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第1話

真樹れいは父親が営む空手道場のエースである。

女だてらに一方強く、それは結構噂になっていた。

街で番を張るヤンキーやイキがるヤカラの標的となっていた。


今日も実家の空手道場に果し状が送られてくる。

果たし状を見て不愉快になる真樹れい。

「あ? なに、こいつら?」

「どうした?」

この道場の館長でもある真樹れいの父親が語りかける。


頭をかきながら服を整え出かけようとする真樹れい。

「悪い、おやじ。ちょっと出かけてくる。」

それを見た父親、少し呆れる。

「早く帰ってこい。ケガすんなよ。」

「んなわけないでしょ。」

そう言って背中を父に向け、手で挨拶して家を出る真樹れい。


————————————————-


「あー、ごら。おめーがあれか? この街で噂のイキリヤンキー女か?」

まさに時代遅れ的ウラ番的チャライケメン風ヤカラ三人組が手に武器を取り、

真樹れいを威嚇する。人通りがない大型河川敷。

上の部分は高く何層にも分岐する高速道路の橋桁が覆い被さる。

一直線上に双方がメンチを切っている。


「いや、私イキリヤンキー女じゃないし。」

真樹れいは自身よりもガタイがよく背も高いヤカラたちを冷めた目で見下ろすように言い放つ。

「ははっ! 上等だぜ!」

「痛い目に合わせてやる。」

「そのあとは、気持ちいいことしようぜ!」

ヤカラ三人組が挑発する。


河川敷の決闘が始まる。

三対一の戦い。

ヤカラ三人組と真樹れい一人の戦い。

普通であれば男ヤカラ3人組に女性が勝つのは難しい。

だが、真樹れいは父親の空手道場の娘。

しかも道場のエースである。


戦いは真樹れい遊勢の元、繰り広げられた。

そんな河川敷の戦いを、見つめるモノの視線があった。

それは普通ではない、この世のモノではない存在であった。


「見つけた。」

「見つけた。」

「強気モノたち。」

「我々には強きモノたちが必要だ。」


三対一の戦いが続く。

ヤカラ三人組と真樹れいのバトルは拮抗する。

「お前、強いな。」

「あたり前だ。私は道場のエースよ。」

「女のくせして、生意気な。」

「女だからって、舐めないで。」

「女にしておくのもったいないな。」

「何言ってるの? 今は男女平等よ。」


拮抗する双方の緊張を破るものがあった。

日が沈み、夕闇迫る夜の闇。

突如として、空が割れ、謎の異空間が発生した。


「え?」

「え?」

「え?」

「何?」


四人は戦うのをやめてその方向を見る。

するとそこには『七色のグラデーションがモヤモヤしている』異空間の穴が見える。

次の瞬間、その中から邪悪で黒い塊が出現する。

よく見るとそれは、物を掴もうとする無数の『腕』の集合体であった。


「え? 化け物?」

「お化け?」

「妖怪?」

「そう言えば、なんかお化けが出るって噂、あったわよね。」


固まる四人に対し、数えきれない『千の手』の集合体が声を発して迫り来る。

「見つけた。」

「見つけた。」

「強気モノたち。」

「我々には強きモノたちが必要だ。」


目配せするヤカラ三人組と真樹れい。

「どうする?」

「どうしよう?」

「やっぱこれは」

「一緒に戦うしかないでしょ!」


これまでガチンコバトルしていた四人が共闘して迫り来る怪異『千の手』と戦う。

お互い共闘することで双方を補完し、戦いは優勢に思われていた。

しかし。


空に開いた異空間の穴から、今度は『目』やら『口』やらの増援が出てきて宙を舞う。

複数の『目』はジロジロと四人を見つめ、複数の『口』はとてつもなく長い舌を

べろべろと伸ばしている。

おまけにこの世のものとは思えない不気味な笑い声をあげている。

「うわ! キモ!」

「変態かよ!」

「化け物総進撃かよ!」

「これじゃキリがないわ!」


次の瞬間、強烈な閃光が走り、爆発が起きる。

「超怪異1号2号3号種、撃破。その数およそ30。」

人のような、機械のような声があたりに響いた。


何事かと驚いて仲良く同時にその方向を見る四人。

するとそこにはまるで『宇宙人』かと思われる姿が二名。


「手榴弾、効果あったな。」

片方のガタイのいい男がそう言って大型の『大砲』を持ち上げる。

「殲滅はこれからよ。」

横に立つ華奢な女が二丁拳銃を取り出す。

男、大型の『大砲』を持ち上げ、構え、スイッチを入れる。

「ターゲットスコープ、オープン。

標的、超怪異1号2号3号種の群体と確認。

これより殲滅すべき、ハイパーブラスターの発射準備に入ります。」


二人が頭部に装備するゴーグルから機械的な声が発せられている。

派手な装備、点滅するメカ装備。

一見ロボットのようでそうでない。

重厚プロテクタースーツなのかもしれない。


地面に伏せて息を呑むヤカラと真樹れいたち。

「なんだあれ? 宇宙人?」

「ロボット?」

「サイボーグ?」

「知らないわよ。私に聞かないで!」


二人並んで攻撃体制に入っている2名。

機械的な声が続く。

「ハイパーブラスター急速充電中。発射まであと1分。」

大型の『ハイパーブラスター』を構える男。

「長いな。もっと早く充電できんもんなのか。」

そうぼやく男の横で、腰を低く、銃を構える女が答える。

「援護は私に任せて。ターゲット外さないでね。」

そう言って女は二丁拳銃を構え、眼前にうねうねと蠢く敵の化け物集団を注視する。


自身が標的になっている敵の化け物集団。

だが彼らもおとなしく待っているはずもなかった。


「ケケケケケ!」

「ヒヒヒヒヒ!」

「ホホホホホ!」

それぞれ異なった鳴き声をあげて、攻撃体制に移る2名に襲いかかる。

華奢で小さな女性はなんとか二丁拳銃で攻撃を対処している。

しかし大型ブラスター充電中のガタイのいい大男は苦戦している。

「いや、ちょっと! 避けられないよ!」

自分の身体よりも大きなブラスターを抱えるガタイのいい大男は悲鳴をあげる。

「わかってる! わかってるわ! こっちもがんばってるんだけど!」


大型ブラスターのカウントダウンが進む。

あと30秒だ。

大型ブラスターの充電が進み、ウインウインと重そうな音を立てていく。


その様子を見た地面に這っていたヤカラ三人組と真樹れい。

四人はお互いを見て目配せする。

「提案があるんだが。」

「ここはちょっと。」

「休戦しませんか?」

「そうね。わかったわ。」

お互い頷いて、それぞれの目的に向かう。


迫り来る超怪異の単体群。

小さな華奢な女性の二丁拳銃が弾切れとなる。

「しまった! 装填しないと!」

だが敵は待ってくれない。

目や口や手がその隙を見て襲いかかる。

「あ!」

ピンチその瞬間、空手道場エースの真樹れいの鉄拳と蹴りがそれらを駆逐する。

「早く! 装填を!」

その言葉に頷いて、すばやく二丁拳銃に弾丸を装填する小さな華奢な女性。


「うわうわうわっ! 避けきれねえ。」

大型ブラスターを構えるガタイのいい大男。

冷たくも冷静に機械的なサポートの声が告げる。

「標準からターゲットがずれています。大砲を安定してください。」

緊急時にも関わらず、淡々と告げる機械的なサポーターの声。

「わかってる! わかってるっつーに!」

脇見したガタイのいい大男に向けて、超怪異の群れが攻めてくる。

「うわっ! ちょっと!」

次の瞬間、ヤカラ三人組が超怪異の群れをパンチとキックと頭突きでそれを退ける。

「おー、あんがと。兄ちゃんたち。」

それぞれポーズを決めるヤカラ三人組。

「よくわかんないけど、早くそれ撃っちゃって!」


淡々と機械的なサポーターが告げる。

「ハイパーブラスター、充電完了です。いつでも撃てます。」

その言葉に反応するガタイのいい大男。

「よっしゃ! 行くで!」

大型ブラスターのターゲットスコープの先、赤いレーザーサイトが伸びていき、

これから撃滅すべき超怪異の大群の中央をロックする。


乾燥した冷たい空気の風が強く吹き抜ける。

大型大砲をかまえるガタイのいい大男が耐えている。

大型ブラスターが激しく揺れる。

光の小粒が砲塔に収束し、キラキラと光る。

「みんな、目を塞げ! 耐ショック耐閃光防御!」

ガタイのいい大男と小さな華奢な女性はサングラスをかけている。

夜なのに、なぜ? と思った。

なるほど。

しかしそれはサングラスではなかった。


慌てて地面に伏せる真樹れいとヤカラ三人組。

ガタイのいい大男が告げる。

「殲滅砲ハイパーブラスター発射!」

それは実行された。


そして次の瞬間、真樹れいが目を覚ましたのは、どこだかわからない病室のベッドの上であった。

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