最凶の王
800年前、人と妖怪の世界の境界が曖昧だった頃、四大王と呼ばれる大妖怪が居た。空王烏天狗、獣王鵺、地王土蜘蛛、その3人の王ですら凌駕する最強の鬼の王、鬼王、酒呑童子、酒呑童子の前には誰も居らず、後ろには酒呑童子の倒してきた妖怪たちが列をなす、これが世に言う(百鬼夜行)である、そして、その妖怪たちから人々を護りその驚異から人々を守護するものたちもまた居たそのものたちは、陰陽師と呼ばれ、妖怪達からは嫌われ恐れられていた、この話はそんな妖怪と陰陽師の存在も忘れられた頃の話……
いつからだ同じ夢を見る、誰かを信じてその誰かに裏切られる、そしてそんな誰かを恨む、だけど決まって目を覚ますと涙を流している
「またあの夢か」
朝日が差し込む、毎朝太陽の光で目を覚ます、段を降りるとそこには祖父が座って朝飯を食べている
「なんや、叶芽また同じ夢見てべそかいとんのか」
「別に泣きたくて泣いてる訳じゃ、なんでか勝手に涙が落ちるんだよ、そんな事よりじっさまなんで正装」
「なんやお前、忘れたんか今日はお前の八雲学園の入学式やろ」
八雲学園、表向きには全寮制の進学校として有名だがその裏では、国内で頻発している妖怪における事件を解決する陰陽師達を育てる学舎、今日俺はその学校に入学する、
「そう言えば今日だったな、じっさまも入学式出席すんの」
「ワシだって嫌や、せやけど仕方ないやろ、一応は学長やから、ほんま貧乏くじ引いたは、そんな事はどうでもえぇ、はよ準備せんかい、今日は入学式と一緒に入寮式もあるやから、シャキッとせんかい」
「そんなギャギャ言わんでもわかってるよ」
俺は自身の部屋に戻り早々と準備を済ませる、その時ふと机の上に置かれてあるネックレスを手に取り胸に抱く
「父様、母様、俺は必ずあなた達のような陰陽師になってみせます」
下の廊下から祖父の声が聞こえてくる
「叶芽早くせんかい、置いてくぞ」
俺は急いで荷物をまとめて車に乗り込み出発する、少しして大きな建物が見えてくる、外見こそ古く見えるが周りの警備は厳重だ
「叶芽よ、入学式まで時間がある、せやから少し学園の中見学してこいや」
祖父にそう言われ、俺は学舎の中にある中庭に向かう、中庭には樹齢800年の神樹が祀られている、神樹の根元近くに目をやると1人の少女が立っていた、その少女は儚げに木を見つめている、するとその少女はこちらに気が付き歩み寄ってくる、顔と顔があと少しでぶつかってしまうぐらいの距離に近づいてくる
「お前誰だ?」
「あなたはどっち」
その少女はまっすぐこちらの目を見て言ってくる、俺は意味もわからず固まっていると後ろから祖父の声が聞こえてくる
「叶芽、そろそろ式始まるぞ、その子は誰じゃもう引っ掛けたんか」
「何言ってんだよじっさま、この子のこと知らないの見る限り、小学生ぐらいだけど」
「違う、私はこの学園の精霊、またね」
する突風が吹き祖父と俺は目を逸らすとそこに居たはずの少女が居なくなっていた
「消えたよ、誰なんだあの子は、てかじっさまなんの用なの」
「言ったじゃろがい、式が始まるやさかい呼びに来たんや、はよ行くぞ体育館や」
それを聞き俺と祖父は体育館に向かう、体育館に入ると入学予定の生徒で埋め尽くされている、そして俺は席につき周りを見渡すと、有名な名家の息子や娘も多い、俺の家はあまり他の家との関わりが少ないため見知った顔が少ない、そんなこんなしていると、入学式が始まる、陰陽師の学校とはいえそれ以外ほかの学校とは変わらない、入学式は学園長の話しや入学生代表話などで退屈な時間が流れる
「じっさま、話長すぎだろ良く飽きないよな、つまらん、入学する学校間違えた」
そんな風なことを思っていると急に体育館の窓が割れる、皆がその方に目をやると1人の男が立っていた、その男の風貌は角が生え牙があり禍々しいオーラが漂っている、その迫力に押され入学生などは倒れていく
「八雲学園ここがそうか」
男がそう聞くと男の方に刃が飛んでくる、男はその攻撃を片手で止める
「今は入学式の最中だ、なんのつもりだ妖」
「邪魔するな」
男が手をかざすと、男に攻撃した教師の上半身が吹き飛ぶ、その姿を見て気を失っていなかった人達は、恐怖しパニックにおちいる
「なんだよあいつ」
「見つけた」
するとその男は俺の元に近ずいて来る、俺はすかさず臨戦態勢をとるが、ふしぎとその男からは殺気を感じない
「800年お待ちしておりました、貴方様の復活を酒呑童子様」
その男は涙を流しながら俺の前にひざまつく、言っている意味がわからない酒呑童子800年前に存在した大妖怪で、鬼王とも呼ばれる伝説の妖怪だ、そんな妖怪と俺を間違えているのか
「お前誰と間違えているんだ、俺は人間で酒呑童子なんかじゃないぞ」
「小生が貴方様を見紛うわけもありません、貴方様は、百鬼夜行を束ねし妖の王、酒呑童子様です、16年前貴方様の霊気の復活を感じ、完全な復活を心よりお待ちしておりました」
「何言ってんだよ俺は人間だ、妖じゃないし、酒呑童子でもない、ふざけるなよ」
「おそらくは復活の代償で記憶が混濁しているのでしょ、安心してください、私の術であなたの記憶を」
そう言いその男は俺の方に手をかざす、そして何やら怪しい術を唱える、術を唱え終えると俺は激しい頭痛に襲われその瞬間俺の意識は暗闇の中に追いやられる、そして意識の無くなったその瞬間、俺の立っていた場所から禍々しくも悍ましい気配がその場を覆い尽くす、その場に居たものはその恐ろしさから立ち尽くすことしかできない
「この数百年大義であった茨木、再び歩むぞ、百鬼共」
「承知しました、我が君、酒呑童子様貴方様の復活心よりお待ちしておりました」
「七星剣」
静寂を打ち壊し、酒呑童子の方へと七つの光が飛んでいく酒呑童子はその光を軽々交わし、酒呑童子はその攻撃の方向を向くと、タバコを咥え気だるそうに立つ男がたっていた
「何者だ、今の攻撃は何のつもりだ」
「今ので死んどけよ、クソ鬼、何者かって俺は、十二天将が1人、白虎の名を冠する一色虎丸、叶芽の師匠だ、お前に恨みはないが愛弟子返してもらうぞ」
その刹那、虎丸の左腕が宙を舞う
「その腕貰うぞ」
その宙を舞う腕に宙に意識が向いた瞬間、酒呑童子に顔に強力な拳が飛ぶ、酒呑童子は意味もわからずその場によろける、虎丸のほうを見ると先程飛ばしたはずの左腕がある
「なぜ、この術は」
「よく知ってるだろお前らが、この術は煙羅煙羅の夢幻泡影お前ら百鬼夜行の1人だろ」
その名前と術を聞いた途端、酒呑童子は凄まじいほどの殺気を放つ
「1つ答えろ、どちらだ煙羅煙羅はお前らに与したのかそれとも脅して力を奪ったかどちらだ」
「お前ら外道達と一緒にするな、煙羅煙羅は俺の大事な仲間だ」
その言葉を聞き酒呑童子の殺気が少し緩み、顔が少し綻ぶ
「そうか、この800年でちゃんとした宿り木を見つけたよだな、なら良い、行くぞ茨木、興ざめだ」
「よろしいのですか、酒呑童子様ここにいる人間共を殺さなくて」
「今はまだ力が戻ってはいない、今宵は我の復活と懐かしき顔触れを見ることができた、それともこの体も主らに返そう」
そう言い酒呑童子は自身の体に手を触れ、何かしらの術を唱える、すると酒呑童子と一体化していたはずの体が分離し倒れる
「確かに返したぞ、仮初の器は」
酒呑童子と茨木童子が去ると先程まで張り詰めていた空気感がスっと軽くり静寂に包み込まれる、先程まで悍ましい程の気配に包まれていたのが嘘であるかの用に感じる、虎丸は酒呑童子達が去ったのを確信し、急いで駆け寄ってくる
「叶芽、大丈夫か、しっかりしろ」
次に俺が目覚め時俺は何故かくらい牢の中に縛られていた
「目が覚めたか、諸悪の根源」




