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第八話

・お酒は二十歳になってから。

・お酒は節度を持って楽しみましょう。

・最近飲んだお酒:白州ウイスキー

 モルは徒弟を呼び出し、何本かのボトルを持って来させた。

「勇者さんは飲み比べをご所望だって言うんだから、飲み比べをしてもらって当てたら協力してやってもいいぜ。ただし、不正解だったら協力はしない」

「よし、乗ったわ」

「おいおい明海、そんな簡単に引き受けないでくれ。それに味の違いがわかるのか」

「シュミットと同じことを言わないでくれるかしら。いつもたくさん飲んでいるわけじゃなくてお酒の味を楽しみながら飲んでいる時だってあるわ」

 ノーマンは疑わし気な顔をしていて、リーシュはと言うと苦笑いを浮かべているあたり、二人とも信じていないのだろう。

「おう、勇者さん、ルールは簡単だ。ここにアーリーエイジ、十年熟成、十二年熟成のウイスキーを入れたグラスを用意している」

「熟成していないものはともかくとして、十年熟成と十二年熟成だなんて違いがわかりづらいじゃないか」

 ノーマンの指摘に「嫌なら勝負から降りてもいいんだぜ。なんならノーマンがやるか」とモルは聞き流していた。

「準備はいいか」

「その前に」

「おう、なんだ」

「私がこれに勝ったら、お店とかに卸しているものだけではなくて王室献上のボトルもいくつかもらうわ」

 何を言い出すのかとモルは目を見張っていたが、腹を抱えて笑っていた。

「はっはっは、それぐらいいいぜ」

「やった。じゃあ早速」

 明海は一つ目のグラスを手に取り、一口だけ飲んだ。

「うん、おいしい」

 そして二つ目のグラスも一口飲み

「うん、おいしい」

 さらに三つ目のグラスも

「うん、おいしい」

 その様子を見ていたノーマンは頭を抱えるしかなかった。

「おいおい、明海は本当に味がわかるのか」

「何よ失礼ね。ってこのやりとり前にもやった覚えがあるわ」

 ノーマンの心配をよそに、明海は自信満々の様子であった。

「じゃあ答えは」

「一つ目が十年で、二つ目がアーリーエイジ、三つ目が十二年ね」

 自信に満ちた顔でモルを見ると、モルは肩をすくめ「正解だ」と、正解されて悔しいのと味の違いが分かる人が出てきたことの喜びが混ざった形容しがたい表情をしていた。ノーマンはホッとしたのかへなへなと腰から崩れていた。

「しかし、アーリーエイジはともかく、よく違いがわかったな」

「十二年を売りに出したいっていうモルさんの狙いが見えたからかしら」

 明海いわく、十年ぐらいの熟成でも充分アルコールのとげとげしさが取れたような熟成感は出ているが、そこにさらに寝かせるのを二年延長すると樽の香りがいい具合に深みを出してくれる。という解説にモルは何も付け加えることはないとお手上げだった。

「さすが勇者って言われるだけはあるな。しかし、葡萄園のお嬢ちゃんもできたんじゃないか」

 モルからいきなり話を振られるとは思っていなかったのか、リーシュは驚いた表情で

「確かに、父から葡萄酒づくりの中で熟成のことについて学んだり飲み比べをしますが、蒸留酒はあまり飲んだことがなくて」

「そうかい。隣に良い先生がいるんだから、教わったらどうだ」

 モルは何も考えることなく言っただけだが、リーシュはその方法があったかという思いから目を輝かせて「今度一緒に飲みに行かせてくださいね」と明海に有無を言わせぬ勢いで迫っていた。

「まあともかくだ、勇者の、明海といったか。そちらが勝ったのだから潔く協力しよう。こっちについてきな」

仕事や家庭の都合等ありまして、投稿が一年も空きました。。元気にお酒飲んでいます

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