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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第四話 冒険者シャーロック=ロイカの休日。
31/63

休日七日目

 





「んー、壮観だなぁ……」


 やあ、こんにちは。天井まであるぎっしり詰まった本棚に圧倒されているシャーロック君だよ! ここはね、


「閲覧許可ありがとうございます博士!」


 神秘と謎を纏った紳士。博士のアトリエなんだー!


 で、何故ここにお邪魔してるかって言うと、僕のマント用の『魔方陣』を検分してくれた先輩が、


「……これ、隙間に『増幅』の『魔方陣』を差し込んだ方が効果が上がる気がする」


 とのアドバイスをくれたから。なんで一番他の『魔方陣』と相性が良い魔石と増幅の式を調べに、十三市のトップ魔法師の博士のアトリエに来た訳です。


 ちなみに場所は一層にあります。危険な研究もするからだとか、だからか立ち入りは基本禁止、博士が選んだ人間だけに門戸が開かれるんだって、僕ははじめましての翌日にはお邪魔してたけどね!


「………………」


「あ、博士ありがとう!」


 ぎりぎり踏み台を使わなくてもいけるか? な、本に挑んでいたところ博士が取ってくれました。……あ、そうそう、博士には僕の擬似魔法について話すってことにしたんだ。先輩は魔具に関してはエキスパートだけど『魔方陣』や魔法理論についてはそんなにだそうだから、僕も先輩も口の固さには太鼓判で、絶対悪いようにはされないよね! って博士に相談することになったんだー。

 

 で、博士に僕が書いた『魔方陣』が効果を発揮したとこを見てもらって、マント用の布地の『魔方陣』も見てもらい、資料を開き、あれこれ検討して、


「んー、やっぱり白が無難かなー?」


 一番我の強くない色で書くのが案パイかなー? って結論に僕は到った訳です。けれど本職さん達は攻めの姿勢で、


「いや、ここはまだ使っていない、黄色で行った方が乗法的に効果が上がるだろ」


「……………………」


 やっちゃおうぜ! と、ノリノリです。……けどねー、


「……あの、着るの僕なんで……安全第一でお願いしたいんですが」


 効果上がりすぎてヤバい気がするんだよね!


「ん、そうか? じゃあ試してみるか」


「……………………」


 ってことでパッパと博士が同じ『魔方陣』を適当な布に書いて、実験してみたんだ。


 で、


「……殺す気ですか、お二人とも」


 僕の代わりに豚肉にかけたところ……、


「キンキンカチコチに凍ったりしてるじゃないですか」


 ……うん、『耐熱』と『不燃』を増幅しすぎたね!


「……はあ、白で試してみましょう」


 こちらは無難に増幅されました。



   *   *   *



 白雨亭に帰って来た僕は、お昼を簡単に済ましてからずっと、集中しながら針を動かしている。


「…………………………」


 隣のテーブルには金の板──ゴールデンゴーレムから採取した素材──を繊細に伸ばし細やかな模様をつけている先輩。


 ……うん、白雨亭の食堂で作業中なんだ。……理由は、


「……魔力、切れてるぞ」


 先輩から魔力操作の指導を受ける為です。


 ……うん、なんでこんなことになったかと言えば……『魔方陣』一般人じゃ作動させられないそうです。……なんか書き込む時に魔力を込める必要があるとか、で、一般人は魔力を放出出来ないらしいです。けれど、僕はどうやら魔力量が多いせいか集中すると無意識に魔力を出してるらしく擬似魔法なんてものが使えるみたい。


 ってことで縫い上げる時に魔力込めた方がさらに効果上がる。って教わったんで魔力操作のプロである魔法師の先輩に指導されながらチクチク縫ってる訳さ。作業部屋じゃないのは先輩の作業スペースの為です。



   *   *   *



「……魔力、足りてるか?」


「平気でーす……多分」


 僕も先輩も作業を終えました。今は赤に染まり出した空を眺めながらお庭でお茶中です。お茶請けは手作りジャム添えスコーンさ!


「……手ぇ、ちゃんと動くか? 冷たくなってないか?」


「んー、はい、この通り」


 先輩が聞いたことは『強制停止シャットダウン』のちょい前の症状だそう。


「……そこそこの魔法師でもあれだけ魔力使ったら倒れるのに」


 でも平気だなー……うん、僕はほんとに魔力が多いようです。


 そんな風に話しながらのんびり脳に糖分を送り込んでいると、


「あら、美味しそうねー」


 宣言通りずっとお出でにならなかったGG姉さんが通り掛かりました!


「わー、GG姉さんお久でーす!」


 うわっ、ちょっとお疲れなお顔で……って!?


「セクシーなプルプルリップが荒れて!?」


「え? ……まあー、少し忙しかったから……寝不足ですし」


 な、なんてもったいない!


「……とりあえず座って下さい! ええとお茶入れてきますからっ!」


 GG姉さんの美貌に陰りなんて十三市全体の損失だよ!



   *   *   *



「んー、しばらく口紅は控えた方が良いかも」


 疲労回復とリラックス効果のあるお茶をお出しして近くで確認させてもらった唇はぱっと見以上にダメージが、


「あら、それは無理よ。私にとって化粧は武装ですもの」


 ……ですよねー……うーん、あ!


「じゃあ明日! ええといらっしゃいますか?」


「ええ、シャロ君のお誘いなら」


 うん! じゃあ!


「先輩! 明日迷宮行けますか!」


「……おう」


 よしっ!


「じゃあ明日は『221B』の初冒険だ!」






 って訳で僕の冒険者としての休日は終わりました。


 ……え? 何しに迷宮にって?


 ふふふ、下七にレッドハニーと朱の蜜を採取に、ね。


 二つを合わせた口紅はとっても鮮やかで上品な紅で、とっても保湿効果が高いんだ。


 ふふ、もちろんプレゼントにGG姉さんは全身で喜んでくれて、僕のほっぺには真っ赤なキスマークが付いたんだけど……、


 はい、時間切れです。


 ……うん、ごめんね。ちょっと僕も多忙で……なるたけ早くまた来るから。


 ……ありがとう。気をつけるよ。


 じゃあ、上手にあなたに語れるように自主練して来るね?


 ……はい、はい、ちゃんと休みます!


 ははは、じゃあまたね……優しい人。

 









 第四話 冒険者シャーロック=ロイカの休日。終

『強制停止』


体内魔力量の低下により肉体を守る為冬眠状態になること。

魔力を意図して使う魔法師と神官がたまになる。

回復方法は睡眠、魔力譲渡、魔素を多く含んだ食材の摂取など。

それ自体では死なないが極めて無防備になる為……、


……シャーロックに拾われたギュスノは非常に幸運である。

 

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