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鬼神様へ身代わり婚 エピソード2

着物を洗い終えるとひなははなの元へと訪ねた。

異能の力で乾かしてもらうためだ。はな付きの使用人によると今は自室にいるようだった。

「でも今伺うのは…」

歯切れの悪い返事だったが早く洗い終えたことを伝えたほうがいいだろうと思い

ひなははなの部屋に向かった。

「いやよ!!!そんなの!!」

部屋の前に着くとはなの叫び声が聞こえた。何事かと思いひなはその場で立ちすくんだ。

「はな、これはわたしにもどうしようもできないんだ。わかってくれ」

「あぁっなんではなが…あの方に選ばれてしまったの…!!」

続けて父様と母様の声が聞こえた。一体何があったのかひなは耳をそば立てて聞いていた。

「どうしてわたしがあの鬼神と言われる鬼崎家に嫁ぐことになるの!?」

鬼崎家に嫁ぐ…?鬼崎家ってあの有名な…?

鬼崎家とはあやかしの祓屋として有名な一族のことである。

国でいちにを争うほどの力を持ち、祓うだけではなくあやかしを従えることも

できるという。しかも当主は複数のあやかしを従えているというではないか。

当主の名は鬼崎秋。数年前に当主の座に就いた。

あやかしを従えるということは力があるということであり、複数従えているのは

鬼崎家当主だけで今存在する祓屋の中で一番力を持っていると言われている。

だが噂はそれだけではない。

力を使いあやかしを従える姿は鬼神と恐れられ、人を寄せ付けないという。

必要がなくなればすぐに切り捨てる。あやかしも人間もである。

そのため今までも祓う力のある令嬢たちに縁談が持ち込まれたが、皆当主の姿を見ることはなく、

破談になっていた。そして口を揃えていうのは

「あそこはあやかしの巣窟…あそこにいては食べられてしまう」と。

使用人扱いのひなの耳にも届くほど有名な話である。そのような相手からはなに縁談が舞い込むなんて…

ひなは動揺し動くことができなかった。自分を使用人として扱うはなだが妹であることは変わりない。

幼い頃は2人で過ごすこともあった。家事をするひなの後ろを付いてまわっていたはな。

姉としてなんとかしてやりたいがひなにはどうすることもできない。

「はな…」

ひなは胸が苦しくなった。どうしてやることをできない姉を許して…

そう思った時、はなの明るい声が聞こえた。

「そうだわ!ひなお姉様を身代わりにしましょう!」

ひなは耳を疑った。

はなは一体何を言っているの…?わたしが身代わり?

「しかしはな、ひなは異能を持っていない。異能がなければすぐにはなではないことが知られてしまうぞ…?」

父様の言う通りだ…わたしが行ったところですぐに当主に知られてしまうではないか。

「大丈夫よ父様。当主に知れてとして何かあるのは身代わりとして嫁いだひなお姉様のみ。わたしは妻の座を無理やり奪われたことにすればいいわ。」

はなはニヤリと笑って言った。

「そして当主に対し非礼を詫びて、このような非礼があった一族から鬼崎家の妻におさまるわけにはいけませんといい、縁談をなかったことにするの」

ひなははなが何を言っているかわからなかった。

わたしがはなのかわりに鬼崎家に嫁ぐ?責任をすべてわたしに背負わせて…?

「はな!それはいい考えよ!ひなも家から追い出せるし一石二鳥ね!」

母様の弾む声が聞こえた。

あぁ、やはりわたしはいらない子だったのか…

ひなは目の前が暗くなっていくのを感じた。少しでも家族から愛されているのでは、だからこの年になっても家においてくれてるのではと…だがそれは杞憂に過ぎなかった。

この日ひなは鬼崎家に嫁ぐことが決まった。そして家族からも見放されたのだった。

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