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二人の魔法師と五つの魔導書  作者: 手鞠 凌成
一章 戦闘訓練
13/23

戦闘訓練 最終決戦3

よろしくお願いいたします!!

 ――静かな、静かな森を駆け抜けていく。

 レスティアたちはひたすらに前へ、前へと進行していく。前と右からの敵発見の合図がしたら、皆の耳元に仕込んである通信用魔石を通し伝達し、斜め右方向に変更する。

 こうして、敵の戦いを何とか回避してきたレスティアたちは、ついに頂上へと辿り着いた。


 薄暗い森の中を抜けると、一気に視界が開けた。

周辺を覆っていた木々や草原は消え、山肌が露出し、土が見えていた。専用フィールドといったような感じだ。

 燦々と降り注ぐ日差しが眩しい。目を細めるのと同時に、とんでもない光景が目に映った。


 その中心には――巨大な【土の巨兵(ゴーレム】)】が暴れ回っていたのだ。たが、これまで見てきた形がまるで違った。


 岩石をも粉砕する強固な腕が六本、あったのだ。

 そのうちの四本は背中から生え、剛腕を辺りに振るっている。


 ざっと計算して十メルトくらいはあるだろう。とにかく大きい。そして、押しつぶされるような威圧が、圧力が襲いかかりたちまちレスティアたちの精神を圧迫していく。戦慄が全身に迸った。


 レスティアの身体は、まるで誰かに縛られたように動かなくなっていた。恐怖が縛り付けていたのだ。


 しかし、そんな恐怖に刈られている暇はない。


 なにせ勝たなければいけないのだから。


 レスティアはぐっと拳を握り締めると、自分の唇をかみ、意識を切り替えた。


 さっと目を動かし、見渡す。まだ生存している生徒はいるようだ。


 周囲からは魔法やら魔術やらが絶え間なく、津波のようにその巨大な【土の巨兵(ゴーレム)】――【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】に押し寄せていた。


 だが、接近戦に持ち込んだ生徒は、あの強力な攻撃にあっけなく敗れ、リスポーンしていた。


 あれには注意をしなければならない。だが、遠距離攻撃を受けてもあまりダメージが入ってない事に気がついたのだ。

 ふーと短くレスティアは息を吐いた。ここが勝負場所だ。

 後ろにいるテスラ、ケレス、シュライを確認する。

 三人の顔からは血の気が引いており、青白く変色していた。悄然としている。ずっと目は【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】を捉えているが、その瞳は震えている。

 身体もぶるぶると震わせており、まるで凍ったように動かない。完全に恐怖に支配されていたのだ。


(このままじゃ不味い……)


 そう感じたレスティアは、振り返るとパンッ!!

 と力強く手を叩いた。瞬間ビクッと三人は反応しレスティアの顔を見る。四人の視線が絡み合った。


「落ち着こう!!」


 と呼びかける。でも、


「無理だよ、レスティアちゃん……わたし、こんなのと戦ったことない……」

「あたしもだ……男とはやり合ったことはある。

 だが、これは……」

「私は、私は………すみません、レスティアさん」


 声がとても弱弱しい。怯えきっており、足も竦んでいた。ネガティブ思考へと陥り始めようとしていたのだ。

 それと同時に諦念が彼女たちを蝕もうともしていた。

 この状態はやばい、とレスティアの頭で警鐘が鳴り響く。


 人は、何かを諦めた瞬間、そこで終わる。

 残るは虚無だけだ。


 かといって、ここで励ましたり奮い立たせようもするのも逆効果となってしまうのは明らかだ。追い詰められたら冷静さを失う。冷静さを失ったら隙が生まれ――死亡だ。


 ぎっと歯噛みし眉を顰める。この状態をどうしたらよいのか……と思案していると突然、


「オオオオオォォォォォォォォォォォ――――っ!!」


 と【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】が叫んぶ。それはまるで、怒りに燃えているようだった。

 重低音のどよめきは空気を揺らし、鼓膜に鳴り響く。


 咄嗟に全員は耳を塞ぐが、それでも威力を殺しきれてはいなかった。


 ――数秒後。それは収まり、静寂がたちまち訪れた。


 ササササ……と葉が擦れ合う音が静まり返った空間を埋めるように、ざわめく。


 ……沈黙。


 …………沈黙。


 ………………沈黙。


 何だったんだと、レスティアが顔を上げたその刹那。


 ぶんっと風圧が襲ったと思うと、直後に強風が周辺に吹き荒れたのだ。


 唐突のことに対処しきれず、レスティアたちは為す術もなく吹き飛ばされた。


「きゃぁぁーーっ!!」


 テスラが悲鳴をあげる。


 全ては一瞬の出来事だった。誰も予想ができない。

 レスティアもその一人であった。


 木々も軋み、悲鳴を撒き散らす。


 最悪だ、最悪の展開だ。


 レスティアは距離が遠ざかっていくのを感じながら、突如に木に当たった背中の衝撃に耐え切れず、そのままずるりと地面に落ちると、電気が消えるようにぱっと意識を手放した。



ついに最終決戦も3に決めましたねー

もうそろそろ終盤に差し掛かるところですね。

まぁ、長いのですが笑笑


読んで頂きありがとうございました!

投稿は不定期ですが、少しでも目にして頂ければ幸いです。

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