↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
72/74

第七十二話「炎熱」

夜。


ここは、荒野における唯一の安全地帯(セーフゾーン)。


格子状の木の柵とアカシアのバリケードに囲まれた畳(たたみ)1畳ほどの小さなマイホームである。






パチパチ パチパチ


火床から上がる炎が、夜の帳(とばり)を赤く照らす。


「今日は収穫の多い一日だったな。」


うんこ。


アンキロサウルス。


うんこ。


次いで、可食可能な果実の発見と、この肌を包む白い布・・・。






燃え上がる炎を見つめながら、雨合羽のように着込んだ白い布を強く握りしめる。


ああ、この白い布がマジックアイテムだと気付いたあの時から、僕の胸のドキドキが止まらない。


この白い布は、汚れた部分を水で揉み洗いした後(のち)に水気を含んだ布をパンパンと振れば、汚れが霧状となって吹き飛ぶマジックアイテムなのだ。


能力としては、かつてアニメやマンガの世界で見たマジックアイテムよりも遥かにショボい。


だが、この“マジックアイテムが実在すると言う事実”が、僕の心に一つの疑問を反芻させる。


“この世界には、魔法が存在するのではないのだろうか。”






転生初日に登った大樹の頂(いただき)。


そこから見た木の巨人の姿が、心の中に鮮やかに蘇る。


木の巨人と言えば、剣と魔法の世界における定番の種族の一つ。


あの木の巨人は、生物学的な進化の結果に生まれた生物なのだろうか。


それとも、神秘が生み出した魔法の生命体なのだろうか。


この世界における魔法の存在は、未(いま)だ不確定。


だが、未だ不確定な魔法の存在に、胸が熱い。






パチパチ パチパチ


焚火の炎が、炭化した薪の樹皮を高く舞い上げる。


もしかしたら、僕が気が付いていないだけで、僕は魔法を使えるのではないだろうか。


「こういうのは、とうの昔に卒業したと思ってたんだけどな。」


沸き立つ心が、止まらない。






足を肩幅に広げて焚火の前に立ち、ゆっくりと深呼吸をする。


イメージするのは、燃え盛る炎。


焚火に向かって両手をかざし、手の平にゆっくりと意識を集中させてゆく。


手の平が熱い。


この手の平に感じる熱は、果たして焚火の発する炎熱だけなのだろうか。


否、それは断じて違う。


そして、僕は呪文を唱えた。


「ファイア!メラ!!ヨガファイアー!!!」






・・・。


・・・・・・。


・・・・・・・・・。






うん、何も起きない。


寝よ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。