鬼神様へ身代わり婚 エピソード1
家族から使用人として育てられたひなの運命を変えるお話
今から16年前、とある村に2人の赤子か生まれた。
先に生まれた娘は産声をあげるが誰も目を向けることはなかった。
なぜならあと生まれた娘が母親の腹から出てきたと思えば光り輝いたのだった。
「神の子だ!」
「神の力を持った子が我が村に!!」
大人たちはそう騒ぎ、光り輝く娘を崇めた。そう、先に生まれた娘などいなかったように、、、
とある屋敷の裏、1人慌ただしく動く少女の姿がある。
背は低く、体も貧相で痩せ細り、黒い髪は艶もなく乱雑に一括りにされている。
「洗濯は終わった…次は門戸の掃き掃除ね」
ひなは洗濯桶を片付け次の掃除を始めようとした。その時
「ひなお姉様〜」
甘い猫撫で声がひなの耳に届き体が固まってしまった。その声の主は双子の妹のはなである。
「はな…どうしたの?」
体を強張らせながらひなは答えた。
「この着物も洗ってくださる?今日の夜のパーティーに着て行きたいの」
「夜のパーティー?これから洗うと夜までに乾くかわからないよ…?」
ひなは困り顔で答えた。今日は洗うものが多くいつもより洗濯に時間がかかっている。
なので時刻は11時近くだろう。着付けの時間や会場まで行く時間を考えると間に合うかは
正直微妙なところだ。
ところがはなは鼻で笑って言った。
「何を言ってるのお姉様。こんなの異能の力ですぐに乾かせるでしょ?」
ひなは言葉に詰まってしまった。
「あぁごめんなさいお姉様、お姉様には無理よね。だって…」
ひなは次に言われる言葉がわかっていた。
「異能がないですものね」
幼い日から言われ続けている言葉。この言葉はひなの心をいつも暗く冷たいものにした。
そう言い残すとはなはひなに着物を押し付け去って行った。
「異能…か…」
ひなは1人呟いた。もちろん誰からも返事がないのはわかっている。
ひなとはなは双子の姉妹だ。だが生まれた時から歴然とした差があった。
妹のはなには異能の力があり、妖を祓うことができたのだ。
一方姉のひなは妖を祓うことができない普通の子。
両親の愛情は力のあるはなにのみ注がれた。ひなの力のおかげで家は
大きくなり、妖を祓ってほしいと依頼がくるようになった。
はなの力が強くなるにつれてひなの扱いはどんどんひどくなり、いつの間にか
使用人扱いとなった。家の家事、雑務はすべてひなの仕事である。
「着物きれいにしなくちゃ」
ひなは自分が着ることは一生ないであろう上等な着物の洗濯を始めた。




