第六話
・お酒は二十歳になってから。
・お酒は節度を持って楽しみましょう。
・最近飲んだお酒:アードベッグ コリーヴレッカン (アイラウイスキー)
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翌朝、明海が目を覚まし部屋の窓を開けると、潮風の匂いとともに早朝から近場で漁をしてきた漁師たちが帰ってきたのだろう、かすかに市場からの喧騒が聞こえてくる。
朝食は、この後船に乗って移動をすることを考えて少な目かつノンアルコールで済ませたのだが、ノーマンが驚いた目で明海を見ていたのはさすがに失礼ではないかと明海だけでなくリーシュからもたしなめられていた。
ギョショー市からバーレル島間の連絡船は数日に一日、一日二便の頻度で運航している。それなりに大きい船で、ギョショーから島行きの瓶では生活用品などの運搬を、バーレル島からギョショー行きの瓶ではバーレル島で作られるウイスキーの運搬もあることから旅客と貨物それぞれ載せられるよう大きい船として運航をしているようで、馬車も数台であれば乗り込めるようだった。
連絡船乗り場に着いた明海達だったが、荷物の積み込みの関係で出港まで小一時間待つこととなったため、荷物を預けて魚市場に行くことになった。
明海を含めて三人ともギョショー市の魚市場の中に入るのは初めてだったため、観光客のようにキョロキョロと市場の中を見回していた。
市場に揚げられた魚を見たところ、明海のいた世界と同じような見た目をした魚もいれば、体の色合いや形も違う魚もいたので、捌いたらどんな味がするのか気になっていた。
「あーまた、こいつが網にかかってやがった」
漁師の困ったような声が聞こえたので、明海は気になって網にかかった魚を見ると、それはアンコウのような見た目をした魚だった。
「どうしたんですか」
明海が気になって声を掛けると、漁師は苦笑いをしながらその魚を海にリリースした。
「いや、この魚はアゴデカって名前でな、身は確かにうまいんだが身がぬるぬるして捌くのにも苦労しちまうし骨も案外あるもんで、好んで食べるやつがあんまりいないから捕まえてもリリースするんだよ」
アゴデカという名前というのも横から見た時に顎が大きいからその名前をつけられたということを一緒にいたリーシュが教えてくれた。
「なんだかもったいないですね。もしよければ明後日の昼前にまた来るんで、そのアゴデカが獲れていたらリリースしないで取っておいてもらってもいいですか」
明海がそう言うと漁師は不思議そうな顔をしながら了承をしてくれた。
「明海さん、あの魚の顔、ちょっと恐かったです」
「見た目はあんなだけど、“アンコウ”であればとてもおいしいわ」
リーシュが心配そうな顔をしていたが、明後日のバーレル島から戻ってきた時の楽しみが増え、明海はどのお酒で食べようか想像を膨らませていた。
魚市場を見て回りながら出港まで時間をつぶしたのち、明海達は船に乗り込み、バーレル島へ向かっていった。
◇
そして、バーレル島へ向かう船内。
明海とリーシュはデッキに出て、海や離れていくギョショー市などの景色を眺めていた。船について行くかのように海鳥たちが船の横を飛んでいる様子を見ると、ちょっとした小旅行をしている気分になった。
「こういう場面だと、白いワンピースとつばの広い帽子をリーシュが着ている画がとても合いそうね」
「いえ、明海さんこそ瓶で直接お酒を豪快に飲んでいる姿がとても合いそうです」
その例えだと素直には喜べそうになさそうだなと思ったが、明海は愛想笑いを浮かべることにした。
ギョショー港からバーレル島まではおよそ一時間の行程だった。島の姿が大きくなるにつれて、潮風だけではなく独特な匂いが漂ってきた。
「これがピート臭なのね。早くウイスキーを飲みたいわ。……そういえば、ノーマンはどうしてるかしら」
明海とリーシュがノーマンを探しに船内に戻ると、ノーマンは青白い顔をして俯いて座っていた。
「もしかして、船酔いなの」
明海の問いに力なく無言で頷いていた。
明海もリーシュもこれはどうしようもできないなと思いノーマンは放っておくことにして、再びデッキで時間を潰すことにした。
そうして、しばらくしてバーレル島に到着した。女性二人の表情を対照的にノーマンは青白い顔のままぐったりとしていた。二人が様子を見た後にもトイレに駆け込んでいたらしい。
「道案内はノーマンの役割なんだから、しっかりしてよね」
「申し訳ない」
下船後、ノーマンが回復するまで小休止を入れ、モル家へと向かった。
バーレル島に着いてからもピート臭が漂っていたが、モル家に近づくにつれてその匂いがどんどんきつくなってきた。
「そういえば明海さん、ピートって言っていますけど、ピートってなんですか」
「いい質問ね」
リーシュの質問に、明海は顔をほころばせた。ノーマンは歩くので精いっぱいらしく、何も反応することなく足を前に進めることに専念をしていた。
「ピートっていうのは泥炭つまり、ずっと昔から積み重なってできた腐植土のことをさして、ウイスキーの原料である芽が出た麦を乾燥させる時にその泥炭を焚いて香りをつけているのよ。この前行ったイブシー市の名産である燻製と似たようなものね」
明海の解説にリーシュは感心していた。
期間開いてしまいました




