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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第五話 僕はお家に帰りたい。
38/63

scene5 兄さんと先輩。

 





 くうっ! 劣勢かなっ!?


 引き続き戦闘中の僕です。……ちょっとピンチです。理由は、


「は、捕まった分と解放された分の礼はするぜっ!」


 捕らえてた盗賊達を解放されたからっ! わっと!


「左後方から剣士二名! 増援に……ジューダさんお願い!」


 僕は冷凍馬車の上で、弓矢で牽制しつつ哨戒と指示出し中です!


「チッ! 『雷光の剣(サンダーブレード)』!」


「『岩の壁(ロックウォール)』」


 兄さんは苦戦中、それでも三対一で魔法師を抑えているのはさすがかな、そして、


「クソがっ! 一人頭三人かよっ! 腹一杯だっつーの!」


 こちらもジリ貧気味……キャラバンに二人貸し出したからなー、商会長さん達も商人とは思えないほどお強いけどさ……あ、


「右前方に弓使い三人! 警戒! あと誰でも良いから三分僕を守って!」


 距離……風向き……はい、一人……あ、逃げる? じゃあ進行方向も計算して……はい二人……あー、もう一人は木の影か、


「護衛ありがとう! フィアさんは左前方の戦線に! ロシュさんは左後方に! 大丈夫! あっちの方が怪我人多いし回復出来ないからっ!」


 こっちには自警団員で白の神官であるソープさんがいるからね! って!?


「……っ! 回復潰しは禁じ手でしょうがっ!」


 後方でデンと構える壮年魔法師が風魔法をっ! とっさに僕が庇えたから良いもののっ! って、


 …………あ、ふふ、来た!


「あなた達負けるんだからっさぁ、死なない為にねえ!」


 矢を連続で放つ……ふ、慌ててるねえ、って!?


「……な、人壁作って大魔法っ!? ……もう、なり振り構わないにも程があるっ!」


 詠唱の邪魔をしようと矢を放つけど人壁の元冒険者がっ!


「く、みんな集まって! 兄さん!」


 全員を馬車近くに呼び戻す! ……はー、


「……辛くも間に合った」


 こちらは急いで戻り結界を張った兄さんのおかげで全員無事だけど、


「つーか、共闘仲間もろとも……ほんと魔法師ってヒトデナシ」


 盗賊と冒険者の一部は氷で串刺しに……仲間を攻撃された他の連中は怒ってるけど、


「は、そこいらに落ちてる弱者ごときに何故わしが気遣わんといかん……それより若造? 魔力はどうだ?」


 魔法師は当然意にもかいさ……っ!? 兄さんの顔色がっ! 無詠唱で大規模結界を張ったからかっ!


「ふ、あの程度……もう、何発でも……それよりそちらは? 随分と魔力が弱まっていますが?」


「ほ、平気じゃ……おい」


 げ、青年魔法師の血をっ!?


「チッ、弟子の魔力を奪う……不愉快極まる」


「ひひ、魔法師にしてやったんじゃ当然の奉仕……若造こそ、その子供のを奪えば良かろう……さすれば勝機はあるぞ?」


「ふざけたことをっ!」


「……ああ」


 壮年魔法師の喉に黒い茨が巻き付いた。動揺する少年魔法師にも同様に……青年魔法師は師によって既に気絶中……つまり魔法師がいなくなった敵陣……そして、


「……その子供に対する権利は俺の方が先だ」


 魔力充分、体力たっぷりの魔法剣士が自陣に到着……って!?


「僕の魔力は僕のものですからね! 先輩!」


 何不穏なこと言ってるんですか!



   *   *   *



 蹂躙って感じで戦闘は終わった。もちろんこっちの完勝。盗賊と冒険者達は応急処置だけして拘束し馬車に詰め、魔法師達は先輩が無理矢理、空の魔石に魔力を詰めさせている。……あ、壮年気絶、少年もフラフラー……あ、気絶、


「……これで半日は動けまい」


 ですか……それよりもっ!


「何ですかさっきの台詞! 僕先輩に魔力譲渡する気ないですよっ! ……よっぽどのピンチじゃなければ」


 ……説明? ……魔力譲渡は体液を飲ませることで行われる。以上!


「ん、ああ……それより怪我は?」


「ある訳無いでしょ! ……魔防マントだけでも充分なのに先輩が防御『魔法陣スクリプト』満載の魔具をつけたんだから」


 取り外し不可な物を勝手に左の二の腕にね! 大抵の魔法と物理攻撃は防げるっていう凄い品をね! ちなみに素材はエバープラチナとゴーレムゴールドと……例の黒くておっきい魔石です。……うう、うっかり知られたら腕切られそうだよ……よっぽどじゃない限り切れないけど、


 って感じでポンポンと言い合っていたら、


「……シャーロック君? 『黒竜』と……」


 マルティさんに若干引き攣った笑顔で質問されました。


「あ、はい、この人が、昨日話した僕の相棒の、ジョン=H=スターリングです」


「……ああジョン=H=スターリングだ」


「いやギュスノだろうが貴様の名はっ!」


 うわっ!? 兄さんが壮年魔法師に対するのと変わらないほどの怒気をっ!? そ、そして戦闘スタート!?


「へ、あ、あの! 何で!?」


 剣と魔法の応酬に!?


「あー、あいつらなー、元兄弟弟子だったとかでなー、こっちに来た時は寄り添い助け合ってたんだけどなー……でもしばらくしたら……なんか相性の悪いみたいで……あ、でも大丈夫だぞー、二人が喧嘩してたらロムス殿か魔法師長が…………あ」


「お二人共十三市にいますよね?」


 …………………………、


「あ、とりあえず僕お昼作りますね?」


「ああ、助かるよシャーロック君」



   *   *  *



 みんなで仲良くカジキカレーとチャパティを食べてたら先輩と兄さんの魔法剣士コンビが戦闘を止めいつの間にか加わってました。


「……ギュスノ、貴様がパーティーなどと……シャーロック、搾取されてはいませんか?」


 ペタペタ鉄板でチャパティの補充を焼いていると兄さんから心配されました。


「ふえ? あ、はい、僕と先輩は持ちつ持たれつの共生関係なんで」


 イソギンチャクとカクレクマノミ、みたいな?


「……お代わり」


「はい、はい」


 先輩は甘い物好きなのにカレーも好きだよなー。


「…………シャーロック君、猛獣使い?」


 フィアさんが元々大きな目をさらに大きくしています。


「あ、最近良く言われます……はい先輩、チャパティ、熱いですよー」


 猛獣よりもある意味ではヤバいけどねー……言葉が通じるのでその分マシか。


「そういや奴らの……ええと権力者達をたぶらかした? ってのは?」


 ん、ああ、それはですねー。


「僕の職場の常連さん達なんですよー、リドリーさんの他の賢人さん達」


 そう、リドリーさんも賢人なんだよー! エヘッ全賢人コンプリートかな?


「……職場って」


「白雨亭です」


 ギルドから徒歩四分、立地最高の宿屋です!


「…………なるほど」


「……だからこいつに手を出すと……オッサンが出て来る」


「………………なるほど」


「あ、食後の紅茶を入れますねー」


 ついでに秘蔵の焼き菓子もつけちゃおう! ……だからさ?


「飲み終わったら早くお家に帰りましょうねー!」


 色々トラブルあったけど。


「お風呂とベッドと家族が待ってます!」






 って感じで僕の十三迷宮市を離れての冒険は終わった訳です。


 この後、十三市についた僕達が皆さんに出迎えられたり、ラフィちゃんがリドリーさんじゃなく僕に抱き着いて夫婦の危機がおこったり、兄さんのパーティーメンバーが冒険者辞めてて、兄さんが白雨亭に来たりするんだけど……、


 はい、何時もの時間切れ、


 ……ふふ、わかってます。できる限り早く来ますよ。


 ……ええ、はい、じゃあ、


 ……ふふ、またね。










 第五話 僕はお家に帰りたい。終

  

『魔力譲渡』


魔力が体液に多く含まれることから体液を使うことが多い。

魔力的相性の悪い相手だと受け取る側にも負担があることから、

魔法師の師弟関係ぐらいしか行わ無い。


ギュスノはシャーロックを美味しそうだと思っているのであんな発言をしたと思われる。

 

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