scene3 下層第五階層
先輩が最後のスケルトンナイトを真っ二つにし、対『守護者』戦が終わった。ちなみに要した時間は約二分……うん、なんて言うか、
「疲れて無いでしょうけどお疲れ様です」
じゃあ時間もちょうど良いし、
「お昼にしましょうか?」
地下だもん、安全ならどこでも良いよね。
* * *
ってことで料理タイムのお時間だよ。下五、『試しの間』で作る料理は……、
「干しイカとキャベツのペペロンチーノ!」
と、
「セットで、作って来たハムとチーズのパニーニもあります!」
です。
てなわけで、調理開始!
「まずガーリックオイルと鷹の爪を鍋で温めます。で干しイカ投入! そして水漬けパスタの水を投入! で、暫し待つ」
うん、グツグツいって来た、では、
「キャベツ! パスタ! 軽めの塩投入!」
干しイカの塩味がどれくらいかわかんないからね。
「で、混ぜる、混ぜる、混ぜる、よしっ! いい感じに乳化して来た! じゃあ味見!」
モグモグと……うーん? もうちょい塩かなぁ、先輩一応運動後だし、よしパラリと、で、もう一度味見……うん、うん、うん!
「かーんせーい! 今お皿に分けますねー」
フォークとパニーニも渡し、レモン水もカップに注ぎ、ふふ、
「じゃあ召し上がれ!」
「……ああ、いただきます」
さて、先輩の反応は?
「…………………………ふ」
おお! 僅かに笑みが! ふふ、じゃあ僕ものびないうちに、
「いただきます!」
……………………!
「んー、やっぱりイカの出汁が出てるー! キャベツもシャキッと感が残って……そして鷹の爪が締める! 美味しーい!」
ふふ、自画自賛タイムでーす!
「……そうだな、それに辛くなった口をパニーニのチーズが和らげる。良い相性だ」
!! 先輩からのお褒めのお言葉ゲーチュ!
「ふふふ、ありがとうございます。で……デザートにクリームとジャム入りのクレープが」
「食べる」
即答ゲット! じゃあ、
「お茶入れますね?」
* * *
お茶とデザートを楽しんでいたところ、先輩から今更感がある質問をされました。
「そういえば目的は何階なんだ?」
ってね。なので僕は正直に、
「下八ですよー」
と、答えたんだ。すると先輩は、
「……俺も採取して構わないか?」
って、妙な遠慮をする。
「やだなぁ、僕と先輩はパーティーなんだからそのくらい構いませんよ?」
ふふ、お互い様だもん。採取場所への案内ぐらい任せといて!
「……いや、そうじゃなく……俺も下八で採取したいんだが」
「え? ハーブをですか?」
魔法薬にでも使うのかな?
「ん? ハーブ? ……下八で採れるのは金属だろう?」
「へ? まあ金属系も採れますけど僕の目当てはハーブなんで」
んんん? なんか会話が噛み合わないような……あ、
「もしかして下八の隠し通路とハーブガーデンもレア情報?」
そういえば上一のポロ茸やロシ温泉にも驚いてたもんねー。
「……お前なんでそんなにレア情報を持っているんだ?」
やっぱりレアかー、でもなー、
「僕に言わせればあんだけ広いスペースに気付かない方が不思議です」
ハーブガーデンは下八の四分の一ぐらいあるんだよ。
『スケルトンナイト』
下層第五階層の『守護者』、五体で待ち構えている。
さほど強くは無いが連携と、一体でも残っていると一分ほどで再生する能力が厄介。
だがギュスノには歯ごたえが無さ過ぎる相手。