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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第三話 最小!最強?『221B』結成!
20/63

scene6 下層第八階層

 





 途中赤銅石の採取をし、外の階段を下っている先生モードの僕と、神妙な雰囲気で聞いている先輩です。


「キラービーの巣は、僕の場合、特製のミックスハーブを燻し巣から追い出し回収、なんですけど……」


 それだとどうしてもレッドハニーとかに不純物が入っちゃうんだよねぇ、キラービーも何匹か襲って来るし。


「でも先輩の場合魔法が使えますから……まず周囲に結界、その後結界内部を凍結、そして巣を解体して採取、が良いと思うんです」


 熱には弱いけど凍らせても劣化しないし、


「あ、後……気になってたんですがゴブリン、奴らは頭部以外は致命傷にならないので潰すか切り落とすか、もしくは動きを制限する為に脚部を、以外の攻撃はぶっちゃけ意味無いんですよ」


 奴らの胴体には重要な器官が無いからねー。


「あ、それから……」


「……なんだ」


 振り向くと若干ゲッソリとしてる先輩、うーんやり過ぎたかなー、……ま、良いや、


「まず僕がブロンズゴーレムの正しい倒し方を実践しますので……黙って後ろで見てて下さい」


 素材を台なしにされるのはもうゴメンだからね。



   *   *   *



 階段を下りた先はしばらく安全地帯セーフゾーンその左手側に、ブロンズゴーレムが眠る広いスペースがあるんだ。


「ではまずブロンズゴーレムが起きる状況を教えます」


「ん? 安全地帯から出たらじゃないのか?」


「それは条件の一つ、他に二つあって……」


 僕は腰の矢筒から矢を二本取り、まず一本を番える……んー、あの右から二体目のにしよう、


「一つは」


 僕はゴーレムに向かい矢を放つ、はい、命中、はい、怒った、


「このようにある程度の衝撃を与えることです」


 そして僕は残りの矢を番え放つ、はい、命中、


「それでご存知かも知れませんけど十三迷宮のゴーレムの弱点は総じて首の魔方陣です。そこ以外を攻撃しても素材価値を下げるだけですので……あ、後、素材は熱にも冷気にも雷撃にも弱いですから魔法の選択は慎重に」


 ここのゴーレムは剥き出しの魔方陣を一部でも壊せば機能停止するからねー、楽だよねー、そして最後の、是非オススメしたい方法、


「で、僕が何時も使ってるのは」


 僕はリュックから束になった細い筒を取り出しマッチで火をつけ……即座に前方に投げ付け耳をふさぐ!


「パパパパパパパパパンッ!」


 耳をふさいでいても来る、破裂音の連打! うーむ、有効とは言えうるさいよなー、爆竹、


「こんな風に大音量を鳴らすです!」


 耳をふさぎながら先輩に怒鳴るように教える。先輩もギュッと耳を押さえながら頷く……ふう、やっと終わった、じゃ、


「狩っていきましょう!」


 ゴーレムの魔石は全体的に質が良いからね!



   *   *   *



「ひーふーみー……おー、全十六体かー!」


 山分けでも八個、ふふ、六個はへそくりにしよう。


 はい、僕です。僕は今機能停止したゴーレムの魔石を回収しています。で、さっき倒したゴブリンの魔石を弾き飛ばすって方法でゴーレムを倒してた先輩は、


「…………」


 無言で素材部分を回収……って!?


「え!? 先輩圧縮魔法使い!? 凄っ!」


 聞かれ無くても説明しよう! 圧縮魔法っていうのは最も習得が難しいと言われている超高位魔法なのだ! 魔力量自体はそこまでいらないが繊細にして緻密な計算と魔力操作がいるのだ! まあ、そもそも使える魔法師が希少な為教えてもらえる機会が無かったりするのもあるけどね。だから、


「凄い、凄ーい! どこで覚えたんですか?」


 興味津々になっちゃうよね!


「……プルト、お前が博士と呼ぶ男に教わった」


「へーっ! 博士かー、じゃあ博士もかー」


 レア人物が二人も! ……ん? なんだ? 先輩に顔を見つめられているぞ?


「どうしましたか先輩、僕の顔に何かついてます?」


 それとも僕の美少年っぷりに見とれてる?


「……いや、なんでも無い」


 ??? ……どゆこと?


「……終わっただろう。先に進もう」


 ……んー、モヤモヤするけど時間も無いし、


「わかりました……あ、その前に」


 僕はスペース中央にあるスイッチを操作する。よしっ、それじゃあ、


「いきましょう、さ、手を」


 そして僕達は来た階段を引き返す。この階の外の階段はこの部屋にしか通じて無いからねー。ハァー……めんどくさい。



   *   *   *



 階段を上ってフレイムバットや、もう復活してたゴブリンをチャッチャと主に先輩が倒しながら中央階段に行き、また下りたシャーロック君です。本当めんどくさいよねー、仕方ないけど、


 で、中央シャフト周囲の安全地帯でイイコで待機中の先輩に、


「こっちの二部屋に安全地帯は無いんで……ま、適当に」


 お好きにどうぞ、と、伝えました。あ、もう行った、もう一体倒した、早いなー、……ん、何時も自称戦闘力皆無なお前はどうしてるんだ? と、そりゃ素早く中央のスイッチを押してゴーレムを眠らせる。だよ。だからこっちの、より価値が高いシルバーとゴールデンゴーレムは倒して無いんだ。命あっての物種だもん。お、先輩とすれ違った。もうシルバーを殲滅かー、ゴールデンの方に向かったなー……よしっ、


「まずスイッチを……で、魔石の回収と……素材も集めとこう」


 僕は働き者な美少年だもん。



   *   *   *



「金も倒し終えたぞ」


 魔石の回収を終え元ゴーレムをズルズルと引っ張り集めていると、先輩が戻ってきました。おー、早いー、じゃ、


「そっちの魔石の回収に向かいます」


 で、ゴールデンゴーレムの魔石回収も終え、先輩が圧縮魔法で素材を回収するのを凄いなー、と眺め、それが終わったら、


「よしっ、最後のスイッチー!」


 ゴールデンゴーレムの部屋のスイッチも押します。じゃ、


「先輩、僕の目的地、ハーブガーデンに向かいますねー」


 中央シャフトの側を通ってシルバーゴーレムの部屋の、


「よいしょ!」


 不自然に出っ張った壁を押してスライドっと、


「!?」


「あ、ビックリしましたか先輩? ふふ、三つのスイッチを順番に押してからこっちの部屋に戻るのがミソなんですよ」


 で、出て来た梯子を上って下りて、シルバー、ゴールデンと、ブロンズの部屋とを隔てる壁に擬態した隠し通路を通って、上って下りると目的地……なんだけど、


「……じゃあ先輩この梯子を上って下さい……大丈夫! 迷いようが無い一本道ですし全面安全地帯ですから! あっ、荷物は置いといて良いですよ壁閉じられるんで」


 ……やっぱり男の人に下から見られるのは恥ずかしいよね。


 ふふ、僕は紅顔の美少年の前に可憐な美少女だもん。



   *   *   *



 梯子を上って下りて上って下りて、たどり着いたよハーブガーデン! ホントめんどくさいよね。まあ、一種類ずつ何階層も巡るよりは遥かに楽だけど、ここだけのも何種かあるし。


 さあ採取するぞー! ……あ、でもその前に、


「先輩、今お茶入れますんで……このクッキーを食べながら休憩していて下さい」


 働き詰めの相棒を労わねば……決して下手に摘まれて、が嫌とかそういう訳……なんだけどね。ふふ、じゃあ今度こそ、


「採取するぞー!」



   *   *   *



「パセリ、セージ、ローズマリー、タイムー! チャイブス、ミント、カモミール、らららー! フェンネル、ローズヒップ、レモングラス、忘れちゃダメですローレルを!」


 あー、ホント楽しいなー、やっぱり僕みたいな清楚な美少年はこういう採取が似合うよねー! あっ、


「先輩! ハーブも圧縮してくれますか!」


「……ああ構わない」


 よしっ! ふふ、じゃあ、


「刈り尽くすぞー!」



   *   *   *



 刈り尽くしました。しばらくはハーブには困りません。


「……これで圧縮するのは最後だな?」


「はい! ありがとうございます先輩!」


 んふふ、やっぱり圧縮魔法は便利だなー、山のような金属もハーブも一抱えに、とは言え、


「よいしょ! っと、うう重い」


 重量は圧縮出来てないんだけどねー、まあ、


「………………」


 百キロ近い金属類を持って階段を八階層分上る先輩に比べればハーブくらい軽いもんだよね。





  

『圧縮魔法』


物体を圧縮する魔法、

体積は減るが質量は減らない。

ちなみに使える者もレアだが知っている者もレア。


つまりシャーロックもレア人物である。


 

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