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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
一周目 絆
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第二十一ゲーム・訪れた時間


その後、湊は清光と戯れていたが時間は刻一刻と過ぎて行き、朝霧達が来る気配も様子もない。変だと思ったツキカゲが様子をチラリと見に出ていったが数分して戻ってきた。まだ全員、自警団本部に集まっているようで、誰もいないと云う。こんなに時間がかかるとは思ってもみなかった。そこで二人は行きたくはなかったが、こちらから出向くことにした。神様の巡れ発言がある以上、この街を出て次へ行く場合が高い。ずっと此処に長居していては支障をきたす場合がある。背に腹は代えられん。


湊は忘れ物がないかベッドの上を確認すると、よしっ!と頷いた。ベッドの上には清光がちょこんとお行儀良く座っている。後で野良と思われて拾われないよう、なにか目印をつけよう。とそこで湊はあることを思い付いた。湊は帯に埋もれるようにしてある翡翠色の紐をほどいた。そして懐から小さな袋を取り出し、その中から紐に通るくらいの小物、小さな水晶が横に三つ並んだものを出し、紐に通した。小さな袋の中にはスペアなのか同じ翡翠色の紐も入っていた。素早く結びつけ、埋もれさせる。一回り小さい、少し小さい、一回り小さいの三つが並んだ水晶が天井の光に反射して紐の色をうつして美しく輝いた。


「?マスター、それって」

「あ、うん。清光用に!野良と間違われて連れて行かれちゃたまらないもん。もう私達の子だもんねー」

「なぁにゃあ!」


まるでお喋りしている気分になる。清光は後ろ足を伸ばしてまるで二本足で立っているかのようだ。湊が持つ物を「ちょうだい」と云うように前足を動かす。ツキカゲも準備が終わって来たらしく、湊の手元を興味深そうに覗き込んだ。そして湊の手から物、アクセサリーを借りた。水晶三つを見、湊に「僕が着けて良い?」と首を傾げて問う。湊はツキカゲも可愛いところあるなーさすが私の嫁!なんて微笑ましく思いながら頷いた。ツキカゲは嬉しいようで笑顔を浮かべた。そうして清光の方へ手を伸ばした。


「清光、おいで。着けるから」

「なおぉん、にゃー!」

「おっ、なつかれてるねーツキカゲ!」


伸ばされた手ではなく、清光はツキカゲの胸元に飛び込んだ。慌てて抱きとめると湊が微笑ましそうに笑った。ツキカゲはそれに何処か嬉しそうで恥ずかしそうに微笑した。そして片腕に清光を抱きながら片手で首にアクセサリーを着ける。清光が嫌がることがないよう、取れることがないよう慎重に着ける。


「にゃああ」

「ふふ、似合ってるよ清光」

「にゃん♪」


着け終わり、清光に言うと彼ー彼?彼女?ーは「ありがと!」と云うように頭を撫でるツキカゲの手に頭を擦り付けた。湊も「似合ってるよ!」と清光を撫でる。


「これで迷わないね!」

「迷うって何?マスター」

「あれ?言葉間違えたぁー」


ハハハッ!と二人が楽しそうに笑い合うと清光も楽しそうに鳴いた。暫く楽しく笑い合って、湊は部屋の窓を閉め、カーテンも閉めた。そうして一人と一匹の方へ戻ってくると「OK!」と片手で丸を作った。清光がツキカゲの頬に頬擦りするとスルリとその腕から抜け出し、彼の肩に乗った。あ、案外軽い。驚きながらも本当にちゃんと食べていたのか心配になったツキカゲを横目に、湊が興奮したように声を上げた。


「わぁ!可愛い!可愛い×可愛いは神!!」

「マスター?落ち着こうか?」

「ア、ハァイ」


案外低い声で言われ、しょぼーんと云うように湊のテンションが収まった。それにクスクスと妖艶に笑うツキカゲにプクゥと頬を膨らませる。湊は部屋を出ようと扉に向かって歩き出した。その後をツキカゲと彼の肩に楽チン、と言わんばかりの表情をして乗った清光が続く。湊が扉を開けた、次の瞬間


『解決しました。移動します』


と云う無機質な声が響いた。えっと湊が声をあげかけ、ツキカゲと清光を顔だけで振り返った。途端、彼らの姿は一瞬にして消え失せた。まるで何処かに()()()()()かのように。数秒前まで()()()()()()()の部屋。扉が半開きになったまま虚しい音をたてながら、風に揺られる。と、そこへ足音が響いた。その数は一つでは決してない。足音は半開きになった扉の前までやって来ると訝しげにドアノブを掴んだ。まだそのドアノブの反対側、部屋の中のドアノブは暖かい気がした。


「………行ってしまったのかい」


誰に云うまでもなくポツンと呟かれたその一言。その一言で決心がついたのか半開きだった扉を開いた。そして、中へ飛び込んだ。他の足音もゆっくりと中に入る。元々荷物が少なかったのだろう、なにも残っていない。一つの足音が閉められたカーテンに近づくと勢いよく開けた。窓の下では街の人々が日常を取り戻し、昨日までの、今日までの出来事なんてまるでなかったかのようにのんびりと過ごしている。その一つは窓枠に片腕を置き、傍らの壁に寄りかかった。


「遅かったようですわね」

「ま、しょうがなかろう。あやつらにもそれなりの理由があるのだろうしな」


別の足音が同じように窓辺に近寄り、同じように外を覗き込んだ。そして、扉のところで立ち止まっている()()の足音を振り返った。その足音は()()に聞こえぬよう、小さく笑って何かを言うと扉を閉めた。その扉の音は、何処か希望の音色を奏でていた。


前回のことになっちゃうんですけど、ウチ、漢字で音読み使ったなら訓読み使えば良いと思ってる説がどこかにあります。そして色々探したとも云う……もう言わんネタバレになっちまう。

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