そして現在、思い出した約束。
オルフィリアを失ったロワールは永い時を独りで生きていた。
最初の数十年、俺は毎年同じ日に花を供えた。
墓石の前で語りかければ、返事が返ってくるような気がしていたからだ。
だが人は去る。
城に仕えた者たちも、その子供たちも…。
やがてオルフィリアを知る者は誰もいなくなった────。
その間に眷属を沢山作っては滅びていった。
眷属も長くはもたなかったのだ。
「はっ、結局は俺独りになるってことか。」
ロワールはずっと孤独だった。
眷属を長く生かす方法も千年近く生きていると覚えた。
その頃にはすっかりオルフィリアとの日々は薄れていた。
彼にとって彼女との約束は幻のようなことだからだ。それでも月を見るたびに胸が痛む理由だけは忘れられなかった。
「もう、永遠に人間になんて戻れるわけがない…。」
それがロワールをどんどん残忍な吸血鬼へと遂げさせた。
ロワールの髪を何かが揺らした────
ふっと目を覚ました。
〝あぁ…、なんだ、夢か…。〟
ロワールは窓の外を眺めた。
〝随分、永い間、忘れていたな。だが、約束は守ったぞ、オルフィリア。どこにいるんだ…。〟
ロワールはもう知っている。
あの日、オルフィリアが言った言葉の意味を。
〝────きっと彼女は転生して俺の前に現れるはずだ。〟
ロワールはフッと笑った。
〝いつの間にか、俺の周りには騒がしい連中が増えていた。妹の面影を持つ少女。その少女を守ろうとする男。そして仲間たち。
───不思議なものだな。あれほど独りを望んでいたはずなのに…。〟
輝夜が遠い座席からロワールを見ていた。ミリアナの記憶が少しあるだけで輝夜自身は実感がないものの、気にはなるようだ。
〝心配してたけど、案外、この世界に馴染めそうでよかったわね、ロワール。〟
そんな輝夜を見守る満流と悠一。
しばらくの間の何気ない日常を過ごす面々だった────
──── 完 ────
最後までご覧下さりありがとうございました。ロワールの過去は壮絶なものでしたが、輝夜たちによって救われて、彼はようやく前を向いて進めるようです。
またいつか、本編でお会いしましょう。それまで暫くの間、お待ちくださいね。




