休日四日目
「……よしっ、裏地の『魔方陣』も書き込み終えた!」
こんにちはシャーロックです。前日に引き続きマント制作をしています。
「……表面の『守護』も書き込み終えた」
先輩と一緒にね。
で、なんで先輩が『魔方陣』を書いてくれたかといえば、
「……これ、俺が作ったってことにしといた方が良いだろう」
と、僕の安全の為、見える部分は先輩が書くってことになったからです。……一流の魔法師は『魔方陣』を見て誰が書いたかわかるらしい……うーむ、凄い。
「では、魔法的準備は完了でーす!」
後は縫うだけさっ!
「……じゃあ縫う前に……ちょっと『魔方陣』を試して良いか?」
あ、先輩はそれ目当てですもんね。……じゃあ、
「軽ーい魔法と、そこそこの打撃、してみて下さい」
生地の下に柔らかい物……あ、オレンジがあった、を置いて……、
「では、どうぞ!」
僕の掛け声とともに先輩は小さな火の玉を放ち、それが消滅したら……平手で殴りました。……うん、オレンジの運命やいかに! おお!
「オレンジはオレンジのまま! うん、後で美味しく召し上がりましょう!」
オレンジは煮えても潰れてもいませんでしたよ!
「……良かったー……きちんと作動したよ」
……実は不安だった僕です。作り方は知ってたけど作ったことはなかったからね!
ふふふ……やったね!
* * *
「うーん、美味しそう!」
オクラや茄子、パプリカの畑の雑草取りをしている僕です。
あのままマントを仕上げちゃおうかなー? とも思ったんだけど続けて細かい作業はね……ってことで大地と触れ合ってる訳さ!
「明日の朝には収穫かなー?」
そろそろ夏野菜が美味しくなるもんねー。
って感じでしばらくファーマーごっこを楽しんでいると、
「シャーロック君、少し宜しいですか?」
オーナーの優しげな声がかかりました。
「ふあい、平気ですよ? 何かご用ですか?」
お仕事かな?
「ええ、ちょっとGGさんのところへのお使いをお願い出来ればと」
お仕事でした。
「ふふ、了解です! じゃあ着替えて来ても良いですか?」
土まみれはちょっと……GG姉さんのお店は彼女同様ゴージャスだからね!
* * *
パリッとした格好に着替え、やって来ました歓楽街!
「うーん、いつ来ても僕の違和感ありまくり」
大人の社交場だもんねー。
で、すれ違う方々に不思議そうに見られながら訪れたのは、
「うーん、ゴージャス」
歓楽街一の高級店、GG姉さんの『サロンエスぺランス』! 店舗もインテリアも出される酒類も働くお姉さん達も全て一流なお店です。……では、
「ごめんくださーい、ロムス=マージの名代のシャーロック=ロイカです。マダムGGにお取り次ぎ願えますか?」
お使い、します!
* * *
「あーん、シャーロック君たらお肌ツヤツヤっ! どんなケアをしてるの?」
「ええと、お風呂上がりに化粧水と乳液をつけるくらいです」
「じゃあこの紅くてプルプルの唇は?」
「んー、たまにハチミツパックをするくらいかな?」
「じゃあこのフワフワの髪は?」
「刺激の少ないシャンプーと、日々のブラッシングだね」
はい、僕です。現在お姉さん達に囲まれ愛でられてます。そして何故か美容について聞かれてます。……うん、僕が紅顔の美少年だからだねっ!
で、なんでまたしてもハーレム状態なのかといえばGG姉さんがお出かけ中だったから、待ってる間に支度中のお姉さん達に囲まれた訳です。
ってことでしばらく僕による美容講座っぽいことをしていると、
「シャロ君ー!」
GG姉さんが帰って来て……って!?
「ね、姉さん!? 窒息するからっ!」
またしても豊かさの象徴に埋められそうになりました。……ふー、危ない、危ない、
「あら、ごめんなさい……うふふ、で、ロムス殿からどんなご用?」
「ああ、はい……この封筒を、残念だけど中身は聞いてないんだ」
ファーマーごっこの次は郵便屋さんごっこでした。
「あらそう…………………………わかったわ。ロムス殿には了解したって伝えといて」
すぐに封筒を開けて読んだGG姉さんは凄みのある美しい笑顔を浮かべ、僕に返事を託します。そして、
「しばらくお店に行けないからシャロ君成分補給させてー!」
僕を撫で回しキッスの雨を降らせました。
……ふ、モテる美少年は辛いなー。
『サロンエスぺランス』
十三市歓楽街一の名店。
綺麗なお姉さんと、美味しいお酒を飲みながら、洒脱な会話を楽しむお店。
過度のおさわりはお断りしています。




