第四十四ゲーム・二色の翼
皆様!お久しぶりでございます!そして、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
そして!
湊&ピィアレナ「「まだまだ続きます『ただいま異世界巡回中!』を」」
ツキカゲ&龍華「「どうぞ最後までよろしくお願いいたします」」
清光「にゃん!」
と云うことで、休んでいた分をたっぷり投稿させていただきます!では、せーっのっ
「「「「どうぞ!!」」」」
湊は何処かふわふわした気持ちで微睡んでいた。良い気持ちである。その時、髪に何かが触れた。何かはわからないがとてもくすぐったくて、布団にうずくまってしまった。そうして再び眠り続けて数時間…いや、数十分かもしれない。湊は隣で一緒に寝ていたピィアレナが起きた衝撃で目を覚ました。ピィアレナは起き上がりすぐにバスルームに歩いて行ったようだ。水の音が部屋に小さく響き渡る。湊は無意識のうちに片腕を伸ばした。が、そこにいるはずのふわふわとした感触はなかった。嗚呼、清光もいつの間にか起き出して、私が最後か。そう思いながら、のっそりと湊は起き上がりベッドの上に座り込んだ。眠気眼をこすりながら、ベッドから下りる。ローテーブルに置かれた飲み終わった状態の二つのカップ。ツキカゲと龍華、清光がいない。いまだ覚醒していない朦朧とした意識の中で湊はそう分析する。この宿屋に食堂はついていない。外に行っている可能性が高い。そう考えつつ、ピィアレナが消えたバスルームへと入った。
「湊ちゃん、おはよう」
「…おはよぅ…ピィァ…レナ…」
「あら、まだ寝ぼけてるわね」
顔を洗い、タオルで水を拭き取っているピィアレナがいた。湊の返答に優しく笑うと「どうぞ」と彼女を誘導させた。湊は顔を洗う前に両頬を軽く叩き、意識を覚醒させるとザァーザァーと勢いよく流れ出る水に手を突っ込んだ。そして、顔を洗った。
「ん~!冷たい!」
「ふふ、覚醒したみたいね。湊ちゃん、そこに座って?髪やってあげるわ」
「ありがとピィアレナ!」
彼女から新品のタオルを受け取り、顔を拭きながらピィアレナの指示通り洗面所の大きな鏡の前の椅子に腰かける。顔を丁寧に拭く湊の髪をピィアレナが櫛で解き、手早くサイドよりの細いポニーテールを作って行く。「はい、できた!」と湊の肩を叩くピィアレナ。湊が礼を云うように鏡の中でピィアレナに向かって笑いかければ、彼女も笑った。いつの間にかピィアレナの髪型はいつものになっている。二人はバスルームから出て、朝食用のお茶を用意しながら話す。
「ねぇピィアレナ。ツキカゲ達何処行ったの?」
「窓の外見てみて」
「?窓の外ー?」
新たに出した二つのカップに紅茶を用意するピィアレナに言われ、湊は半信半疑で窓の外を覗き込んだ。そこで湊は驚いて目を見開いた。が、すぐに笑い声をあげた。外ではツキカゲと龍華が鍛練に勤しんでいたのだ。清光は二人のタオル番らしく、ベンチにお行儀良く座っている。その姿がなんとも愛らしく、思わずクスリと笑ってしまった。その背後でコトリ、とピィアレナがポットを置く音が小さくした。
「鍛練してるみたいなのよね」
「なんでピィアレナ知ってたの?」
「二人が下りて行く時にね、あたし起きてたのよ。それでね」
ピィアレナの答えに湊は「そっかー」と笑い、窓に軽く手をつけた。庭では今まさにツキカゲと龍華の武器が交差しているところだった。そういえば、自分もツキカゲに鍛練を頼んだなと湊は思い出したが、それよりも先にお腹の空きようの方が重要だ。二人の鍛練光景を名残惜しそうにしながらローテーブルに駆け寄った。ローテーブルには美味しそうな湯気をあげる二つのカップが置かれていた。その近くにはツキカゲ達が使ったであろうカップがピィアレナが持ってきたであろうトレイに乗せられていた。ピィアレナと二人、仲良くソファーに座り、カップを手に取る。紅茶を飲んでホッと一息。朝食のお茶、モーニングティーとでも云うのだろうか、そういうのは初めてだがとても美味しくて湊はほぉ…と頬を乙女のように染め上げた。
「昨日…もう今日かしら…は楽しかったわね湊ちゃん」
「うん!昼と夜であんなに雰囲気も品揃えも変わるなんて!凄いし、楽しかった!」
「また行く?」
「え、う、あー…」
行く!と即答で返って来ると思っていたピィアレナは湊が口こもるのを見て、意外そうに目を少し見開いた。湊は紅茶を一口、口に含み香ばしさを口の中で堪能すると言った。
「また行きたいのは山々なんだけど、私、寝る時間と起きる時間は決めた時間にしたくて…」
ダメ?とピィアレナを見上げてくる湊。身長的にも少しピィアレナが高いので軽く上目遣いになる。規則正しく、真面目か!とも思ったが、バランスが崩れるのは確かによくない。うん、と頷く。
「それもそうね。じゃあ、此処にいる間はたまに行きましょ。たまーに。何日いれるのかわからないけれど」
「!ピィアレナありがと!」
笑顔で言う湊にピィアレナも笑い返す。そうして湊は思った事を素直に口にした。
「ピィアレナってなんかお姉さんみたいだよね」
そう呟くとピィアレナは嬉しそうに頬を赤らめた。そしてカップを置き、ギュッと湊を抱き締めた。突然のことに湊は困惑したようで紅茶を溢さぬよう片手で持ち上げながら、アワアワとしている。
「ピィアレナ!?」
「んー!嬉しいわ湊ちゃん!お姉さんって呼んでも良いのよ?」
「でも、ピィアレナはピィアレナだしなー!私の好きなキャラクターだしー!」
「「ははは!」」
二人で笑い合う。ピィアレナが湊から離れ、湊が紅茶を飲み干した。ちょうどそのタイミングで新しくピィアレナが注ぎ足してくれた。彼女はついでと云うように自分のにも注ぎ足す。そうして二人は二杯目を飲んだ。紅茶を飲みながら湊の視線は再び窓辺に向かう。それに気づいたピィアレナがニヨニヨと含み笑いを浮かべる。
「湊ちゃんったら、本当にツキカゲの事が大好きなのねー」
「ふぇ?!そうだけど、そうだけど違うもん!」
「何言ってるのよ?」
顔を赤くする湊にピィアレナはクスリと笑う。そんなに分かりやすいかなぁ。龍華にも言われたし。紅茶を飲み干しながら湊は頬の熱を逃がすために両手を当てた。そりゃあツキカゲに会えて嬉しいし?大好きし?湊は半分開き直った。しかし、ピィアレナはツキカゲの事を言わないでおいた。内緒にしていないといけない、そんな気がした。「さて」とカップをトレイに片付けつつ、両膝を叩いて立ち上がる。
「鍛練後で疲れてるだろうし、二人を呼びましょうか!」
「うん、そうだね!私、下に行って来る」
「え?窓から呼べば…」
「ちょっと外の空気吸いたくて」
へへ、と笑う湊を見てピィアレナはニッコリと微笑み頷いた。湊も立ち上がり、それぞれの分担を確認すると彼女達はそれぞれの行動へ動き出す。備え付けのキッチンに消えて行くピィアレナのあとを追い、部屋を出る。出る直前に手を振り合い、湊はスキップ混じりで廊下を歩き始めた。何処からか漂う美味しそうな匂いが鼻腔を擽り、テンションが少し上がった。廊下を進み、階段をリズミカルに降りていると湊はラウンジに入ってくる龍華を見つけた。タオルを片手に歩いてくる。
「龍華!」
「!主人、おはよ」
「おはよう!ツキカゲと清光は?今呼びに行こうとしてて」
階段前で立ち止まった龍華の前にピョンと二段飛ばして舞い降りながら湊が言う。龍華が外を軽く指差し言う。
「まだ外。少し風当たってから来るって言っていたけれども」
「そっか。ありがと!呼んでくるね!あ、ピィアレナが飲み物用意してるよ」
「ふふ、はいはい。気をつけるんだよ」
クスクスと笑う龍華に「大丈夫です!」と強がるように叫び、湊は外に駆けて行った。その後ろ姿を見送ったあと龍華はゆっくりと階段を上り始めた。
「アンタは、知れるのかい?」
その小さな呟きには、何処か畏怖もあれば嬉しさもあって、それは複雑過ぎた。嗚呼、でも…龍華はタオルを口元に当て、小さく笑うと泊まっている部屋の扉を開けた。
ピィアレナはもう確実にお姉さんですね。あと龍華は……?




