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Epilogue
これが、しばらく前に私たちに起こったことの全てです。
時は本質として流れ去るもので、そして私たちは基本的にその全てを語る手段を持ちません。――私が思う終わりと、そして彼女が思う終わりには、きっと齟齬があるのです。始まりに齟齬があるのと同様に。
彼女が私に出会った時、私はまだ彼女に出会えていませんでした。つまりは、そういうことなのです。世の中の全ては、きっとそんな風にできているのだということの、それは象徴なのです。
けれど、私は彼女の始まりと終わりに同意しようと思うのです。
『私たちに起こった全てである』というのは、私のその意志の表れです。
私は、認めなければなりません。――彼女を傷付けたことも、好かれたことも、好きだったことも。全てを。
だから、エピローグはこれくらいに留めておくことにします。そうすればきっと、その時の彼女の気持ちに寄り添うことができるような気がするのです。
それに、ラブレターの返信は、ふつうきっと短いものだから。
これでいいのです、きっと。