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飛びます、飛びますっ!

さて、ヘロヘロになりながらトロッコを降りると今度こそ本当の最終試練が待っていた。それは○×クイズである。

そう、問題を聞いてその問題が丸だと思ったら○が描かれている発泡スチロールの壁へ突撃し、×だと思ったら×が描かれている壁へ向かって走るアレだ。


「それでは問題です。神輿 恋菜 (みこし こいな)は男である。○か×かっ!スタートっ!」

蝶ネクタイを締めた司会者の問題に僕は苦悩する。いや、答えは判っているのだ。女性である。なので答え場×だ。

だがこれではあまりにもサービス問題過ぎる。なので何か引っ掛けがあるのではないかと僕は穿ったのだ。


しかし躊躇っている時間はない。この手のイベントは即断が鉄則だ。なので僕は覚悟を決めて×に向かって走り始めた。そして勢いよく壁を突き破る。


だが、その奥には何もなかった・・。そう、何もなかったのである。本来ハズレならばあるはずの水溜りや、正解だった場合のクッションなどもなく、本当に何もなかった。

因みにここは天空である。なので当然ながら僕は下界へと落下した。


成る程、これは『×』と『罰』を掛けていたのだな。そして僕は結婚詐欺の罪として罰を受けたのか・・。

むーっ、そこまで問題が捻ってあるとは気づかなかったぜっ!


でも○に突っ込んでいても結果は同じだったんだな。つまりこれって出来レースだったのか。むーっ、やられた・・。


だが、安心して欲しい。実は僕は以前、全財産を巻き上げた女性が飼っていた白くて長細い生き物『ナツ様』から魔法少年にスカウトされており、変身出来るのだっ!


「フルムーン・パワー全開っ!メイククレンジングアップっ!」

変身する際の掛け声と共に、それまで僕が着ていた服は下着も含めて千切れ飛び真っ裸になった。

勿論股間の部分には白い光のラインが走り見えないようになっている。いや、そんな配慮をしてくれなくても誰も野郎の股間なんて見やしないってっ!


と言うか、ここって高度3万m近いよね?そんな所に僕以外の人間がいるとは思えないんだけど?

もしかして天使たちにとっても局部の露出はご法度なのか?でも西洋絵画ではあいつらって大抵フルチンじゃんっ!隠してないじゃんっ!


まぁ、取りあえず倫理レイティング問題はおいて置こう。それよりも変身だ。

そして服が千切れて真っ裸になった次の瞬間、僕は光に包まれその光が消えた後にはウイングスーツを身にまとっていた。


ウイングスーツ、それは手と足の間に布の膜を張った滑空用の特殊なジャンプスーツの事である。別名『ムササビスーツ』とも呼ばれている。

そしてウイングスーツは膜によって増加した空気抵抗を利用して落下速度を抑えるだけでなく、揚力をも発生せてて空を滑空出来るように作られているのだ。


因みにウイングスーツの世界記録は水平飛行距離が26.9km。総合飛行距離は28.7kmらしい。

更に最高水平速度世界記録は363km/hにも達したらしい。ひゅ~っ!下手なポルシェより速いぜっ!


とは言え、動力を持たないウイングスーツは高度差を速度に変換しているだけなので最終的には高度はぐんぐん落ちていかざるを得ない。

特に高度3万mの大気圧は地上の1%くらいしかないからウイングスーツの膜程度では大気を掴みきれないので役に立たないのだ。


そして大気圧が少ないという事は空気抵抗も少ないという事だ。なので僕の体は地球の重力に引っ張られてぐんぐん速度を増していった。

因みに地球上での自由落下による速度の増加率は次の式で計算できます。


t秒後の速度 v=gt(メートル秒)


gは地球上での重力加速度で9.8m/sの2乗です。但しこれは空気抵抗がないものとした場合であり、実際には落下速度と空気抵抗が吊り合いそれ以上速度が上がらないポイントがある。

それは落下姿勢と大気密度により違いはあるが、腹ばい状態だと大体時速200~300kmくらいが目安らしい。


そして漸く、大気密度が地上の1/3くらいにまで増えた高度1万mまで降りたところで僕のウイングスーツは漸く空気を捕まえられるようになった。

ただ、落下速度があまりにも速過ぎると膜が破れるかも知れないから慎重に開かなければならない。

尚且つウイングスーツの飛翔速度のままでは結局地面に激突したらぺしゃんこだ。


だが安心していい。何故ならばウイングスーツにはちゃんと着地用のパラシュートが装備されているのだっ!

そうっ!何事も備えあれば憂い無しであるっ!


しかし問題はまだあった。如何にウイングスーツが横移動を出来ると言ってもその距離には限界があるのだ。

そして僕が天国への階段を上り始めた場所は見渡した限り陸地がない海の上である。


つまり無事地上に戻っても今度は海上をぷかぷかとさ迷う羽目になるのだ。

とは言えそこら辺はあまり気にしなくてもいいだろう。多分偶然にも程があると呆れてしまうくらいなご都合主義で、僕は大型クルーズ船の上に舞い降りるはずだ。最悪でも遠洋マグロ漁船はいるはずである。


まぁ、実際には3日程海上を漂流した後に、たまたま通りかかった自衛隊の救難飛行艇『US-2』に見つけてもらったんだけどね。

うん、ウイングスーツの装備品として発炎筒があってよかったよ。


その後、生き返った僕はこの体験を本にして出版した。その本が馬鹿売れして今では高額納税者番付の100位以内になったよ。

勿論その本のタイトルは『天国への階段~踏み外したら地獄へ真っ逆さま~』である。



と言う夢を僕は見た・・。しかもその夢を見た場所は天国へ続く階段の踊り場だったよ・・。

うん、どうやら僕は階段を上る途中で疲れて寝てしまったらしい。


しかも高さ的にはまだ333mくらいしか上っていないみたい。

ははは、東京タワーの高さと一緒だよ。むーっ、天国に行くのって結構大変なんだなぁ。


雑文寓話「天国への階段~踏み外したら地獄へ真っ逆さま~」-完-

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