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チートなおじさんが知りました。

遅くなった上にヘンなとこで切ってすみません。おじさんの能力は…?

バチバチという電流が頭や体に駆け巡り、目が覚めるような刺激を与えた。それと同時に様々な自分も知らないような膨大な知識が脳裏に浮き上がってきた。

『知識』の中には先程ジェイダの言った能力についての詳細も含まれており、目を閉じてそこに神経を集中させる。

すると、機械のような声で誰かが脳内で能力を解説し出した。

『こ、の、チカラ、は強イ。上限はナ、イ。自らが、ココロ、の底か、ら自分の、危機的状況を、脱したい、ト思った時や、このチカラを使い、た、いと思った時に、その状、況を、自分の、ゆ、有利な方ニ変える、為や、その願いニ、最も、適した能力ヲ、創り出し、使用する。一度、創った能力は、何度も、使用できる、が、まだ、あまり制御はデキテイナイ…オわる』

途切れ途切れだったが、驚くほどすんなりと理解できて、目を再び見開く。

ニヤリと笑っているこちらが気味悪いのか、さっきまでの狂気的な笑みを引っ込め、ジェイダは眉をひそめて睨み付けてくる。

それに構わず、左手に力をこめ強く願う。

『この拘束から脱する力を』

バキィ、と予想していたよりはやく能力は発動した。どうやら今発動したのは念力らしい。触れてもいないのに鎖がジャラジャラと体から滑り床に落ちた。

ジェイダは顔を青ざめさせてこちらを指さしている。

「ぁっ、うわ、」

ゆっくりと立ち上がりジェイダを見る。右手に風が集まってくる。左手でずり下がった眼鏡を上げ、口の端をくいっと歪ませる。


「ありがとう、ジェイダ。君には感謝しなくちゃな。僕の能力を、僕が理解できたのは君のおかげだ。

だけど君にもう用はない。

さよなら、君が逃げてくれるのを祈るよ」

右の手を開く。小さな風の渦が手のひらに発生している。

ジェイダは呆然としていた顔を気づいたように険しいものに変え、白衣のポケットに入ったジャックナイフを取り出した。

「…逃げる気は無いようだね」

自分でも笑えるほど芝居がかった悲しそうな声が室内に響く。自分が何故こんなに高揚しているのか分からない。只、楽しいのだ。 

「残念だ」

「ひっ!?」

ジェイダの身体に風が叩きつけられた。ジェイダは目を見開いて血を鼻や目、口から勢いよく出した。血が噴き出すのと同時にジェイダの身体は吹っ飛ばされ、部屋の壁に激突し、壁には大きな亀裂が入った。

「ぐはぁッ!!!」

呻き声をあげてずり落ちるジェイダの腹を踏みつける。

「ぅァ、ヒィイッ!!がぁはッ」

「ふふふふふ」

ジェイダは明らかに怯えを大量に含んだ目でこちらを睨み付けた。自分の心に歓喜が浮かび上がる。口角がつり上がり、眼鏡をもう一度くいっと直す。

「化物、めぇ!」

「化物、ばけものっめぇ!…だと?……愉快だ。一般人(ひととはこんなにも無知で無恥な連中だったか。貴様らの気持ちは私には一生理解できぬであろうな」

頭が興奮や何やらでくらくらする。今自分が何を言っているかさえ分からない。

ゴキッという音が鳴り、ジェイダの骨が軋む。

「ぐふがぅッ」

「さようなら、麗しいマッドサイエンティスト」


直後、絶叫と共に、ジェイダは首の骨を折られ、絶命した、否。絶命したと思われた。読者もそう思っただろう。メタ的な発言は慎みたいが、多分、誰しもがそう感じたはずだ。

けれど、彼女は内臓を撒き散らしながら、微笑んだのだ。凄惨に。


「実験成功だよ」


不釣り合いにハイテンションな声と一緒に、後ろから拍手が聞こえた。

「実験材料君、ごめんね。私の偶像(アイドル)を使わせてもらった」

きれいで全く何ともない、ジェイダだった。

「!」

右手に風を籠める。

それを咎めるようにジェイダは眉を寄せ、顔の前でイヤイヤと手を振った。

「怒らないでくれ、これは国王様直下の御命令だ」

予想外の事に顔をしかめる。

「何……?」

ジェイダは書類の束を整理して、散らかった部屋を片付けている。 

「そう。君の能力の解明。それが目的さ。君が激昂した時の例も欲しかったから、知らせることはしなかったが、悪いことしたね」

ジェイダは、言葉のわりには悪びれもなく、楽しそうに愉しそうに言いはなった。


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