罠と化している。

腐臭を放つ息が顔に吹き付けた次の瞬間、条件反射がカエルの身体を横へと弾き飛ばした。


カエルは空中で身をよじり、重力を無視した黒い残像となった。

しかし、巨大な爬虫類の身体が彼の肩をかすめる。浅い一撃だったが、腕の感覚を奪うほどの重い衝撃が走った。

カエルは激しく地面に打ち付けられ、有毒なヘドロの層の上でブーツが危険なほど滑る。


だが、バランスは崩さない。

カエルの手は腰へと伸び、致命的な滑らかさでコンバットナイフを引き抜いた。


飢餓で盲目となったパイソン・マンが身をよじり、再び襲いかかってくる。

暗闇の中で冷たい刃の光が踊り、標的を見つけ出した。


カエルはただ斬りつけたのではない。己の全体重を柄に乗せ、爬虫類の顎の下にある分厚く繊維質な鱗の奥深くまで、強引に鋼を押し込んだのだ。

深淵で執刀する外科医のような正確さで、彼はたった一度の残酷な動作で、ハイブリッドの命を断ち切った。


鈍い音を立てて、爬虫類の体が崩れ落ちる。

ひび割れた床に温かく黒い血が水たまりを作り始めた――その瞬間、カエルの「本当の敵」が目を覚ました。


血の金属的な匂いが鼻腔を侵犯する。

歯茎が鋭く痛み始め、それと同時に、異質で抗いがたい生物学的本能が、彼に膝をつけと叫び始めた。


『喰らえ』


その言葉は思考ではなかった。彼の細胞の奥深くにハードコーディングされた絶対の命令だった。

顎が勝手に食いしばられ、顔の骨が、その生肉を口に収めるために形を変えようと圧し掛かってくるのを感じる。

それは単なる動物的な飢えではない。同化し、融合しようとする不自然な欲求。

彼の混ざり合った血に潜む、致命的な製造欠陥。


カエルは痛むほど歯を食いしばり、きっちり三歩後ずさった。

呼吸は荒く、かすれている。泥にまみれた自身の鋭い爪の生えた手を見つめ、関節が白くなるまで強く握りしめた。


「俺は、人間だ……」


暗闇の中で、震える声で囁いた。


「俺は人間だ」


心拍数が落ち着き、獣の叫びが胃の底へと這って戻っていくまで、彼はその言葉を真言マントラのように繰り返した。

手首を鋭く振って刃の血を払い、鞘に収める。


だが、次の影に向かって歩き出した時、背筋に別の種類の悪寒が走った。首の後ろの濃い毛が逆立つ。


誰かが見ている。


彼は振り向かなかったが、筋肉を緊張させ、歩調を速めた。

第三階層でのゲームは、今、さらに危険なものへと変貌したのだ。


カエルはコンクリートの裂け目をすり抜け、換気シャフトの間で無音の舞踏を繰り広げ、第8区画の境界にある重装甲の隔壁にたどり着いた。

その機械的なダイヤルの組み合わせは暗記している。背後で重い金属が密閉されると、オゾンと死の悪臭は消え去った。


代わりに漂ってきたのは、この地獄にはふさわしくない香り。

湿った土、苔、そして、脆くも頑強な生命の香りだった。


避難所は、巨大な発光胞子が放つ冷たい青みがかった光に照らされていた。

その即席の温室の中央で、アナベルが振り向いた。彼女の手は、毒素を丹念に取り除いた土で汚れていた。

死体を喰らって生きるこの世界において、アナベルの畑は経済的かつ道徳的な奇跡だった。彼女の育てる青白い塊茎かいけいこそが、この区画の脆い休戦を維持する唯一の通貨なのだ。


彼女の鋭い目は、カエルの外套についた黒いシミと、負傷した肩を庇う彼の様子をすぐに見抜いた。

彼女は何も言わなかった。銅線で編まれたカゴに歩み寄り、肉厚な塊根を一つ手に取ると、彼に差し出した。

無言の供物。


カエルはそれを受け取り、彼女の指先に軽く触れた。温かかった。

錆びた弾薬箱の上に座り、その根をかじる。味は泥臭く、純粋なデンプン質だったが、捕食者としての味覚を持つカエルにとっては、灰の味がした。

胃が痙攣し、トンネルに残してきた爬虫類の肉をまだ渇望している。

彼は目を閉じながら噛み砕き、自分が何者であるかを忘れないために、その儀式を無理やり喉の奥へと押し込んだ。


彼女は彼のいかりだった。彼がどうしても捨て去ることのできない人間世界に繋ぎ止めてくれる、唯一の温かい炉。


「今日、無傷のケーブルを見つけた」


沈黙を破り、カエルが言った。声はまだ嗄れている。


「堆肥用の幼虫と交換できるはずだ」


アナベルは彼の向かいに座り、湿った布を手にした。そしてゆっくりとした動きで、カエルの腕から乾いた血を拭き取り始める。


「第7区画に近づきすぎたんじゃないの?」


彼女は顔を上げずに呟いた。

カエルはすぐには答えなかった。自分の怪物的で爪の生えた手と、彼女の繊細な手のコントラストを見つめていた。


「境界線は縮んでるんだ、アナ。外の物資はもう尽きた。今日俺を襲ったパイソン・マン……あいつは骨と皮だけだった。あと一ヶ月もすれば、ミュータントたちは境界で立ち止まることはなくなる。ここまで雪崩れ込んでくる。君の芋だけじゃ、奴らを止めることはできない」


カエルは手に残っていた最後の根の欠片を床に放り投げた。息苦しさが押し寄せてくる。言葉が、破裂したパイプのように溢れ出した。


「もう、こんな生き方は限界だ」彼は声を震わせて告白した。「身を守るために殺すたび、俺は奴らを……」


『喰らいたくなる』という言葉はどうしても口に出せなかった。


「ここにいたら、俺はコンクリートの一部になっちまう。心のない怪物になるか、最悪の場合、誰にも忘れられた死体になる。これは生きているとは言えない。ゆっくりと腐敗しているだけだ」


彼は顔を上げ、アナベルの大きくて潤んだ目を見つめた。


「俺はここを出る。第二階層へ行かなきゃならない。この腐りきった地獄の先に、何か別のものがあるのかを知る必要があるんだ」


アナベルは完全に静止した。湿った布が彼女の膝に滑り落ちる。

その願望が、99%のミュータントにとって死刑宣告に等しいことを彼女は知っていた。しかし同時に、ここに留まることが魂の緩やかな自殺に等しいことも知っていた。


ようやく彼女が口を開いた時、その囁きは鉄のような重みを持っていた。


「私たちのところに取引に来るスカベンジャーたちが……深い交差点からの噂を運んでくるわ」


彼女は身を乗り出し、カエルが自分の言葉を一つ残らず聞き取れるようにした。


「第7区画を支配する『ボス』の話よ。彼は他の狂った獣たちとは違うらしいの、カエル。彼は力だけじゃなく、知識を集めている。アクセスポイントを管理しているわ」


アナベルは彼の爪の鋭さを気にすることなく、その手を強く握りしめた。


「噂では、彼はかつて制服を着ていたそうよ。崩壊の前は、第二階層の警備兵だったって。もしあなたが上へ行きたいなら、一人じゃ無理よ。通路はただの扉じゃない。血で封印された金庫室。そして彼が、その鍵を持っているかもしれない」


冷たい悪寒が背筋を走った。

もし密輸業者たちの噂が本当なら――もし元警備兵が本当にこの第3階層の腐った心臓部を支配しているのなら――カエルの使命はもはや盲目的な自殺行為ではない。


目的ができた。標的ができたのだ。


カエルは光り輝く畑を見て、アナベルの顔を見た。何年かぶりに、絶望による麻痺を感じなかった。狂おしく、危険で、酔いしれるような希望を感じていた。


彼は立ち上がった。決断は下された。ためらう余地はもうない。内に抱える影に怯える時間もない。

分厚い鉄の隔壁の敷居に立ち、彼は最後に一度だけ振り返った。


芋のカゴに囲まれたアナベルは、ひどく小さく見えた。彼女の澄んだ目には、残されて待つ者の純粋な恐怖が浮かんでいたが、それでも彼女は彼を引き止めようとはしなかった。怪物を遠ざける唯一の存在である彼の帰還を、ただ祈り続けるのだろう。


カエルはナイフの柄を強く握りしめ、その冷たい金属に自分の決意を固定した。敷居をまたぎ、ドアの重いロック機構を作動させると、決して振り返らないように自分に言い聞かせた。


世界は瞬時に変わった。

彼の区画の淀んだ馴染みのある空気は、組織的な脅威を孕んだ凍てつく隙間風へと道を譲った。ギザギザの金属板が意図的に溶接され、戦術的なチョークポイント(関所)を形成している。乾燥した血と機械油で描かれた縄張りの警告が、鉄筋コンクリートに傷跡を残していた。


彼は頂点捕食者としての絶対的な正確さで暗闇の中を進んでいく。

今回、彼は飢えを満たすためでも、今日を生き延びるためでもなく狩りに出る。

彼は運命を狩る。そして、未来への飢えが、ついに死の恐怖を完全に食い尽くしたのだ。

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