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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
一周目 絆
10/116

第九ゲーム・違和感は、浮かび上がる



「これで良いの!?()()!」


湊に名前を呼ばれた男性はゆっくりと彼女を振り返り、複雑な表情を浮かべた。


「……そんなわけ、()()()()

「……え」


力強く返って来た答えに湊は一瞬面食らった。そしてその間にツキカゲを連れて自警団は行ってしまった。武器屋のオーナーが「大丈夫かい?」と湊に声をかけるのも気に止めず、湊は考え込んでいた。男性の名前を知っていたのはゲームで出てきたからであり、つい滑ってしまったが間違ってはいなかったようだ。彼は〈乱殲らんせん闘魂とうこん〉の中盤に出て来る街の自警団団長。やはり、色々と違う。ではこれはなんなのだ?神様の悪戯か?いや、これが此処での日常なのかもしれない。嗚呼、だとしても


「私の嫁を、ツキカゲを取り戻す!!」

「うわっ!?ちょ、ねぇ大丈夫かい?お嬢さん」


考え込んでいたと思ったら突然大声を出したため、近くにいたオーナーが驚愕の声をあげた。湊はハッと我に返り、「ごめんなさい!」とオーナーに謝った。


「騒がしくしちゃってすみません…」

「いやいや。連れが突然連れて行かれちゃあそうなるものさ」

「うぅ~」


大丈夫だよと宥められて逆になんだか恥ずかしくなる。湊は頭をあげながら、オーナーに訊いても良いものかと思案する。ツキカゲの無実を、彼の言葉の意味を知りたい。そのためには一週間前に起きたと云う殺人放火事件を知らなければならない。私は、なにも出来ない、チュートリアルが終了したばっかりのレベル1の初心者だ。なら、できるところからできることをやって行く!そう決意した湊はオーナーに向かって訊く。


「あの!さっきの殺人放火事件の事、教えてもらえませんか?」

「…彼を、救うためにか?」

「はい!私は、ツキカゲの無実を証明しなければならないんです!私はツキカゲを信じてるから!」


「大丈夫、戻ってくるから」そう先程のサインで言っていたツキカゲ。それでも、証明したいから。せっかく会えたのに、相棒である君が居なきゃ意味がない。「お願いします!」と勢いよく頭を下げて頼み込む湊。旅人であり余所者である湊に、容疑者であろうツキカゲを連れていた彼女にそうやすやすと街の事情など教えてくれないだろう。一瞬、暗い方に考えてしまった湊の耳に衝撃的な言葉が舞い込んだ。


「この街に詳しい案内人が必要だろう。娘が案内人としても事件に関しても詳しい。彼女を連れて行くと良い。レアン!」

「え、あ…あの…いいんですか?」


まさかの対応に湊は困惑し、どぎまぎとなってしまった。と云うかまだ独身っぽく見えたオーナーに娘がいたことにも驚いていた。オーナーは店の中にいる娘を呼びながらニッコリと笑って言った。


「嗚呼、婚約者の無実を証明したいのはよくわかるからな」

「こ、婚約者って…」


嫁と叫んでしまった事によって勘違いが勘違いを呼んだらしい。頬が別の意味で赤くなる。でも、訂正はしない。ツキカゲごめん。心の中で連れて行かれてしまったツキカゲに謝罪しながら此処ではそういうのをあまり叫ばないようにしようと決心した。じゃないと勘違いを呼んでしまう。湊はそれでも良いがツキカゲはわからない。笑って受け流しそうではあるが。

「ありがとうございます」とオーナーに向かって再び頭を下げるとオーナーはいえいえと爽やかに笑った。ふと湊はレアンと云う名に聞き覚えがあるような気がした。恐らく〈乱殲らんせん闘魂とうこん〉関連だろうがそのまま同じとは限らない。すると、店の奥からレアンと云う名であろう少女が現れた。その姿に湊は声をあげそうになるのを辛うじて堪えた。そこに現れたのは美少女。ゲームの中で見た姿、そのままである。まぁ先程の男性も青年もそうだったが、此処が()()と感じ、考えている以上、違和感が拭えない。


「このはレアン。お嬢さんの力になれる事、間違いなしだ」

「お父さんに()()()()()()()()、レアンです。貴女のお役に立てれば良いのですが」


ニッコリとオーナーに()()()()笑みで少女は名乗った。彼女の言葉に少し違和感を感じ、湊は小さく首を傾げた。

レアンと名乗った少女はクリーム色のふわふわとしたロングヘアー(肩下くらいまでだろうが、ふわふわしているので正確には不明である)でくりくりとした魅惑的な黄緑色の瞳が特徴的である。淡紅藤色のワンピースに腰にはピンク色のリボンサッシュ。袖口はパフスリーブと云うものになっており、手の甲の部分に小さなリボンがついた、手の甲部分のみの白のメッシュの手袋をはめている。薄桜色のニーハイソックスに、薄茶のローファー。あまり飾りっけのないシンプルな服が、彼女の美しさを際立たせている。


「あ、ありがとうございます!」


湊は協力してくれる事に感謝し、勢いよく頭を再度下げた。だが、湊の記憶では、ゲーム内ではレアンは男性だったのだが。はっきりと女性だとわかるのでやはり此処は違うのだと、混合しないようにしなければ…と湊は気を引き締め、理解した。だって此処は、()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。


題名のままですね。ちょっとゲームとの違いを出してみたかったんです。

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